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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

魚を釣らせてもらった

2022年08月29日 09時15分59秒 | えいこう語る

▼午後3時が妻と私が経営している、小さな食堂の閉店時間だ。久しぶりにチカ(ワカサギの大きい感じ)という小魚を釣りに出かけた。

▼店のすぐ近くに長いトンネルがある。そこを抜けると小さな集落があり、そこの港で釣れるからだ。店からは車で5分程度だ。チカはフライにするととても旨い。

▼チカは集団で泳いでくるので、釣れる時は入れ食い状態になる。急に思い立っての釣りなので、針もチカ用ではなく、エサも店にあったイカとホタテを持って行った。

▼10匹も釣れば夫婦二人の夜の食卓には、充分だと思ったからだ。港には70過ぎの男性が一人いた。釣果を聞いたら、今日は魚影が少なく釣れないと言った。それでも型が良いのが、数10匹バケツで泳いでいた。

▼30分過ぎても竿先がピクトもしない。ふと前方を見ると大型漁船の陰で、快調に釣りあげている、60代位の女性が一人いる。

▼近寄って話しかけると、100匹以上釣りあげていた。仕掛けやエサは本格的だ。これなら敵わない。男性にも女性のところが釣れていることを話し、二人でそこの場所に移動した。

▼女性はサビキという仕掛けで、針が8本ぐらいついている。1度に2匹3匹と銀鱗を躍らせ上がってくる。

▼男性と私は針が一つの仕掛けだが、1匹づつ好調に釣り始めている。しかし私の餌にチカは見向きもしない。

▼突然男性が近寄ってきて、針とエサを私にくれた。「これなら釣れるぞ」と。見事につれ始めた。型が良いので10匹釣ったところで帰ることにした。

▼男性にお礼を言うと、自分が利用する釣具屋と、自慢の餌を教えてくれた。「本当は秘密だけど、晩酌のおかずの00だという。さらにそれに塩を少し振りかけるということも教えてくれた。

▼私もその秘密の餌は、絶対口外しないと決めた。妻も親切な人がいて、はじめは釣れないので絶望したけど、楽しい釣りだったと喜んだ。

▼帰宅し、テーブルにチカのフライが10匹、皿に盛り上がって出てきた。鮮度抜群なので、身が踊るようにひのっていた。フライにも踊り食いがあるのだ!。

▼塩を振りかける。その塩は近くに住む友人が、前浜の海水をストーブの上で煮詰め、製造したものだ。その海は釜谷地区にあるので、私は「釜谷の塩」と名付けている。

▼素人が趣味で作った塩なので、決して上品な味ではないが、彼の人柄がその味に十分加味されている。

▼彼は子供の頃に観た「太郎・次郎物語」の映画で南極にあこがれ、ヘリコプターの整備員となり、南極観測船の乗務員となったという経歴の持ち主だ。

▼魚を釣らせていただいた親切な男性。そのチカのフライに「釜谷の塩」がぴったりだった。冷たいビールに「アジのフライは合うね」というと、妻は「鯵ではなくチカ」でしょうと、横やりを入れた。

▼妻は私が“鯵の叩き”が大好きだというのは知っている。そこで鯵とチカを間違ったのだと感じたようだ。

▼やさしい人物に出会え、魚を釣らせていただいたので、「味なフライ」という意味だと答えた。


     人と魚と塩の三味一体
              三頭下