夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

N・ヒル『仕事の流儀』(その7)

2012-10-25 20:53:15 | N・ヒル『仕事の流儀』
第4章で、ヒル博士はセールスの達人の資格について論じており、「1 肉体的な健康」から始まって、その数なんと28項目にも及ぶ。

そのすべてが傾聴すべきものであるが、私としては「3 想像力」「4 話す能力」「6 自分が売り込む商品についての知識」「9 価値を与えること」「10 見込み客についての知識」「14 感じのよい人柄」「15 ショーマンシップ」「16 セルフコントロール」「18 寛容さ」「19 正確な思考」「20 持続」「28 熱情」が特に印象に残った。

ここでは、「20 持続」を紹介する。

20. Persistence. The supersalesman is never influenced by the word “no”and he does not recognize the word“impossible”. To him all things are possible of achievement. The word“no”to the supersalesman is nothing more than a signal to begin his sales in earnest. He knows that all buyers take the line of least resistance by resorting to the“no”alibi. Because he has this knowledge, he is not susceptible to negative influence by sales resistance.
(“How to sell your way through life”‘4 Qualities of the master salesman must develop’)

「一流のセールスマンは「ノー」という言葉によって影響されることは決してないし、「不可能」という言葉も認めない。彼にとってはすべてのことは達成可能なことなのである。「ノー」という言葉は、一流のセールスマンにとっては、彼の真剣なセールスを始めるための合図にすぎない。彼は、お客はすべて、最低限の抵抗ができるような防御線を張って、「ノー」という言い訳に走るものだということを知っている。彼はこのことの知識があるので、セールスが抵抗に遭ったからといって否定的な影響を受けたりはしない。」

これは、私も日常、生徒を相手にしていて、「いやだ」「できない」「やりたくない」という言動に接するのでよくわかる。昔は、こういう否定的な言動に遭うと、自分自身を否定されたように感じ、傷ついたり怒ったりしていたが、今は少しだけ賢くなった。生徒が守ろうとしている最低限のものにはなるべく手をつけず、生徒も「仕方ない」と納得できる形で、「いやだけど、まあ仕方ないからやるか」、「できないとまずいから、できるところまでやろう」という風に持って行くためにはどうするか、というところから発想するようになってきた。

もちろん、達成可能な範囲内で、達成するための手段や達成した後の見通しも含めて説得するようにはしている。