夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

ことばを贈る

2015-08-31 22:53:08 | 日記
昨日一昨日と締切に追われていて、記事の更新ができなかった。(昨夜、無事に提出)。
本当は昨日見た大山の眺めを話題にしたかった。
霧のような雲が麓を覆い、大山が中腹からうっすらと雲の海に浮かび、朝靄にかすむ島影のように見えた。


今日は職場の同僚の先生が他の学校に異動されるので、その引継ぎを行った。
わずか半年とはいえ、同じ科で仕事を教えていただいたり、研究会や飲み会でご一緒したりという機会が多かったので、ひどく寂しく感じる。
その先生が研究費で購入された和歌関係の書籍などは、そのまま名義を変更して私の研究室に入るようにしてくれるなど、最後までお世話になりっぱなしだった。

私からは、御餞別の品として、その先生が研究されている明治時代の女流歌人の短冊を買い求め、贈らせていただいた。
でしゃばった真似をしてしまったかもしれないと、懸念もしていたのだが、その先生はとても喜び、新しい職場の研究室に置かせてもらいます、と言ってくれた。

時代は違うが同じく和歌が専門であり、私より年少ながらその堅実な研究の姿勢に敬服もしていたので、職場は変わっても今後ますますご活躍される姿を論文や研究発表でうかがうことができるものと楽しみにしている。

台風すぎて

2015-08-28 21:55:19 | 日記
3日前の台風が過ぎたあと、米子では昨日今日とよく晴れ、夕焼けもきれいだった。
大山は季節や天気によって様々な表情を見せるが、やはり青空にこそ、その山容は美しく映える。

現在、シンポジウムの発表資料の提出期限が迫り、レジュメをまとめようと悪戦苦闘している。資料やコピーの山に埋もれながら、問題点を整理して論を組み立て、会場の出席者に〈伝わる〉発表をするために、大切なことを分かりやすく効果的に表現できる資料づくりを心がけている。
参考文献を読んだりPCで作業したりする合間、窓外に大山を眺めるのが何よりの息抜きになる。


暦では初秋というものの、私の感覚では、短かった今年の夏が終わりを告げようとしているように思われるこの頃。
通勤の行き帰りの車内では、森山直太朗の「夏の終わり」を聴きながら、歌詞を口ずさんでいる。

台風余波

2015-08-25 21:47:07 | 日記
大型の台風15号は、現在山陰沖を北上しているそうだ。
米子では、今日の昼頃までが最も激しく雨が降った。
夕方には雨もやんだが、暴風ともいうべき風は今もいっこうに収まる気配がない。


強風のため雲の流れが速く、窓外をものすごい勢いで雲が進んでいく。
夕方、遠くの大山には、大きな雲が覆いかぶさり、山全体を飲み込むばかりの勢いで東に移動していった。
こんな眺めは岡山ではまずないので、大自然を身近に感じられるこの土地に、今更のように驚いている。

北野異人館街

2015-08-23 23:25:10 | 日記

神戸は岡山からも近く、学生時代から何度も訪れていたにもかかわらず、私は北野異人館街は行ったことがなかった。
三宮駅から歩いても十五分くらいだし、有名な観光地なのに、学生・院生時代の私は、神戸に来ると古本屋めぐりに夢中で、駅周辺の狭い範囲でしか行動していなかった。
社会人になってからも、学会で神戸に訪れるついでに、三宮駅周辺で買い物・食事をして、深夜にならないうちに岡山に帰る、という感じだった。車で六甲山に行ったことも2、3度あったが、観光地を見て回ることはあまりしていない。


初めて訪れた北野異人館街は、神戸の街や港を見下ろす高台に、かつて外国人たちが住んでいた洋館や、美術館・記念館、洒落たカフェ・レストラン、ブティック、土産物屋などが立ち並ぶ。
この街の雰囲気から、私はなぜか、原宿や鎌倉を思い出してしまった。


話には聞いていたが、スターバックス・コーヒーも、ここのは2階建ての洋館でとてもお洒落な建物である。
開店前で入れなかったけれども、中は部屋ごとに趣が違う、レトロモダンな素敵空間なのだそうだ。
短い時間、ぐるっと回っただけでも、異国情緒あふれる街の雰囲気は十分に味わえた。

神戸の朝

2015-08-22 23:41:25 | 短歌
神戸に泊まった夜は、なかなか寝つけず、朝も日の出前から起きてしまい、散歩がてら旧居留地のホテルから歩いて海に行った。
阪神淡路大震災から今年で二十年にもなるが、私は当時、春三月に神戸を訪れ、三宮駅周辺の被害の凄まじさに、言葉にできないほどの衝撃を受けた。
神戸も今は復興を遂げて久しく、震災の記憶もやや薄れつつあるのかもしれないが、自然がいとも容易に人間の文明を破壊しうることへの恐怖は、あのときからずっと、私の心に刻みつけられている。

  当時見し廃墟のごとき三宮の街を思へば今は現つか
  かへりみれば今栄ゆるもうたかたの夢かと見つつ旧居留地を行く


この日は曇りで、朝から時折小雨がぱらつく生憎の天気であったが、やや湿り気を帯びた風を受け、潮の香りを感じながら、人気のない波止場で船の行き交う様子を飽きもせずに眺めていた。

  波止場には異国の船も行き来して鳴るエンジンの音響きあふ
  潮の香を吹き寄する風を受けながら行きかふ船の影を見まもる