感想の続き
前回触れたように、この映画では主人公の馬締と香具矢(かぐや)との恋愛話がとても面白かったので、ここで取りあげておきたい。
香具矢は、馬締が学生時代から十年も住んでいる下宿(アパートではなく、本当に下宿屋)の大家・タケおばあさんの孫娘。
ある満月の夜、下宿で初めて香具矢と出会った馬締は、ひと目で恋に落ちてしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/2e/9b7a28b576f6ef2af7baa11d61ae0a13.jpg)
馬締は辞書編集部の先輩・西岡に、好きな人ができたが、気持ちをどうやって伝えたらいいかわからないことを職場で相談する。そのときおかしかったのは、馬締が香具矢に関するデータを用例採集カードに書いていたことだ。(当然、西岡に見つかって取りあげられ、皆の前で読み上げられる。)
いくら好きになった人に関する情報は、詳しく知りたいものとはいえ、こういうことは心の中だけで、しっかり記憶しておくものでしょうが!というツッコミを、思わず入れたくなってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/b8/69656d0b3a72ab2b6b405ee51be8a447.jpg)
派遣社員の佐々木が早速予約を入れ、その日の夜に辞書編集部のスタッフがお揃いで、料亭「梅の実」に出かけることになるのは、かなり笑える。
辞書監修者の松本先生は、「大渡海」の「恋」の語釈は馬締に担当させることにすると言い、そのためにもこの恋は進展させなければ、と言う。
下宿のタケおばあさんも、二人の仲を取り持とうとして、何かと気をつかってくれる。香具矢が料理道具を見に、合羽橋に行きたいと言っていたから、案内してやれと馬締に促し、二人は休日に初めてデートする。しかもその日、香具矢から誘って遊園地(浅草の花やしき)にまで行き、観覧車の中でいい雰囲気にもなったのに、馬締は結局何も言えずに帰って来る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/0f/ed1d60eb5be1b339365b3e20addbcdbf.jpg)
直接口にして告白することができない馬締が、西岡を相手に職場で相談していると、佐々木が「手紙がいいんじゃない?ラブレター。」とアドバイスしてくれる。
ところが、馬締が後日、香具矢に渡す手紙についてご教授いただきたいと差し出したのを見て、西岡はびっくり。
「なんで毛筆なんだよ!戦国武将じゃあるまいし。」
しかも、文面も「謹啓」で始まり、
しかし西岡は意外にも、「このまま出せ。」と言う。
「なんてったってインパクトあるし、お前に興味があるなら、どんな手を使ってでも読もうとするだろう。興味がなかったらそもそも読まれないから、どんな字で書いてあっても同じだ。」
という内容のことを言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/fa/0dd9ad2f66e72a28a5b35c7d9484845b.jpg)
西岡の指示通り、恋文をそのまま渡すことにした馬締は、翌日、香具矢からどんな返事を受け取ることになったのか?
…これはやはり、映画か原作小説かで直接確かめていただきたい。この香具矢の台詞はとても小気味よくて、思わず胸がすっとしてしまった。宮崎あおいの演技もとてもよくて、(最近少し敬遠していたが)そうはいってもやはり、うまいしかわいいなあと思ってしまった。
この映画は、期待よりは興行収入が伸びず、さほど話題にもなっていないようだが、見所も多く、文句なしの良作なので、興味のある方はぜひご覧になっていただきたいと思う。
前回触れたように、この映画では主人公の馬締と香具矢(かぐや)との恋愛話がとても面白かったので、ここで取りあげておきたい。
香具矢は、馬締が学生時代から十年も住んでいる下宿(アパートではなく、本当に下宿屋)の大家・タケおばあさんの孫娘。
ある満月の夜、下宿で初めて香具矢と出会った馬締は、ひと目で恋に落ちてしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/2e/9b7a28b576f6ef2af7baa11d61ae0a13.jpg)
馬締は辞書編集部の先輩・西岡に、好きな人ができたが、気持ちをどうやって伝えたらいいかわからないことを職場で相談する。そのときおかしかったのは、馬締が香具矢に関するデータを用例採集カードに書いていたことだ。(当然、西岡に見つかって取りあげられ、皆の前で読み上げられる。)
〔は〕やしかぐやさん
林香具矢さん
二十七歳。大家のタケおばあさんの孫。タケおばあさんが高齢の為、先日から同居を開始。
今までは京都で板前修業。
現在、湯島にある「梅の実」という店で働いている。
林香具矢さん
二十七歳。大家のタケおばあさんの孫。タケおばあさんが高齢の為、先日から同居を開始。
今までは京都で板前修業。
現在、湯島にある「梅の実」という店で働いている。
いくら好きになった人に関する情報は、詳しく知りたいものとはいえ、こういうことは心の中だけで、しっかり記憶しておくものでしょうが!というツッコミを、思わず入れたくなってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/b8/69656d0b3a72ab2b6b405ee51be8a447.jpg)
派遣社員の佐々木が早速予約を入れ、その日の夜に辞書編集部のスタッフがお揃いで、料亭「梅の実」に出かけることになるのは、かなり笑える。
辞書監修者の松本先生は、「大渡海」の「恋」の語釈は馬締に担当させることにすると言い、そのためにもこの恋は進展させなければ、と言う。
下宿のタケおばあさんも、二人の仲を取り持とうとして、何かと気をつかってくれる。香具矢が料理道具を見に、合羽橋に行きたいと言っていたから、案内してやれと馬締に促し、二人は休日に初めてデートする。しかもその日、香具矢から誘って遊園地(浅草の花やしき)にまで行き、観覧車の中でいい雰囲気にもなったのに、馬締は結局何も言えずに帰って来る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/0f/ed1d60eb5be1b339365b3e20addbcdbf.jpg)
直接口にして告白することができない馬締が、西岡を相手に職場で相談していると、佐々木が「手紙がいいんじゃない?ラブレター。」とアドバイスしてくれる。
ところが、馬締が後日、香具矢に渡す手紙についてご教授いただきたいと差し出したのを見て、西岡はびっくり。
「なんで毛筆なんだよ!戦国武将じゃあるまいし。」
しかも、文面も「謹啓」で始まり、
天高く馬こゆる秋 ますますご清栄のことと存じます
正直このような手紙を出すのは初めてになりますのでお見苦しい箇所も多いと思いますがどうぞ最後迄読んで…
云々と崩した字で書かれているのは、思わず笑ってしまった。正直このような手紙を出すのは初めてになりますのでお見苦しい箇所も多いと思いますがどうぞ最後迄読んで…
しかし西岡は意外にも、「このまま出せ。」と言う。
「なんてったってインパクトあるし、お前に興味があるなら、どんな手を使ってでも読もうとするだろう。興味がなかったらそもそも読まれないから、どんな字で書いてあっても同じだ。」
という内容のことを言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/fa/0dd9ad2f66e72a28a5b35c7d9484845b.jpg)
西岡の指示通り、恋文をそのまま渡すことにした馬締は、翌日、香具矢からどんな返事を受け取ることになったのか?
…これはやはり、映画か原作小説かで直接確かめていただきたい。この香具矢の台詞はとても小気味よくて、思わず胸がすっとしてしまった。宮崎あおいの演技もとてもよくて、(最近少し敬遠していたが)そうはいってもやはり、うまいしかわいいなあと思ってしまった。
この映画は、期待よりは興行収入が伸びず、さほど話題にもなっていないようだが、見所も多く、文句なしの良作なので、興味のある方はぜひご覧になっていただきたいと思う。