夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

昨日の学会のこと

2012-10-29 22:54:05 | 日記
昨日は学会に行く前に清水さんにお詣りしたので、けっこうギリギリになって会場に到着した。

会場は、京都産業大学・壬生川校地の「むすびわざ館」で、付属の中学・高校と同じ敷地にあった。写真のようにお洒落でモダンな建物で、ホールもきれいで快適だった。ただ、学会の会場が大講義室でなくホールなのは、私としてはあまり嬉しくない。

会場の座席には、肘掛けのところに、折りたたみ式の机がついているのだが、これがとても狭くて書き物がしにくい。私は「学会ノート」というのを作っていて、学会の講演や研究発表を聴きながらのメモは、資料集の冊子でなく、ノートに書き込むようにしているので、机は大きくて床に固定されている方が書きやすいのだ。また、私は書き物の際は、何種類かのペンを使って書きたいので、その意味でもホールの椅子についている机は不便である。

昨日は、専門外の発表が多かったので、結局資料集に書き込んだが、今後はノートの取り方も考えた方がよいかもしれない。

それにしても、専門や対象とする作品のジャンルが違うと、こんなにも研究方法が違うのか、ということを思い知らされる。また、散文作品だと、和歌文学ではまず出てこない戦乱、性愛、凄惨な描写、反道徳的事件や思想などがリアルに描かれていたりするので、和歌がいかに生活や社会の生な現実的要素を忌避し、捨象したところに成り立っているかを改めて痛感する。

自分が取り扱う対象が和歌であっても、同時代の様々なジャンルの文学や記録、芸術・芸能、宗教との関わりを考えていかなければならないと思った。今回の大会は、『今昔物語集』『平家物語』、鴨長明など、メジャーな作品・作者についての発表が多かったので、私にも興味が持ちやすかったし、他の方の発表技術や資料の作り方で参考になることが多かった。また、一見やすやすと発表しているように見えても、今日のためにどれだけの準備をし、作業や労苦を積み重ねてきたのだろうということを思った。ギャラリーでの企画展では、会場校所蔵の『千載集』日野切や『明月記断簡』など、貴重な書籍の展観も閲覧でき、たくさんの収穫を得て帰ってくることができた。