先日、祖母の葬儀で帰省した日は、池袋で夕食を済ませた。
その日の午前中の仕事を終えて、午後になって出発したため、実家に着くのは夜になるし、その頃には両親が通夜に出かけているというので、そうしたのだ。
以前、池袋駅西口の芸術劇場近くにあった食事処「おいしい水」がなくなったのは、かえすがえすも残念だ。
手作りのおいしい定食が手頃な値段で食べられて、しかもお酒(日本酒)をちょっと引っかけることもできる。
何種類かのお酒を一合からでも注文でき、地下の隠れ家風のお店で、食事を楽しみながらほろ酔い気分の至福の境地になれる、得がたい店であった。
私は、ここでは富山の銀盤をよく頼んでいた。
結局、その辺りにある定食屋で夕食をとったが、どうしても、充たされない感じが残った。
それにしても、池袋もおしゃれでモダンな街になったものだと思う。
今から30年以上前、父親が池袋の現場で働いていたとき、母親と妹とその現場を訪ねたことがある。
その時も確か西口に行ったと思うが、大きな建物がほとんどなく、あちこち建設工事中で、夜になると駅前といえども薄暗く、足下も悪かった。母親と妹と駅まで帰るときは、ゴミゴミした怖いところだということしか感じなかった。
今はすっかりきらびやかな若者の街になり、あの頃を思い出すと夢のようだ。
きっと、昔の有り様を覚えているのも、少数派ということになるのだろうな。