夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

呉探訪(その3)

2013-11-30 23:00:41 | 日記

呉駅から西へ徒歩10分ほど行ったところに三条通り商店街がある。
映画『海猿』(2004)で有名になった両城の200階段(潜水士たちの訓練シーンに使われた)は、この近くにある。
写真のような急坂を5分ほどで登りきった。
息が切れるようなことはないが、階段が急なので、とにかく怖い。


坂の上から見る呉湾と、呉の街並みの眺望はすばらしい。
この両城地区は、山裾で急傾斜地区が多くある。


振り返って、灰ヶ峰(標高737m)方面を眺めると、急勾配な地形に、住宅が軒を連ねているのがわかる。
呉は明治22年(1890)に旧海軍の鎮守府が開庁してから人口が急増し、一時は県内最大の都市だった。
しかし当時、市の中心部の平坦地は軍が優先的に使用したため、山を切り開いて住宅が建てられたのだそうだ。
両城地区を遠くから見ると、集中する家々が階段状に見えるため、「階段住宅」と呼ばれるようになったという。


200階段は、登るときより降りるときのほうがずっと怖かった。
下を覗き込むと、足がすくんで、めまいを起こしそうだ。

両城の200階段は、先日の朝日新聞(11/17「旅ぶら 軍都の史跡残る丘(広島県呉市)」で知ったのだが、意外な穴場なので、呉に観光で行った際は、ぜひ訪れることをお勧めする。

呉探訪(その2)

2013-11-29 23:41:56 | 日記

美術館通りから歩いて「歴史の見える丘」へ。
呉はかつて戦艦大和を建造した東洋一の軍港であったが、その歴史を象徴する工場群(旧呉海軍工廠跡)が一望でき、正岡子規の句碑などもある。


JMU(ジャパン・マリン・ユナイテッド。造船業界トップの会社)呉事務所昭和地区のドックに、海上自衛隊の護衛艦「うみぎり」が入渠していた。
このドックは300m以上あるらしく、全長137mの「うみぎり」が小さく見える。


丘を下って港に向かい、中央桟橋から海を眺める。
タンカーや海自の艦船、造船所の風景などがいかにも呉らしい。
水面に午後の陽の光が反射して、とてもきれいだ。


石崎汽船の旭洋丸は、広島~呉~松山を結ぶフェリー。
以前観た映画『ももへの手紙』の冒頭で、主人公のももが乗っていたフェリーと似た感じだ。(あちらは三原発だったが。)
穏やかな午後、港を行き交う船の様子を見ていると、時間を忘れ、のんびりとした気持ちになれる。

今日はおやすみです。

2013-11-28 23:15:33 | 日記

風邪は快方に向かっているが、仕事がなかなかはかどらない。
来週から期末考査なので、今週中に試験範囲まで教えきらないといけないし、テスト問題の作成もある。
ノート点検、小テスト採点、明後日に学校で実施する模試の準備。
明日の出張の準備。
放課後は、来週末に推薦入試を受ける生徒たちと、模擬面接、模擬グループ討議を行う。
明日の朝イチの授業の予習がまだだが、それは早めに出勤してやることにしよう。

「呉探訪」の記事の続きを書きたいのだが、なかなか時間がとれない。
写真は、海上自衛隊呉地方総監部庁舎(旧呉鎮守府庁舎)。
煉瓦と御影石を組み合わせた色合いが美しい。
…また呉に行きたくなってしまった。

最後の授業

2013-11-27 23:17:30 | 日記
今日、授業を終えてのどの痛みを診てもらおうと耳鼻咽喉科の医者に行った。簡単な診察と治療を受け、薬を出してもらった。
基本的に、私は風邪をひいても薬は飲まずに完治するまで待つタイプなのだが、熱や頭痛はがまんできても、鼻水が止まらないとか咽が痛くて声が出ないとなると授業に差し支えるので、それだけは薬も使ってすぐ治すことにしている。
教員にとって声が商売道具であること、耳鼻咽喉が発声器官として非常に重要なことを痛感する。


さて、表題の話。といっても、ドーデの短編小説(昔、小学校の教科書に載っていた)のことではない。

来週から期末考査があるので、今週は2学期最後の授業となる。なかでも、3年生は3学期に授業のないクラスもあるので、そこでは文字通り、高校生活最後の授業となる。
教材としては、竹田青嗣の『「自分」を生きるための思想入門』を取り上げた。
人間の欲望はゲーム的な欲望であり、「私」にかかわる幻想をその実質としていること。この欲望は、成長につれて、また人間関係の変化とともに形を変えていくこと。「人間は他者たちとの関係の中で欲望の対象を見出し、これをしたい、ここに届きたいという目標をめがけて生きるような存在なのです。」という著者の主張を私からのメッセージとして、これからを生きる彼らに届けるべく、授業をした。

…授業が終わった後、一人の生徒が私のところにやって来て、はにかみながら、
「今日、最後の授業でしたね。」
「最後だったね。…あ、でも、留年したら来年も受けられるけど?(笑)」
もう授業がなくなることを惜しんでくれる生徒がいたことにじーんときつつ、ついおちゃらけたことを言ってしまった…。

風の木水の花

2013-11-26 23:38:35 | 日記

今日は木枯らしの吹く寒い一日となった。
勤務校の裏山の紅葉は、今が見頃。

昨日から風邪をひいてしまい、のどが痛む。
熱や頭痛はがまんできるが、授業中に洟が垂れてきたりすると、みっともないことこの上ない。

…と書いていて思い出したのが、大学生の頃、万葉集を教えていただいた先生から聞いた話。

うろ覚えだが、確かその先生の恩師が『風の木水の花』という植物故事の本を刊行したときに、出版記念パーティがあって、お祝いのスピーチをしたうちの一人が駄洒落で「風邪っぴき水っぱな」と言ったので、その場に参加した人々がみな「あっ…」という感じになってしまった、という話だったと思う。
うまいこと言うもんだ、とは思うが、タイトルをこんな風に語呂合わせされた著者の落胆はいかばかりか…。

さて、私も「洟垂れ先生」とか不名誉なあだ名をつけられたくないので、明日は耳鼻咽喉科のお医者さんに行くことにしよう。