夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

「オレンジと太陽」(その2)

2012-10-05 20:59:17 | 映画
1986年、ノッティンガム。ある日、マーガレットは、社会福祉相談の仕事で、トライアングル会(養子に行った人の心のケアが目的の会)に行き、彼らの悩みなどを聞く。終わった後で帰ろうとすると、シャーロットという女性から親探しを頼まれる。

シャーロットは、
「私は、自分が何者なのかを知りたい。今の名前も嘘かもしれない。私は4歳のころ施設に入れられ、その後、船に乗せられてオーストラリアに連れて行かれた。同じような人が200人ほどいる。」

後日、マーガレットは、ニッキーという女性から、最近弟と名乗る、全く知らない男性から連絡が来たという相談を受ける。手紙には、「ニッキー、たぶん僕はあなたの弟です」とあり、5~13歳の子供たちだけで、船でオーストラリアに連れて行かれたことが書かれていたという。

偶然が重なったマーガレットは、ロンドンにあるオーストラリア大使館に行き、彼らが子供だった頃の1940~50年代に、子供たちだけで移民した記録がないか問い合わせる。すると、大使館の人は、
「ここにはない。イギリス政府がやったことです。」

マーガレットは、役場でシャーロットの出生届を探し、母親の線から真相を調査しようとすると、母親はまだ生きており、1956年に結婚したことがわかる。マーガレットは、孤児でもないシャーロットが、なぜ孤児院に入れられたのか不審に思い、母親を探して接触する。
母親に、シャーロットがオーストラリアに連れて行かれ、そこの孤児院で育ったことを伝えると、母親は、
「なぜ? 養子に出したと言われたのよ」

マーガレットは他に同じような経験をした人々を集め、1人1人に話をじっくり聞いて調査していくうちに、かつて行われていた「児童移民」の存在に行き当たる。マーガレットは夫の助力も得ながら、別れ別れになっていた数千組の母子を引き合わせる一方で、児童移民の実態について調査を進め、政府に事実を認めるよう訴えたり、ラジオなどを通じて問題を広く知ってもらおうとする。

マーガレットは、児童移民の被害者を支援する組織を作るが、協力者は少なく、逆に政府から妨害されたり、この問題に関わっていた教会や施設の関係者から中傷されたり、脅迫を受けたりしてしまう。