夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

教え子に会いに

2017-02-28 23:57:19 | 日記
前任校で最後に担任したクラスの生徒たちが卒業を迎えるので、ひと言お祝いだけでもと思い、岡山に行く。
昨日、学年末の成績処理をなんとかすべて終わらせたので、後顧の憂いはない。
せっかく休暇を取ったので、このついでに美術館めぐりや買い物もしつつ、ゆっくり過ごしてくる予定である。


米子道を行く途中、まだ雪残る蒜山がきれいに見えた。
教え子たちと会うのは2年ぶり、彼らがどれだけ成長しているか、見るのが楽しみだ。

錯覚

2017-02-17 22:30:35 | 日記
先日、授業で漢字テストを実施した後、学生から、この問題を作ったのは先生かと聞かれた。
「『凄艶』(せいえん)の読みを問う問題がありましたが、漢字ワークにはそれ、なかったですよ。」
「え~~!? ワークのいちばん下の段に、難語句の読みを問う問題があったじゃないか。そこに出てたはずだけど。……どれどれ、ちょっとワーク見せてみ。……ほら、あった!」
と指さすと、
「先生、それ『濃艶』(のうえん)です。」
じっと目を凝らしてみると、確かに「濃艶」だった。

学生に平謝りの後、老眼鏡を買うことを約束し、
「老眼もここまできたら仕方ないな。みんなくらいの年齢の頃は、まさか自分がこうなるとは思いもしなかったけど…。ま、この先オレが老眼鏡をかけてきても、笑わないでやってくれ。」
と言ったら、学生たちに笑われてしまった。


私は小さい頃から視力だけはよかったので、眼鏡のお世話になることへの抵抗がものすごく強い。
しかし、すでに人に迷惑をかけるレベルにまで視力の衰えが進んでいることを自覚し、ゆっくり、そして確実にわが身にも老いが訪れている現実を受け入れていこうと思う。

講演会 その後

2017-02-14 22:43:52 | 日記
先日、私が講演会をしたことが、地域紙の記事として取り上げられていたと、職場の先輩の先生から教えていただいた。

拙い発表だったのに新聞に載ったのが、かなり気恥ずしかったこともあり、
「いや、私がメディアに取り上げられる機会なんて、先生の比じゃないですから。」
と思わず謙遜すると、(実際、その先生は頻繁に、教育活動や社会問題に関する意見が新聞等に掲載されている。)
「私の方こそ、先生のようにちゃんと資料に基づいて研究した内容ではありませんから。」
と言われた。


それを聞いて、自分の研究がなかなか進まないからといって、必要以上に恥じることはないのだと思った。

一次資料を解読し、その解釈を検討した上で、文学作品としての価値を考究し、文学史・研究史の中に置いたときに何が見えてくるのか見定める、といった一連の作業にはそれなりの時間がかかるし、かけなければきちんとした研究にはならない。
成果主義がやかましく言われる現今の状況だが、愚直に見えてもこうした研究上の手続きを疎かにしてはいけないし、ちゃんとやっていれば、どこかでそれを見ていて評価してくれる人もいるのだなと思った。

この先生は、人の長所を見つけて褒めるのが得意だし、職場である嫌なことも、ユーモアに包んで愉快なネタにしてしまう名人なので、なんとかあやかりたいと思っているのだが、なかなか……という感じである。

百人力

2017-02-11 22:29:57 | 日記
今日は昨年から依頼されていた、市民対象の講演会の日。
しかし、山陰地方は数年に1度という記録的な寒気の影響で、昨夜から大雪となってしまった。
米子でも土砂降りのように雪が降り、積雪の影響で列車が止まり、道路も思うように進まない。
午前中に市立図書館の司書の方から、講演会を延期にもできますが、どうしますかと連絡があったが、今からでは以前お誘いした方々に中止の連絡が行き届かないので、思い切って決行することにした。

その時の私の気持ちとしては、たとえ来場者が一人でもやるつもりでいたが、実際には13人もの方が来てくださった。
職場の古文書の会の方、境港の古文書の会代表、鳥取県歌人会代表、源氏物語講座の受講者の方…。図書館司書の方は、「この状況での13人の参加者は、通常の場合の百人にも匹敵する。」と感激していた。


確かにこの悪天候で交通も不便を極める中、こんなに多くの方が足を運んでくださったのには感謝感謝で、私には会場がいっぱいになったように見えた。
講演では、米子・境港にゆかりの歌人3人(門脇重綾・飯田年平・小谷古蔭)を主たる対象として、彼らの和歌に幕末・明治維新期の世相や郷土の自然がどのように歌われているかを紹介した。
事前の準備が十分であったとはいえず、拙い発表ではあったが、会場から百人分のお力添えをいただいているように感じつつ、無事最後まで話を終えることができた。

立春

2017-02-04 21:38:38 | 日記
今日は立春にふさわしい、穏やかで暖かな一日となった。
研究室で、いよいよ来週に迫った学年末の試験問題と、講演会の資料・スライドの作成などで一日を過ごしたが、夕方、ふと思い立って弓ヶ浜の浜辺に行き、そこから大山を眺めた。


思いなしか、麓のあたりが霞んでいるように見える。
春の兆しが早くも現れたのか、あるいは春の訪れを待つ心がそのように見せているのか。

  大山も春立つ今日のしるしとやけしきばかりに薄がすみつつ