夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

追々々々々試

2012-10-17 21:01:38 | 教育
中間考査は昨日で終了したのだが、追試になった生徒への対応がまだ残っている。

先週木曜日に1年生の古文のテストがあって、
「用言の活用の文法問題20点のうち、半分取れない者は、自動的に追試!」
と予告しておいたのだが、なんと2クラス70名のうち、36名が不合格に。

翌金曜日に、文法ワークノートから該当部分を印刷したものを不合格生徒たちに渡し、
「月曜日に追試をやるから、週末の間に勉強しとけよ」
と言ったのだが、月曜日に追試してもまだ17名が残った。

この段階で残っている生徒は、学習意欲が薄いか、あるいは根本的にわかっていないかなので、昨日、彼らを多目的教室に集め、追々試の前に1時間みっちり基礎から教え直した。

たぶん、このブログの読者さんたちからすれば、
「なんで用言の活用ぐらい、覚えられないの?」
と思われるかもしれないが、中学校までに〈その教科の基礎・基本となる事項は覚えなければならない〉という認識が育たないまま、高校に入ってきた生徒にとっては、暗記自体が難しいことなのだ。

だから、昨日の私は今まで教えた中でいちばん辛抱強く、いちばんわかりやすく、彼らがどこでつまづいているかを的確に把握できるように注意を払いつつ、もう一度用言の活用を教え、最後に暗唱させてから追々試を行った。

しかし、それでもまだ12名が残った。ただ、私は彼らに怒る気にはなれなかった。答案を採点していて、彼らなりに一生懸命頑張っているのだが、理解が追いつかないだけだというのがわかったからだ。

彼らだって、本当は早く合格して、この教室からおさらばしたいのだ。しかし、
「合格しないと進級はないよ」
と言われているから、初めて危機意識を持って勉強しようとしている。ただ、悲しいかな、今まで暗記の要領を会得しないでここまで来ているので、単純に覚えればいいだけのことでも、記憶の体系に組み入れ、落とし込むのに混乱が生じるのだと思う。たとえば、つまづいている生徒にとっては、カ行下一段活用の「け・け・ける・ける・けれ・けよ」はそれ自体、なんでこんな風に変化するのかミステリーだし(「蹴る」は現代語では五段活用)、カ行変格活用の「こ・き・く・くる・くれ・こよ」と混同してしまったりするのだ。

その日は追々々試までやって、8名が残ったところで切り上げた。ここまで残った生徒の場合、記憶の回路がつながるには、時間がかかるからだ。

そして今日。朝、担任の先生に頼んで、今までやった追々々試までのテストをまとめて渡してもらい、
「放課後にまた追試するから、それまでにやっとけ」
と指示してもらった。

放課後、すっかりなじみとなった多目的教室に7名が集合(1人は欠席)。事前に私から合格のためのポイント(裏ワザ)を伝授し、全員で暗唱の後、テスト。順番に採点し、今日は次々に合格者が誕生。彼らの笑顔を見ていると、しんどいけど、やっぱりできるまでやらせることが教師の仕事だし、心を鬼にしてやってよかったと思う。できなかった者ができるようになるのは、それだけでドラマなのだ。

残念ながら1人だけ不合格者が出たが、欠席者と一緒に明日もう一度チャレンジしてもらうことにした。まあ、明日は大丈夫だろう。