夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

きみ棲みロス?

2018-03-26 22:12:24 | 日記
ドラマ「きみが心に棲みついた」が終わって1週間にもなろうとしているのに、自分の中では明日以降もまだ放映が続くかのような感覚が抜けきらない。
先週の最終回では、最後に強引に話をまとめた感があり、未回収・未解決の部分も多々あって、見終わった後で狐につままれたような気分になった。
電車に乗って、目的地にまだ着いていないのに、むりやり途中下車させられた感じであり、単に終わって寂しいという「ロス」(喪失感)とは違う気がする。

単行本の最新7巻が出たので手に入れて読み、やはりストーリー展開はオリジナルのほうがよいと思った。


もっとも、ドラマでの俳優陣の個々の演技は見応えがあり、主役の吉岡里帆は、挙動不審で言動に一貫性がなく、他人からは理解も共感もしにくい小川今日子(キョドコ)の役をよく演じていたと思う。
今日子を束縛し様々に苦しめる星名を演じた向井理は、表情やちょっとした仕草だけで複雑な内面や暗い過去を表現していて、こんなにいい俳優だったのかと感心させられながら見ていた。
石橋杏奈、鈴木紗理奈もハマリ役で、今後も連載の続くマンガを読むときは、彼らのイメージを重ねて「きみ棲み」の世界に浸ることになりそうだ。

母情

2018-03-21 23:13:12 | 日記
郡上八幡の洋風居酒屋で飲んだ地酒「母情」(ぼじょう)の蔵元が、徳永駅の近くにあったので、古今伝授の里を訪れた帰りに寄ってみた。
事務所に商品を買ったり試飲もできるコーナーもあったが、あいにく誰もいなかったので、購入をあきらめて外に出た。


しかし、その辺りを少し歩いていたら、「母情」の販売所という酒屋があったので入ってみた。
店主から、昨日飲んだ酒はおそらく、「郡上踊り」というラベルのついた純米酒ではないかと言われたので、お土産に4合瓶を1本求め、カップ酒も一つ買った。

今回の旅で行ったのはここまでで、その後は7時間ほどかけて列車を何度も乗り継ぎ、米子に帰ってきた。
夕食は、岡山から乗った特急やくもの車内で食べることになったが、弁当のおかずをつまみにしながら飲んだ「母情」のカップ酒は美味しく、旅の思い出とともに味わった。

古今伝授の里

2018-03-20 23:11:38 | 日記
郡上八幡で泊まった翌日、再び長良川鉄道に乗って三駅目の徳永で降り、そこから30分ほど歩いて「古今伝授の里」に行った。
室町時代、この辺り(郡上大和)を治めていた東常縁(とうのつねより)は、武人であるとともに優れた歌人であり、この地で連歌師の宗祇(そうぎ)に古今伝授を行ったとされている。

かつての東氏居館跡のあたり一帯が、今は古今伝授の里・フィールドミュージアムとなっており、栗巣川をはさんで居館跡の庭園を見下ろす高台に、東氏記念館や和歌文学館がある。
和歌を学ぶ者としては、ぜひ一度ここを訪れたいと思っていた。


和歌文学館は回廊式の展示館で、万葉集から近代短歌まで、和歌・短歌の歴史をわかりやすく学べるようになっている。
私が行ったときは、「歌人たちの足跡」という、主に近現代の歌人たちの自筆短冊を中心とした展示が行われていた。表記を改めて紹介すると、
  
  駒とめてかへり見すればほととぎす一声鳴きぬ妹が家のあたり(落合直文)
  吉野山その唐歌を誦しければ袖にぞかかる秋の時雨か(佐佐木信綱)
  横雲が照る日を含み輝けば幸ひの巣のここちする海(与謝野晶子)

与謝野晶子が大正11年、大垣在住の女性に短歌の添削をした書簡も展示されており、とても興味深く見た。

全国の歌人や短歌結社、出版社等から送られた歌集や歌誌、和歌・短歌の研究書等を所蔵する短歌図書館大和文庫もここにある。
和歌・短歌に携わる者にとっては聖地ともいえるところであり、訪れることができた幸運を思った。

こぼこぼ

2018-03-19 19:03:26 | 日記
街歩きをしているうちに日が暮れ、先ほど雰囲気のよい洋風居酒屋があったのを思い出して入ってみた。とてもよいお店だった。

旅先で、美味しい食事と酒でもてなしてくれ、くつろぎと癒やしを与えてくれる店に出会えるのは、この上ない楽しみである。

最初に出してもらった地ビール(「こぼこぼ」という名前だった)は、ここで作っているということで、地下にある小さな醸造工房も見てきた。
入ってから気がついたが、この店はもと町屋で中が広く、他にビアホール、雑貨屋なども併設された、面白いつくりになっていた。


洋酒がメインの店なのに、頼んだら郡上の地酒も出してくれた。
亡くなった友人がこの店に来たら、きっと喜んだだろうな、と思いながら飲み、ほろ酔いで宿に帰った。

郡上八幡

2018-03-18 22:01:18 | 日記
亡き友人の父君には、お昼前に車で大垣駅まで送っていただいた。
駅前で軽く食事を済ませた後、東海道本線、高山本線、長良川鉄道と乗り継いで、郡上八幡(ぐじょうはちまん)に行った。

郡上踊りで有名な町だが、訪れるのは初めて。
旅館に荷物を置いてから、郡上八幡城に行き(標高354m、半ば登山だった)、天守閣から眼下の絶景を眺めた。
魚の形をした町の中央を吉田川が流れ、長良川に注いでいる。


その後、町なかを歩いたが、古い街並みに用水路が張り巡らされ、「水の城下町」と呼ばれているのを実感した。
新町通には、昔ながらの店々が軒を連ねており、私が子どもの頃に見た、父母の郷里の下仁田の商店街が思い出されて、懐かしい昭和にタイムスリップしたような感覚を覚えてしまう。