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韓国映画を見るのは久しぶり。『悪魔を見た』(2010)のイ・ビョンホンが主演、『ただ君だけ』(2012)のハン・ヒョジュも出演するというので、上映を昨年から楽しみにしていた。この映画は、韓国のアカデミー賞といわれる「大鐘賞」で主要15部門を受賞し(過去最多)、観客動員1,200万超の大ヒットを記録したのだそうだ。
朝鮮王朝時代、王と瓜二つの容貌であったために、影武者とされた男の、15日間の物語。
あらすじ(さわりだけ)
1616年、第15代王・光海君(イ・ビョンホン)は、暗殺の危機に瀕しており、次第に暴君となっていった。
宮廷内では、王の反対勢力が幅をきかせており、片時も油断を許さない状況である。
光海君は「誰も信じられぬ」と言い、腹心に命じて秘かに自分の身代わりとなる者を探させる。
そのころ、妓生(キーセン)宿で酔客相手に王が女官と戯れる卑猥な芸を披露していた道化師のハソン(イ・ビョンホン=二役)は、王とよく似た容姿であるため目を付けられて宮廷に連行される。その夜、ハソンと対面した王は、自分と瓜二つであることを確認し、これなら影武者として使えるとほくそ笑む。
ところがある日、王が毒に当たって臥せってしまう。この事実が公になると、反対勢力を勢いづかせてしまうことになるため、王の腹心で都承旨(承政院の長官)のホ・ギュンとチョ内官は、光海君を秘かに山寺に送って治療させ、当面はハソンを王の代役に仕立ててこの危機を乗り切ろうとする。しかし、影武者であったはずのハソンは、次第に王としての意志と判断力を持ち始め、政務を勝手に行うようになる。また、敵方や王妃(ハン・ヒョジュ)がそれぞれ、ハソンが本物の王でないことに気づき、宮廷内では偽の王を玉座から追放しようという動きが急になっていく…。
感想
各種雑誌などでの評価が高かったので、ずっと楽しみにしていたが、期待以上の見応えある映画だった。
イ・ビョンホンの演技は、やはりすごい。残忍で暴虐な光海君。軽薄なお調子者だが根は善良な道化師のハソン。その同じハソンが、仮そめに即いた王位に、誰よりもふさわしい名君になっていく。お得意のアクションは今回ほとんどなかったが、滑稽な演技からシリアスで緊迫したシーンまで、幅広く演じられる役者だと思う。
ハン・ヒョジュは相変わらず美しかった。
また、王の毒味役の少女のサウォルは、どこかで見たような女の子だなあと思っていたら、『サニー 永遠の仲間たち』(2011)で主人公・ナミの女子校時代を演じていたシム・ウンギョンだった。
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俳優たちの演技や、脚本、音楽もすばらしかったが、私としては衣装や調度類の豪華さに、まず目を奪われてしまった。それらに惜しみなく金がかけられていることが、華麗な宮廷生活と熾烈な権力闘争を描くこの映画に、何よりも真実味を与え、重厚な作品にさせていたように思う。きっと女性なら、王妃や女官たちの着ている美しい着物や、王妃の髪飾りに、思わずうっとりするのではないだろうか?
願わくば、日本でもこれぐらいふんだんに金をかけて、『源氏物語』や『平家物語』の世界が再現されんことを。