夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

タオル美術館

2016-10-30 23:48:29 | 日記
先日、松山で行われる学会に、私が車で行くことを職場の先輩教員に話すと、
「そうですか、しまなみ海道を通って…。だったら、今治でタオルを買ってくればいいじゃないですか。来年の寮祭の蚤の市で、それを寄付してやれば、寮生たちが喜びますよ。」
なるほどー、と思ったので、今治ICから車で25分ほどの所にある「タオル美術館」に行って来た。

ここは、タオルの製造工場や、タオルを使ったアートギャラリーを見学でき、観光客にもなかなか人気のあるスポットなのだ。
今開催中の「ムーミンの世界展」を見てきたが、私は正直、ムーミンはあまり好きではない。

3Fのタオルコレクションショップで、寮祭の寄付用にバスタオルを買ってきた。
今治タオルはやはり上質で、肌触りがよいのに感心する。
これなら寮生も喜ぶだろう。


ショップには、ブランドものやキャラクターもののタオルも多かった。
そういえば、明日はハロウィンだったな。

しまなみ

2016-10-29 23:23:44 | 日記
学会で松山に行くため、松江道からしまなみ海道を通って愛媛に入る。
米子から松山へは、鉄道を利用した場合、特急を乗り継いで6時間以上もかかるので、ハナからあきらめた。
さすがにそこまで辛抱強くはなれない。
一人で車を運転するのは疲れるが、途中の景色も楽しめるし、まあいいか。


今日は朝から雨で、尾道あたりまではずっと外の風景がグレーがかっていたので、気分が滅入りそうだったが、しまなみ海道に入ったあたりから、少し青空が見え始めた。
4年前、両親と道後温泉に行った帰りにここを通り、大三島の大山祇神社にお参りしたことを思い出す。

詠酒

2016-10-28 20:16:21 | 日記
先日、門脇重綾自筆の和歌掛軸を手に入れることができた。
郵送されてきた品を早速確認してみたが、保存状態もよく、墨跡も鮮明でなかなかよい。
書かれているのは、「詠酒」題で詠まれた長歌であり、この点もすこぶる気に入った。
  
美酒(うまさけ) 恵我(ゑが)の市に 吾が買ひし うまし此の酒 ひとりのみ われ飲まめやも 高山の 峰ゆく鹿(しし)の 友なめて ひきゐつらなり 処女(をとめ)ども 中にすゑおきて 秀樽(ほだり)とり うちあげ遊ばひ ゑらゑらに 酔(ゑ)ひにしゑへば……

と続く。

このブログの読者の方はよくご存じのことと思うが、私はお酒が好きなので(弱いけど…)、門脇重綾が酒を讃えたこの掛軸が、自分の元にやってきた奇縁には歓喜と昂奮を禁じ得ない。
来月、境港である門脇重綾についての講演会の際に、展示品に加えてもらい、市民の方にも見ていただきたいと思っている。

花は盛りに

2016-10-26 22:12:52 | 日記
先日、1年生に教えていた『徒然草』の単元が終わったので、彼らに今回の学習を通しての感想をノートに書かせ、提出させた。今日の午前中は授業がなかったので、ノート点検をしていたら、なかなかよい感想を書いている者が何人もいた。

・古文はそのまま見るとかたくるしい感じがするけど、口語訳してみると現代の人と同じような感性を昔の人が持っていたことが分かってほっとした。
・普段なんとなく思ったり、やっていることに着目して、それをなんということもなく書き出せる兼好法師の発想のすごさを感じました。
・現代にも通じる教訓がいくつもあるので、人の心の中には昔から変わらないものがあるのだと思いました。
・兼好法師の言っていることは、人間の核心に触れていて、とても共感できた。また、とても人間観察が上手な人だと思った。現在の人にも当てはまるようなことを言っているので、人間は進歩しないんだな、とも思った。

学生の感想は基本的に楽しく読ませてもらっているが、ギクッとしたのは、ある学生が、

・先生が恋愛を語ると、身を張った冗談にしか聞こえないのはなぜでしょうか。

と書いていたのを読んだとき。
これはおそらく、『徒然草』の「花は盛りに」(第132段)に、
  
男女の情けも、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは。逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひとり明かし、遠き雲居を思ひやり、浅茅が宿に昔をしのぶこそ、色好むとは言はめ。

という一節があり、それを訳しながら解説したときのことを言っているのだと思う。

男女の恋愛も、リア充のことだけを言うのではない。心から好きだったのに、結ばれることなく終わる恋愛もある。一生添い遂げようと誓ったのに、その約束が空しくなったことを、今でも恨めしく思う恋愛もある。片思いの相手を、あるいは別れた恋人を思って、孤独に泣き明かす夜だってある。遠く離れた相手を恋い慕うせつなさも、恋愛のうちだろう。終わってしまったはずの恋が忘れられず、思い出の残る場所を一人訪れて昔を懐かしく思うことだってあるかもしれない。

と、学生が理解しやすいように意訳しつつ説明したのだが、身に覚えのあることもあるので、自然と感情がこもってしまったのかもしれない。


「猫また」の話(第89段)に妖怪や都市伝説を、「名を聞くより」の話(第72)にデジャ・ヴを想起したり、弓の名人の話(第92段)にスポーツ上達の秘訣や人生訓を読み取る者もおり、古典なのに現代にも通ずる物の見方・考え方を、読者がそれぞれに見つけられるところが名作の所以なのかな、と思った。
それにしても、硬軟取り混ぜた多彩で幅広い話題を、平易な語り口でなんとなく読ませてしまう兼好法師の筆力には、何度授業で取り上げても感心させられてしまう。

日本酒の会

2016-10-24 19:51:22 | 日本酒紀行
職場内で秘かに結成・活動している〈日本酒を飲む会〉の2回目が先日あった。
日本酒をこよなく愛する者同士で、お酒と料理と会話を心ゆくまで楽しんできた。

今回のお店は桔梗屋だったのだが、料理は柿・栗・ムカゴをはじめ、秋の味覚を満喫させてくれるものだった。お酒も豊富な品揃えで、地酒を中心に梅津、天穏、十旭日(じゅうじあさひ)などをいただいた。

このお店には、お燗マイスターのお姉さんがいて、飲みごろの温度で燗酒を提供してくれる。また、ただお酒を出すだけでなく、それがどんなお酒かや、おすすめの飲み方などをさりげなく話してくれる心遣いが嬉しい。
当日は、鳥取県中部で震度6弱の大地震が発生したのだが、被害の大きかった湯梨浜町や北栄町の蔵元がどんな様子だったかも教えていただいた。

今回の参加者は4人で、こじんまりした会だったが、気の合った同僚たちと美味しいお酒と食事、楽しい語らいの時間を過ごすことができ、こうした仲間は貴重だと感じた。


日本酒の会は次回、誰かの家で、それぞれおすすめの酒を持ち寄り、鍋でもしながら飲もうということになっている。
今から楽しみだ。