夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

公開授業で雷。

2012-05-30 22:23:21 | 教育
今日、勤務先の高校では全校挙げて、保護者や塾関係者など、一般の方々への公開授業が行われた。

私は、やや異例なのだが、自分の担任ではないクラスでの授業公開だった。学習指導案こそ作らなかったが、テストの採点と成績原票作成で忙しい最中でも、予習はしっかり行い、タイムテーブルを作って授業に臨んだ。


チャイムとともに教室に入ってびっくり、わが目を疑った。黒板に、前の授業の板書がそのままだ。(マイガッ。)


しかし、落ち着いて、「日直は挨拶が済んだら、黒板を消すこと!」と指示して、教卓の所まで行き、委員長の「起立!」という声を聞きながら、生徒の方を向いた、と、まだ机に突っ伏して寝ている生徒がいるではないか。(まだ二時間目なんですけど)。
周りの生徒に、「寝ている者を起こしなさい」と言って、礼を済ませるが、なんだかなあ、という感じである。


「出欠を確認している間、教科書の211頁を開けて、『竹取物語』についての説明を読んでおくこと」と指示しかけて、机の上に教材が出ていない生徒が何人かいるのに気付き、出すように指示する。もう大丈夫かな、と思って出席簿に目を落とし、記入しようとした私の視界にありえない光景が飛び込んでくる。ペットボトルのお茶を飲みだした生徒がいたので、思わず「コラ!」と教室中に響く声で、雷を落としてしまった。教室の後ろには保護者の方がおられるのに。どもりながら、「授業が始まってから何分も経っているじゃないか」と生徒を叱ったあとで、「すみません、大きな声を出しまして…」とおわびしておいた。


その後はさすがに生徒たちも神妙にしてはいたが、『竹取物語』の内容をどれだけ知っているかのクイズが始まると、けっこうのってきてくれた。驚いたのは、「かぐや姫は求婚した五人の貴公子に、どんな難題を出しましたか?」という質問に、生徒たちが完答したことだ。一番難しいと思っていた「仏の御石の鉢」が、最初の答えで出たし、「龍の頸の玉」、「蓬莱の玉の枝」も出た。「燕の子安貝」を「燕の巣」と答えた生徒がいたのはご愛嬌。みんなウケていた。「あと一つ残ってるけど」と聞いたら、「火鼠の皮衣」と賢そうな生徒が答えてくれた。


今日の授業のテーマは、「古文の授業ノートの取り方を実践する(上下分割・対照スタイル)」と、「係り結びの法則」だったのだが、なんとか授業の二つの柱については、時間内に取り扱うことができた。細かいミスは多々あったし、説明がくどかったり、逆に足りなかったりもあったけれども、授業目的の7割以上は達成できたので、まあよしとする。もう少し生徒全員を巻き込んで活動させられる場面が、公開授業という性格を考えると、設定しておきたかったと反省する。やはり、保護者の思いとしては、教師の授業を見にきているわけではなく、子供が発言したり褒められたりする場面をもっと見たいものだろうと思う。


授業後に、担任の先生にお願いして授業アンケートを見せていただいた。「生徒の授業への集中・取り組み」にAでなくBが多かったのは仕方がないか。「授業のわかりやすさ」も同様だったのは反省点。もう少し工夫が必要だった。コメント欄に、「先生の元気な授業で」という書き方がしてあったのは、皮肉かも。


公開授業をして改めて、計画通りに授業はいかないこと、自分が意図した通りに他人は授業を理解してくれるわけではないことを痛感した。これからも、知的でおもしろい授業を目指して、「うまず、たゆまず」で続けていく。

同じようなものですよね?

2012-05-29 22:45:03 | 雑談


先日の話。

本校では各クラスとも、毎朝SHRで生徒から携帯電話を回収しているのだが(職員室で保管して、終礼時に返却する)、そのとき、ある生徒のケータイに、どこかで見たカエルのストラップが付いていたので、思わず「あ!けろけろけろっぴ」と言って、生徒達に思いっきり笑われた。ケロロ軍曹を私は知らなかったのだが、生徒達のほうもけろけろけろっぴは初耳だったらしい。

学会2日目。

2012-05-27 21:37:51 | 日記
昨日は埼玉の実家に泊まり、両親から畑でとれたての野菜と心づくしの料理で歓待を受け、英気を養った。

今日は午前中4本、午後も4本の研究発表を聞く。発表者の方が真剣勝負で大変なのはもちろん承知しているが、聞くほうも体力的にかなりしんどいものである。

しかし、全国の研究者が一堂に会して、この分野での研究の最先端、最高水準を体験できるのは、やはり貴重な機会である。自分ひとりで籠って勉強していてはいけないことを思い知らされる。

学会発表では、論文を書くときと違って、自分とは分野の違う方にも分かってもらえるように発表しなければならない。そのための資料の作り方、25分という制限時間内に発表をまとめ、なおかつ、その後、誰からどんな質問が飛んでくるか分からず、またその質問に対してどう答えるか、会場が注視している中で質疑応答を持ちこたえなければならない。見ていて本当に参考になった。

今回は学会の会場が都心からは遠く、岡山から羽田に来て、さらに2時間近く移動、という強行軍だったのだが、それに見合う価値は十分にあった。

明日からまた、勉強もがんばろう。

学会に参加。

2012-05-27 08:41:31 | 日記
昨日は疲れていて、この記事を書いている途中で寝てしまった。文中の「今日」は正確には昨日のことなのでご注意を。


会場の中央大学はとても大きく、壮麗な建造物に緑豊かな構内。土曜日なのにサークルや勉強で来ている学生で溢れていた。法律・正義・秩序の女神テミス像があるのは、もともと法律学校として始まったこの大学らしい。

今日は公開講演会で、以前から楽しみにしていた五味文彦さんのお話を聞けたのがよかった。

作家の丸谷才一さんがかつて、「本人が真面目に研究すればするほど、学会の在来の学風から外れていくところがあって面白い」というように評されていた日本史学者である。私も『院政期社会の研究』や『藤原定家の時代』をはじめ、学生時代からその本を読み、ずいぶんお世話になった。史料を読む面白さや、文学作品や作者を歴史の上にどう位置付けるかなど、根本的なところで教えられたことが多い。

この日の講演も、鴨長明を同時代人の史料によって客観的に「人間的には曲がっていて非社交的」などと斬ってしまうのでなく、あくまでも『方丈記』や『無名抄』といった本人の作品から人物像を浮かび上がらせることが大事だというお話をされていたのに共感した。

明日は一日、研究発表を聞く。内容だけでなく、発表技術や質疑応答での受け答えについても学んできたい。

『超能力者』観ました。

2012-05-24 21:38:41 | 映画
W主演の一人、カン・ドンウォンは、『オオカミの誘惑』(2004)以来、注目している俳優。コメディもアクションもいけるし、『チョン・ウチ 時空道士』(2009)は映画としてはいまいちだったが、演技はよかったし、『義兄弟』(2010)も面白かった。

この映画も、だから期待して行ったのだが、かなりがっかりして帰ってきた。少年の頃、親まで自分を殺そうとしたほどの超能力(目で自在に人を操る)を持ち、唯一その力だけを信じて生きる孤独な男(カン・ドンウォン)と、彼に勤め先の社長を殺され、彼を倒すために立ち上がる青年(コ・ス)との対決という構図は、最初は面白かったのだが…。

ハラハラドキドキするスリリングな展開があるかと思えば、お笑いかい、という場面もあったりして、流れが不調和な印象を受けるし、コ・スの演じる青年が不死身すぎて、いくらなんでもありえないだろう、と白けてしまった。いろいろツッコミ所が多すぎるので、話の整合性やリアリティを求める人には、はっきり言って不向き。ラストシーンもどうかなあ、という感じだった。

カン・ドンウォンのファンにはオススメ。あの目ヂカラにはやられる。それ以外はいまいちかも。残念だったが、まあ、映画に当たり外れがあるのは当然。また、ドンウォンの次回作を楽しみにしていよう。