夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

安息

2017-05-27 21:53:47 | 日記
昨夜は、実家に帰る途中で池袋に寄って「蛍月」で一杯やり、今日は午後から学会があるので明治大に行く前に、やはり池袋に寄って買い物と昼食。
「坐唯杏」で昼から燗酒を一合いただいてしまった。
昼から燗酒を楽しめる(しかも日本酒の品揃えが豊富)店がいくつもある東京は羨ましい。


忙しい日常から離れ、こうしてくつろぐ時間を持てると、大げさではなく、自分の魂が解放されるような安息感を味わう。
ここ三月ほどは、毎月地元のTV番組の収録があり、それを軸に全てが回っていたので、呪縛から解き放たれたような気がする。
もっとも、それも束の間で、向こうに帰ればまた新しい課題に取り組み、営々と努める日常が再開することは承知しているが、今だけはとりあえず、この解放感に浸っていたい。

弓ヶ浜

2017-05-26 23:50:13 | 日記
明日から東京で学会なので、早めに仕事を終えてからそのまま米子空港に向かい、夕方の便で出発した。
あいにくの曇り空だったが、離陸してしばらくの間は、弓ヶ浜半島・島根半島の姿を眺められた。


いつもそう感じない日はないが、空から見ると改めて自然の造形美に圧倒される。
大山、中海、弓ヶ浜を擁する米子・境港は、私にとって世界で最も美しい場所であり、そこに住んでいる幸せを今さらのように感じる。

連休を満喫中

2017-05-05 22:14:52 | 日記
五連休中日の今日も、後日収録する教養番組の原稿の下書き作業を行う。
文学のように、文字で書かれた世界のことを、一般の視聴者に分かりやすく説明するのは非常に難しいと実感する。
なるべく資料や絵画などの画像を紹介しつつ、理解に資するように心がけているが、ただ論文を書くのとはまったく別の大変さである。

息抜きで久しぶりに映画館に行き、作品の世界にどっぷり浸ってきた。
よく出来た虚構作品には、一時的にせよ、人を現実世界の煩わしさから逃避・解放させてくれる力があることを改めて感じた。


そういえば、年度末・年度初めでなかなか時間が取れず、下書きのまま放置して書けなかった記事を、ここ数日間に上げておいた。
よろしければご一読ください。

  水木しげる展のこと (4/4)
  フルーツバスケット (4/12)
  神山 (4/13)
  かたはらいたし (4/22)
  海北友松展 (4/23)


たのしみは

2017-05-03 21:53:07 | 日記
今日、研究室で調べ物をしていたら、『幕末の歌人』(福井久蔵著)に橘曙覧(たちばな・あけみ)の「独楽吟」五十二首がまるごと取り上げられていて、共感しつつ読んだ。

ご存じの方も多いと思うが、五十二首全て「楽しみは……」で始まり、「……時」で終わる連作の和歌である。清貧・清廉な生活信条が伝わり、好ましく感じられる。

  たのしみはまれに魚煮て子ら皆がうましうましと言ひて食ふ時
  たのしみは三人(みたり)の子どもすくすくと大きくなれる姿見る時

が有名だが、今日私が読んでいてなるほど、と思ったのは、

  たのしみは草の庵(いほり)の莚敷きひとり心を静めをる時
  たのしみはそぞろ読みゆく書(ふみ)の中に我とひとしき人を見し時
  たのしみは人も訪ひ来ず事もなく心を入れて書を見る時
  
などである。

  楽しみは嫌なる人の来たりしが長くもをらで帰りける時

には、思わず笑ってしまった。気持ちはよく分かる。

曙覧を真似て、私も一首作ってみた。

  たのしみは研究室にひとりゐて書(ふみ)広げつつ想を練る時