夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

東京で学会

2016-05-29 21:37:06 | 日記
会場は大妻女子大学。
東京メトロ市ヶ谷駅から靖国通りを九段方面に歩き、10分ほどで着いた。


昨日はシンポジウム、今日は研究発表会で、説話・随筆・軍記・和歌などの発表を聞く。
専門領域や対象となる作品、取り扱う資料、研究方法などが異なると、十分には理解できない部分もあるが、逆に自分の専門から遠い方が参考になったりもする。
と同時に、普段自分がいかに狭い専門分野の枠に閉じ籠もっているかがよくわかる。


今日の研究発表では、和歌に関するものが3本あり、特に最後の発表には終始ワクワクさせられた。
平素の繁雑な日常業務から離れ、学問研究だけにどっぷり浸れる学会のような機会はやはり貴重である。
恩師や大学院の後輩にも久しぶりに会うことができ、束の間、学生時代に戻ったような感覚を味わった。

雲海に富士

2016-05-28 23:22:07 | 日記
学会に参加するため、朝の便で東京へ。
離陸して間もなく、日頃の疲れがどっと出て、ぐっすり寝込んでしまったが、ふと目覚めると、窓外に富士山の姿が見えた。


五月も末で、空の様子はもう梅雨を思わせるくらいなのに、まだ山頂付近にはわずかに雪が残っているのに驚いて、しばしじっと見入っていた。
 
  はや梅雨も近きを思へば富士の嶺におぼつかなくも見ゆる雪かな


女性の口から その2

2016-05-24 22:11:24 | 雑談
今日の古文の授業は、動詞の活用についてだった。
ナ行変格活用(「死ぬ」・「往ぬ」の2語)のところで、「死な・死に・死ぬ・死ぬる・死ぬれ・死ね」と教えていたら、先日、女子学生から「死ねや。」という言葉を聞いたのを思い出した。

その話を紹介すると、ある学生から、
「先生、じゃあ逆に、〈女子の口から聞きたい言葉〉1位って何ですか?」
と質問された。
「…それはやっぱり、『ステキ!』とか、『すごーい!』とか。」
と答えたら、学生たち、特に女子学生たちが、いかにもおかしそうに笑っていた。

女性の口から

2016-05-23 22:09:15 | 雑談
先日、暑いので教室の扉を開けたまま授業をしていたら、廊下を歩きながら話している女子学生たちの声が聞こえてきた。
彼女たちは3人で話をしていたが、ちょうど扉の前を通るときに、1人が、
「…死ねや。」
と言っていた、その部分だけが教室に響きわたったので、クラスで大爆笑になった。

笑いがひとしきり収まってから、
「人間、どこで何を見たり聞かれたりしているか分からないから、気をつけないとな。…それにしても、『死ねや。』は強烈だったな。今、オレの中で、〈女子の口から聞きたくない言葉〉1位にランキングされたし…。」
と言ったら、学生たちが笑っていた。

穴埋め短歌

2016-05-20 23:34:47 | 短歌
先日の文学の授業(短歌講座)のとき、学生に短歌の穴埋め問題をやらせたら、いろいろな解答があって面白かった。

これは創作短歌へのステップとして行ったもので、『穴うめ短歌でボキャブラリー・トレーニング』(産業編集センター編)に出ている問題を数問、そのまま使わせてもらった。

解答例をいくつか紹介すると、

①友がみな われよりえらく 見ゆる日よ ■■■買ひ来て 妻としたしむ
 (石川啄木)
元の歌では「花を」

学生の解答
・菓子を
・酒を
・土産
・シャンパン
・清酒
・ビール
・ワイン
・パセリ
・セロリ

「花を」の正解が2つあった。
啄木は、憂さ晴らしのための酒を買ったと理解する者が多かったのは、仕方ないか。
「パセリ」「セロリ」は、かなりいい線いっているような気がする。

②ウミウシに 話しかけたら ■■■■■ ような気がする からやめておく
 (村上きわみ)
元の歌では「長くなる」

学生の解答
・無視される
・溶けてゆく
・返事する
・逃げられる
・きりがない
・食べられる
・笑われる
・追ってくる
・溺死する
・不審者の

どの答えも秀逸だが、最後の答えが一番笑えた。

③幼き日 パン買いに行きし 店先の ■■■■■■■ いまも忘れず
 (萩原朔太郎)
元の歌では「額のイエスを」

学生の解答
・古き看板
・黒い番犬
・茉莉花(ジャスミン)の香を
・子どもの泣き声
・可愛い女子を
・くすんだガラス
・店員(売り子)の笑顔

「子どもの泣き声」は、「買ってよー!!」という泣き叫び声だろうか。

穴埋め短歌は、その歌の詠まれた状況や背景を、作者の立場になって想像・理解することにつながり、言語の運用能力のトレーニングにもなっていると思う。
私の行っている短歌講座では、学生が自らの心情や感動を創作短歌で表現できるようになることが目標だが、そのための準備段階として、短歌の穴埋め問題に取り組ませるのは、はなかなか有効な方法だと思った。