夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

初時雨

2012-10-23 20:24:27 | 日記
今日は朝から冷たい雨が降り、季節が晩秋になっていることを思い知らされた。

このブログの読者の方はもう気づいていると思われるのだが、私は一年のうちで秋がいちばん好きで、特に秋の夕暮が昔から好きだ。しかし、暦の上でも、実際の気象の様子でも、いよいよ秋がゆこうとしているのが寂しい。

昼過ぎ、午後最初の授業をしていたら、雨はもう上がったかと思われていたのに、急に教室の外からざあっという音が聞こえ、激しく降ってきた。生徒としばらく窓の外の雨を眺め、
「ちょうど今頃の季節に降ってくる雨を、時雨というんですよ」
と話した。時雨は晩秋・初冬を代表する景物で、和歌や俳句によく詠まれることを教え、

  神無月降りみ降らずみ定めなき時雨ぞ冬の初めなりける(後撰和歌集)

という歌を紹介すると、
「もう冬なんだ…」
と生徒も感じるところがあるようだった。

たぶん岡山では、今日の雨が今年初めての時雨だろう。休み時間に、遠山に降る雨を眺めながら心の中で思ったのが、

  遠山の峰に雲ゐる初時雨 下葉よりまづ色かはるらむ