元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ディープ・ブルー」

2016-08-12 06:35:50 | 映画の感想(た行)
 (原題:Deep Blue Sea )99年作品。レニー・ハーリンという監督はデビューから間もない80年代後半こそ才能(らしきもの)を発揮できたようだが、それ以降は駄作・凡作の山を築き、今では名前を憶えている映画ファンは少ない。しかし、ネームバリューは無くなっても、なぜか仕事自体はあまり減らず。お手軽B級監督として便利に使われているようだ。本作はそんな彼の諸作の中では、幾分マシな方に属する一本である。

 太平洋上に建造された海洋医学研究施設では、所長のスーザン・マカリスター博士のもと、各専門家がアオザメの脳組織を利用した人間の老化を防ぐ新薬開発の研究をおこなっていた。その進捗を視察すべく投資家グループの代表であるラッセルが研究所にやってくるというので、スタッフは彼の前でプレゼンテーションを実施する。ところが、その時にサメたちに異変が起こる。



 実はスーザンは法律違反を承知で私的なDNA操作実験に手を染めており、結果として高度な知能を持つサメを生み出してしまったのだ。ちょうどそのとき接近してきた大型ハリケーンによって所員たちが浮足立ったのを見計らい、サメは人間に襲い掛かる。救助にやってきたヘリコプターもサメのために墜落、研究所は破壊され、洋上に取り残された彼らは必死の脱出を図る。

 ヘタなドラマ運びに、さほど魅力のないキャスト、そして冴えない色調とド下手なSFXにより、最初の10分間は観るのが苦痛だったが、それを乗り越えるとマアマア見ていられる出来ではある。話は強引だが、テンポは良いのでそれほど腹も立たない。

 面白かったのが、“殺される順番”が通常のドラマツルギーとは若干違うところだ。普通ならコックのおじさんなんて真っ先にサメに食われると思うのだが、実はそうならない。反対に、重要な役割を果たすと思われたキャラクターが、次々とあえない最期を遂げる。終盤で生き残った数人のうち、またしても組織内での責任が重い奴がやられるという念の入れよう。観ていて苦笑してしまった。

 トーマス・ジェインにサフロン・バロウズ、ジャクリーン・マッケンジーといったメインキャストはまったく馴染みが無い。知っているのはラッセル役のサミュエル・L・ジャクソンとコックに扮したLL・クール・Jぐらいだ。トレヴァー・ラビンの音楽は好調。ただし、スティーヴン・ウィンドンのカメラは凡庸。まあ、映像美を見せつけるような類のシャシンではないので、仕方がないのかもしれない。

 関係ないが、ハーリン監督は一時期ジーナ・デイヴィスと結婚していたことがある。オスカー女優と所帯を持ったことがあるというのは、今の彼の境遇からすると、信じられないことかもしれない(笑)。
コメント
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