#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【aug_01】精霊の王

2012-08-01 | Mement_Mori
8月にはいった。
2012年もすでに3分の2が終わってしまった。

震災以後のニッポンの、
未来への方向舵を示し得ない状況は、
ここに来てさらに拍車がかかったように思う。

「日常の延長を」しか渇望しない、多くの市井の人々は、
今日明日の生活が立ちゆかなくなること…の怖れだけに戦々恐々とし、
エネルギー問題も、消費税問題も、日米安保も、滞りなく円く収まれば良いと思っている。

「わたしはいそがしいんだ。国家レベルの話に首を突っ込んでるヒマはない」

餅は餅屋の人頼みである。

昨日の首都圏反原発連合と国会議員との対話のUSTを観て思ったのも、そのことであった。

管前首相が「政治は実現してナンボ…だからしかるべき手続きを踏まえて動かなきゃならん」と語っていた。
これは江田五月さんも1960年の安保闘争を振り返って同じようなことを言っていた。

また平岡秀夫さんが「組織対組織」でコトを進めなきゃ俎上にも上らない的発言をしていた。

結局、間接民主主義ってのは、そういうコトなのだ。
組織の代表がしかるべき票を獲得して選出され、ピラミッド式にステージをUPしていき、
最終到着地点が首相という訳なのだから、そこに至るプロセスにどれだけの組織の票が集積されているのか…と思うと、
なるほど、ひとつひとつの発言の背後には、託された組織の思いを裏切れない…という重圧があるのだな…と
思わせる集積度合いが、議員の発言ひとつひとつに透けて見えたのだった。

ま、ここで政治思想を披瀝する知識も時間もないのだけど、

何が言いたいかというと、
中沢新一の「精霊の王」に
ニッポンの未来の答えがあるということ。

仏教伝来以前のニッポン人の宗教観が
この本には書かれているのだけど、
驚くべきコトにその原型が今も沖縄では生きているのだ。

中沢新一の勢いある言説の一部をここに抜粋すると…

 先祖の霊が万霊とともに島に戻ってくるという祭りの期間には、
 ニライからスク(底)を超えて様々な形をした来訪神がやってくる。
 来訪神たちは、森の奥や洞窟を通って、人間の世界にあらわれるのである。
 しかし、この期間をはずすと、来訪神はけっして現実世界を訪れてこない。
 この来訪神不在の期間には、村には御獄の神が常駐して、人々の日常生活を守っている。
 来訪神たちの出現場所とされている森の奥や洞窟は、そういう不断の時間では、
 恐ろしい危険な場所と畏れられていて、子供などもめったに近づかないようにしている。
 ニライスクへの通路は、完全に閉じられているわけではないが、
 人々はそれが意識に上ってこないように注意している。
 
 こういう報告を読むと、来訪神が訪れる時間を持っているこうした島の人々の意識が、
 ダイナミックに変化していくトポロジー(位相)の運動としてつくられている様子が、はっきりと見えてくる。
 大きな、それこそ神のような大きな視点に立てば、島の人々にとっての「世界」が、
 ニライという他界を抱え込んだ巨大なクラインの壺として出来上がっているのがわかる。
 生きている者たちは自分たちの知ることのできる世界だけで「世界」が完結できるわけではなく、
 死者や未来の生命の住処でもある普遍的生命の充満した潜在空間とひとつながりであることによって、
 はじめて豊かな全体性を実現できることが、伝統的な価値観を失っていない人たちにはよくわかるのだ。
 島世界の「内」は「外」とひとつながりになっている。

ポイントは日常社会がそれだけで完結した「世界」ではない…ということ。
そして、その背後にある潜在空間とひとつながりになる一定の期間(ここでは盆)があって、
そのときには、完結していた…と思われた「世界」が自己増殖を起こし、あらゆる価値観がひっくり返る。
その価値の転覆が毎年起こることで、人間社会の狭量な部分にバランスを与えている…という点。

そして何より素晴らしいと思ったのが、その「内」と「外」をつなぐ役割の来訪神が、
何を隠そうニッポンが古くから伝承してきた芸能として今も息づいている…ということなのだ。

ニッポン人独特の平衡感覚、そのセンスを呼び覚ますモノ、それが芸能である…ということ。

現代社会に欠けている決定的なモノが、やはりクリエイティブであるということが…
そして、実は古くからの社会形成のガス抜きとして「芸能」がバランスを保っていた…ということ。

ニッポンの政治には、大きくコレが欠けている。
まだ未整理だがこの「宿神=摩多羅神=精霊の王」が、大事なキーワードであると、確信した。



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【jul_28】出前あーと大学

2012-08-01 | ART
8月におこなわれる出前あーと大学の打ち合わせで多摩美上野毛校舎へ。

今回はなんと、和歌山県紀美野町。
初の出張撮影である。

講師をつとめるのは近藤晃子さん。
去年大学を卒業したばかりの超若手作家。

作品は「観客参加型インスタレーション_parch

空間にボタンをつけたゴム紐を巡らし、
さまざまな大きさに切ったフェルトを観客が思い思いに取り付けることで、
その「営み」がそのまま作品になる。

今回は子どもたちが空間を彩る。
試行錯誤の結果見えてくるモノが、楽しみ。

紀美野町は青い空と緑の、ニッポンの原風景みたいなところ。
きっと天然コケッコーな展開が生まれることだろう。


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