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#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Lee Chang-Dong】シークレットサンシャイン その2

2008-10-10 | BOOKS&MOVIES
Lee Chang-Dong films "Secret Sunshine"


(さきほどの続き。)



神の赦しを得てしまった犯人と、対峙するシネ。
わたしが赦しを与えるべき相手なのに、
何故神はわたしを差し置いて彼に赦しを与えたのだ!

うなだれる、シネ。
そして完全に精神を破壊される。

信仰を支えにして
悲しみの萌芽を摘み取ってきたけれど、
もう為す術は、なかった。

「信仰なんてごまかしじゃないか!」

すり替えているだけじゃないか。

     ●

これだけの衝撃を、ボクは知らなかった。
その核心にメスを刺すイ・チャンドンの洞察力たるや。

どこまでも救われないシネの境遇。
これだけの激しさをもって演じきったチョン・ドヨンも
化け物みたいな女優だけど、
監督の人間に対する目線に、度肝を抜かれた。

結局のところ、
最後まで救われない。

ホームページでは、暖かな陽射しのようにシネを見守る
ソン・ガンホ演じるジョン・チャンの存在が救いのような書き方をしているが、

業に振り回される存在…である人間のはかなさは
どこまでいっても、救われないように思えてならない。

愛に溺れ、欲に溺れ、哀しみに溺れ、
人生ずっと流されっぱなし。

支えとなるべく、信仰やパートナーも
絶対的なものじゃない。

結局は吊り橋の上で、ぐらぐらと揺られ、へたり込むしかない。

なんで、こんなに弱い存在なんだ。

     ●

その1点に帰着して、
ボクはしばし呆然とした。

こんなにも運命に翻弄されて
突然の死を迎える。

死にたくて半狂乱になっても
己の命は奪わないのに、
支えとなっていた息子の命は
いともたやすく奪い去った。

こんなにも自由にならない人生ってなんなんだ。







【Lee Chang-Dong】シークレットサンシャイン その1

2008-10-10 | BOOKS&MOVIES
Lee Chang-Dong films ”Secret Sunshine”


    ふりそそぐ陽射しをどれだけ浴びたら
       あなたの悲しみは消えてゆくのだろう


コピーライターに薦められて
イ・チャンドン監督の「シークレットサンシャイン」を観に行く。


予告編が痛々しかったので、
覚悟はしていたが、
まさかここまでとは…思わなかった。

(ここから先、あらすじ。)
 
旦那を交通事故で喪い、
彼の故郷である「密陽(秘密の陽射し)」という田舎町へ来た妻、シネ。

ソウルから抜け出し、全てをリセットすべく
誰も知らない田舎町でピアノ教室を始める。

一人息子のジュンだけが、心の支え。

不幸を背負って生きたくは、ない。
だから、この「密陽」に来た。

そんな強気が裏目に出たのか、
息子ジュンが誘拐に遭ってしまう。

身代金の要求に、ひとり半狂乱になりながらも
「心の支え」を取り戻すべく、全財産を所定の場所へ。

しかし、ジュンは帰ってこなかった。

変わり果てた姿で遺棄された息子を確認するシネ。

もうわたしには何も残っていない。
カラダの震えが止まらない。
生きる意味が見つからない。
突然の嗚咽が息を詰まらせる。
吐いても吐いても呼吸が静まらない。

ドロドロになって涙も嗄れて、
ワラにもすがる思いで教会のミサに参加する。

そこでは同じように嗚咽を繰り返す人々の姿。
シネも心のタガが外れたかのように、深く慟哭する。

神に向かって吠える。
「何故!」「何故!」「何故!」



そして、すっと平安が訪れる。



わたしは神に愛されているんだ。
だから、このような試練が与えられるのだ…と。

シネは、すべてを赦したい…と思った。
わたしから根こそぎ奪い去っていった因果すべてを。

そこで、ジュンを殺した犯人のいる刑務所へ足を運ぶ。

「わたしが彼を赦すことで、ジュンは救われるのです」





     しかし。




同じように、犯人も入信していた。