4・5年前サクランボの小さな苗木を買って植えた。少し大きくなってほんの少しだけれどサクランボが生る様になっていた。でもサクランボは私の口に入る前に小鳥に食べられてしまっていた。今年ぐんと大きくなって下に植わっている植物に陽が当たらなくなりこれは困ったことになったと悩んでいたが、花も一杯咲き実も大分なっている様子。先日秦野に行った時この状況を長女に話したら、「もっと木は大きくなるわよ」って言う。今でもジャングルの様な庭であるのにサクランボの木が大きくなれば更にジャングル化してしまう。「思いきって枝を低く切ってしまおうかしら」と言ったら、「私が行って切って上げるわよ」と言ってくれた。
そして昨日長女は早昼を食べ遠い秦野から私の為に来てくれたのである。来るなり一休みもせず着替えて早速仕事に掛かってくれた。
「お母さんは家の中にいていいわよ」と言ってくれたけれど、そう言う訳にはいかないと思い私も庭に出て行った。さくらんぼの木は家の一階の屋根くらいの高さまで伸びている。これを切るのは大変だな~と思っていたが、低い枝は立ったままでのこぎりで切ってゆき、高い処は脚立に乗ってどんどん切って行く。その手順の良さ、力強さは驚くばかり、脚立がぐらぐらしているから「危ないわよ、気を付けてね」と脚立をしっかり押さえている私に「大丈夫だから、心配しないで」と言ってどんどん切って行く。始めは低くするだけの積りだったけれど根もとの太い部分だけ残し丸坊主にしてしまった。結構沢山実が生っていて一寸勿体ないなと思ったけれど、どうせ小鳥たちが食べてしまうのだからと諦めた。あの大きな木が一人の女性の力で1時間も経たない内にすっかり切られてしまうなんて!驚くべき技としか言いようがない。
隣にあった梅の木が枝を伸ばし邪魔になっていたので、それもついでに低い部分を切ってくれ、気になって居た場所がすっきり広々しせいせいしたし、小さい植物にもばっちり陽があたるようになった。切り終ってからも切り下ろした枝の始末やら何やかとしてくれ、休まずに3時間ばかり働いてくれた。
表千家のお茶の先生を自分の家でしている長女、何時も何やかと忙しく自分の家の庭の手入れ、隣の私の家の庭の手入れなど、その上今回の様に母親の庭の仕事までしてくれる頼りがいのある娘を持った私は本当に幸せ者である。有難く感謝の一語あるのみである。
終わってお茶の時間も僅かで疲れた顔も見せずに(草臥れたと思うけれど)旦那さんの待つ秦野の家に帰って行った。
「長女さん本当に有難う、心から感謝しています」
「これだけ残しておこうね」って実が4・5個付いた枝を2本切らずに置いてくれたので、鳥に食べられない様、網をかぶせ赤くなるのを見たいし、どんな味か食べても見たいと思っている。