mucchiさん号。
ということで、地味な仏車を大々的に取り上げる、一部の方に大好評なこのコーナー、
今日はこれまた大好きな一台の登場です。
じゃじゃじゃーん、その名もルノー9(ヌフ、Nuef)。
ルノー9(以下R9)については、拙HPに記事があるので、文章の転載と修正で手が抜けるというのもあります(汗
まずは、R9とはどんなクルマだったのか?
1970年代も中盤を過ぎ、フランス車も国際市場への進出がこれまで以上に必要になっていった。
そんな時代背景の中、可能な限り「独特な」フランス車の性格を取り去り、
広い市場で万遍なく受け入れられるようなキャラクターの世界戦略車として、
ルノー9(R9=ヌフ)は1981年に登場した。
極めてオーソドックスなスタイルの小型ファミリーサルーンであるR9は、
前述の如くあえて外観や使い勝手の個性を消し去っており、
一見すると同時期の国産車と大差ないようにも思える。
なお、ルノーは、1978年にアメリカ市場への進出を図りAMCアメリカンモータースと業務提携したが、
世界戦略車であるR9は当然この提携の主役となった。
外観は無国籍だが、内包するメカニズムは純然たるフランス車で、
前任のルノー14(R14=キャトルーズ)からは大きな進歩は遂げていないが、
エンジンの搭載方法が、エンジンを72度傾けているプジョー104のメカニズムをそっくり貰ったR14とは異なり、
R9では一般的な設計となった(R14=イシゴニス式、R9=ジアコーザ式)。
さてそのエンジンは、当初すべてOHV。1.1L・47.5PS、1.4L・60PS、1.4L・72PSの三種類が用意され、
上級スポーティグレードであるTSEには72PSのユニットが選択された。
ちなみにこれはR9ターボ。
すげえかっこいい!エンジンはかのR5アルピーヌ・ターボのデチューン版。105PS(サンクは110psだったっけ)。
OHV+キャブレター+ターボ(ギャレット製)。たまりませんな!
1982年、ルノー11(R11=オンズ)がR9のハッチバックバージョンとして追加された。3ドア、5ドアが用意された。
その後R9/R11はマイナーチェンジなどを受けながら生産が続行され、
1988年、後継車のルノー19(R19=ディズヌフ)が登場することでラインナップから
ドロップされた。
ターボだけでなく、R9は、1986年以降はR11と同じ4灯式に。
後期モデルのR9(ターボ)。うーん...より一層無国籍感がアップ(笑
なお、平凡さが功を奏して世界戦略車としての使命は充分に果たされた。
トルコやアルゼンチンなどでは大ヒットとなった。
なお日本にはR9/R11を含め百数十台が輸入されたに留まり、当時から希少車であった。
トルコのオヤック・ルノーで比較的つい最近まで作られていたR9・ブロードウェイ。
かなり強引なアップデート感に萌え萌え!
グレード名も「RN」とか、近代的に!
うわーホイルがシュペールサンクGTターボのじゃない?これ!
で、ここからは思い出話。
・・・高校生の時、僕と猫澤君はカーセンサーを読みふけっていた。
そのとき、時折欄をにぎわすルノーヌフの文字。
興味が湧いた。その時からR9を欲しかったとか、そういうわけではなかったが、
懐かしさもあるし思い入れもあったのは確かだった。
だから、R9が来ると決まった時は、買った当事者だけでなく僕もこころが踊った。
そう、あれから十年にならんとするとき、まさか買うことになろうとは・・・
なのだ。感慨深くなるもの無理は無い。
納車されるまで、古いCG誌などをひっくり返してR9を調べ尽くした。
見れば見るほど平凡なスタイリングだ。
店にあった段階で座ってはいたから、椅子がいいのは知っていたけれど、
それを差し引いても、フランス車らしいといえばスパッツ風のリアタイヤの処理、
そして必要以上に前のめりなスタイルくらいなものだろう。
平凡なのは、当時のルノーの経営姿勢を良く現すデザインなのだ。
国際戦略車として、あえて無臭にしたのである。
無国籍風なデザインは結果として行き詰まることになるのだが、
このR9の頃がいちばん平凡だったかも知れない。
御殿場のルノーの集まりで。
初ドライブは千歳船橋で待ち合わせてベイブリッジに行くのがかつての決まり?
だったから、早速R9もそのルートで走った。
少し走って、そして第三京浜に入って、この無国籍でつまらない風体のクルマが、
心底ルノーであることを知らされたのだ。
粘っこい直進性、ゆりかごのような気持ちイイ椅子、素晴らしい視界、
サスストロークがたっぷりしていて素晴らしい乗り心地。
これをベースにシュペールサンクは作られた。確かにそうだ。
これはサンクの味と同じだ。要は最高だということ!
そのR9はTSEというグレードだった。
当時のルノーでは「TS」だとスポーティ系グレードであったから、
それの高級版的ななりたちの「TSE」は、スポーティ系であるということがわかる。
まあそれを示すのはリアスポくらいだったけど・・・。
エンジンは1397CCのOHV。お、と気が付かれたあなたはルノーフェチ。
サンクなどに積まれていたお馴染みのユニット。
ルノー史上初めて横置きエンジンとなった
R14(キャトルーズ=洋ナシの宣伝で失敗した悲しいクルマ)の後継であるR9は、
当然同じ搭載方法。
TSEのエンジンは、日本にも輸入されたシュペールサンクTSと同じ72PSユニットであったが、
このエンジンがOHVらしからぬ?吹き上げる気持ちイイエンジンだった。
そしてルノーOHVお約束のぶっといトルクで、運転もラクラク。
飽きの来ないエンジンであった。
平凡でむかしのマツダみたいな内装 でも飽きなかった
ゆりかご椅子とは、ふつうに背もたれが倒れるだけでなく、椅子ごとロッキングチェア風に動く椅子。
で、この「ゆりかご」を動かすレバーは前後に椅子を動かすレバーと間違えやすいので、
乗って初めての人はまずみんなこのレバーを引いてしまい、「ゆりかごを動かして」天井を見ることに・・・。
ロッキングチェアに座って後ろに倒れそうになるまで揺らした状態を想像して下さい・・・。
猫澤号と色は違うけど、これがゆりかご椅子 見るからに座り心地が良さそうでしょ
ボンネット、天井は半艶消し状態。塗装の末期だった。
なんとかツヤを出そうとワックスでもかけようものなら、
むしろワックスかけるスポンジに鼻血色の塗装がこそぎ落とされて移る始末・・・。
まあもはやこの頃の年式の赤系のクルマは、
日本車でも同じようにツヤはなくなってしまうので、赤い車体の哀しいところではある。
プラ部品もカスカス。潤滑系のワックスを塗布するも、すぐにカスカス。これも古いと仕方ない部分。
平凡。でも乗れば最高、生粋ルノー!素晴らしい!・・・のがこのR9。
とはいえ便利な5ドアが多いフランス車の中にあって4ドアセダンはやはり不便だし、
なんとも中途半端な感じがする。
ところで基本的にはフランスでもセダン層は「保守的な」ユーザー層が見込まれており、
このR9も保守中庸(ただでさえルノーは保守的なユーザーが多かったのに)の一台であった。
だが、面白いのはここからだ。
日本と違い見た目などを気にしないのがフランスの保守中庸層であるならば、
実用性もあり、道具として割り切る彼らの地において、
R9はまさに格好の一台であったのだ。
だから非常に売れたし、カーオブザイヤーも取ってるし(笑)、
トルコやアルゼンチンなどでは超がつくほどの人気車種として近年まで生産されていたほど。
だから基本が優れ、ルノーらしい「快適性能」を持っているのにダメな風体、というR9は、
その頃の迷えるルノーらしい、不器用な一台だったといえる。
見た目=サニー、知名度=限りなくゼロ、な日本において、こんなR9に乗るということの深さ。
シトロエンやプジョーよりもただでさえわかりにくい「ルノーの奥深さ」、
それをさらに超えて理解しなければならないR9というクルマは、
「ルノー道」ともいえる一台かもしれない。
...と、思い切り全文転載しちゃった。手抜きー(笑
だけどほんと、このクルマ、「ルノー道」っていう極めないといけない流派があるなら、
それのかなり高いところにある「乗り越えないと彼岸に行けない壁」な感じがしますw
日本ではこの手の「実直な、見た目に国産車と変化の無いクルマ」っていうのは、
まず売れません。ドイツ車のBMWやメルセデス、VWを除いては...。
同じセダンでも、明らかに自己主張があったり、
明らかに他社と違うプレゼンスがある
プジョー505や、ランチアテーマ、アルファのセダン(155、156,164など)は、
我が国の市場でも受け入れられてきました。
やはり外車は「記号性」が必要なのです。それは、高い金を出して舶来品を買うのですから、
至極、当然の要求です。
なので自分のR19もそうだったんですけど、
「クルマを知らないひとには、まったく外車に見えない」、
このR9のように、「サニーと間違えられた」的なクルマは、
日本では本当に売れなかったんですね...。
それでも日本に持ってきた正規ディーラーがすごいなあ。
ただ、自分のような天の邪鬼タイプには、
「分かる人が見たら『このオーナーはすげえなあ(唖然)』」と言ってもらえるような、
このR9のような「一般的には極めて難解」なクルマが好きなので困りますw
何しろ、「すごくクルマが好きなのに、そうじゃないふりをして乗る」ことと、
「クルマが大好きなのに、そうじゃないふりが出来るクルマ」が
大好きなんですよね...とほほ(涙
閑話休題。
ちなみに、これがR9のハッチバージョン、R11(オンズ)。
顔はアメリカ版の角目4灯で差別化。
やはりハッチバックのほうがフランス車っぽいね
後期モデルはR9と同じ顔に。しかしこの顔、東欧のクルマぽい。
いくらなんでも無表情すぎだw
あのサンクターボの後継のラリー車は、実はこのR11(Gr.A)だったりするんです!
たぶん1987年のサンレモ?ドライバーはむろんラニョッティ!
ひーたまらん。
>>アメリカでは「AMCアライアンス」として販売されたR9/R11。
ひとたびアメリカのメーカーの手に掛かると、
ここまでアメリカンになるから、恐ろしい!
日本車どころじゃない!この「郷に入っては郷に従え」感!
本国にはない2ドア版!
さらに本国には無いコンバーチブル!
これを見ると、アメ車の要素というのは、
・ホワイトリボンタイヤ
・5マイルバンパー
・ピンストライプ
・メッキの目の細かいデザインのホイール(キャップ)
・バンパーやボディのサイドマーカー
・けばい内装
・倒せないドアミラーw
・銀のモールいっぱい
ってことがわかりますね...。
>>しかしこんな地味なR9は、なんと、欧州カーオブザイヤー受賞車!
さすがというか欧州、見る目が違う!?
9、11はいまだに実車を見たことがありません。
確か11が千葉に眠っているという情報があったような?
勿論、困っていませんw。
初めて買ったクルマがR9 TSEで、以後、GSやランチアも同時所有の時期もありましたが、10台に
及ぶルノー歴は、まさにR9を所有したことで始まり
ました。今、足にSuper5を使っていますが、R9はシートも乗り心地も更に上質でした。エンジンも
ブンブン吹けて、車体が軽いのでよく走りました。
波状路を飛ばすと最高にハッピーな気分になりました。ワインディングでも、思ったよりずっと
軽快でした。「乗ればフランス車そのもの」そんなクルマです。
R9やR11の後期型を見ると、やっぱし80年代の三菱はルノーに傾倒してたんだなぁ~と感じますね。ミラージュやトレディア/コルディアとか。
ハイトが高く見えるセダンってなんでか心惹かれるんですよねぇレオーネとか
けんじさん>
ランサーフィオーレとかもルノーっぽかったですよねヘッドライト下のウィンカーとか
ギャランΣのリアタイヤハウスの処理なんかもフランス車っぽいです
ますねぇ。
オリジナルのルノー9は、4WDなみに腰高ですね。
南米のかなりヤレた、R9 見つけました。
http://www.clubvacano.com/fotoformarenault.html
どうにかこうにか路上復帰させました。タノシー!!
起こしてよかった。部品が無いのが困り物ですが。
弊社号は白ですが、上から2,3枚目の銀もいいなあ。うーん。
幸せです。見かけたら生暖かい目で見守ってやってください>ALL
サニーって言われても信じてしまうようなエクステリアデザイン。
こういう“外し”の(実は外してない)クルマ選び。最高です。
しかし、同じクルマに5年10年と乗り続けていると、こういう出会いって難しいんですよねぇ。
どうしたもんか。