
305GR 1977
拙稿を引用修正して使わせていただければ、
この特殊な日本市場にでさえ、それまで特殊な印象だったシトロエンを、
一気に「マダムが買い物に使えるふつうの外車」にまで変えることに成功したのがシトロエンBXです。
BXは生産が終了しXANTIAにバトンタッチしても、そのXANTIAがC5にスイッチしても、
BXはいまなおファナティクを多く持つクルマですが、
それはサイズが丁度良い・ハイドロを持っている・適度にフランス車の濃さが残っている、
などの要素を持つ「実用的趣味車」であるという点が大きいのではないか、と思います。

たまらん、この素っぷり
そんな名車とも呼んでもいい「シトロエンBX」の兄弟車は、当時同時に導入されていた時期のかぶる
プジョー405と呼んでもいいようにも思うのですが、
ベース車については、なんと、405ではありません。
そうなんです。BXが1982年に登場。405は、1987年。てことは、
当然405はBXのベースにはならずということがわかります。
では、BXの元になった(というか405の前の兄弟車ということも出来る)は、何か?
それが、プジョー305です。

こういう色遣い!いかにも70年代末期ぽくて、かっこいい!
305?....305?なんだそれ!て思う方も多いかと思うのですが、
プジョー305は、405と309の前任の、プジョーの小型サルーンです。1977年登場。
これがまた、205が出る前の、204→304と続いた地味で実直な、でもきわめて真面目で
道具として使用するにはこれ以上のものがない
プジョーサルーンの流儀を貫いたようなクルマなのです。

1981年のマイチェンで顔やバンパーを修正した後の姿。
ご覧の通り、505にも似ていますし、FRっぽい外観を持ちますが、
メカニズムの多くを304から引き継いでいるために駆動方式はFF。
錬金と続いていたピニンファリーナ+プジョーの蜜月が生み出した、
何の変哲もなさそうなこの305のボディデザインは、
でも実に控え目で、質素で、素晴らしいバランス感覚で成立している美しさを持っています。
405もとても美しいサルーンですが、「むかしのプジョーらしさ」という意味では、
この305が最後のそれなのかもしれません。
204のリニューアル版である304にくらべ、305のボディは大型化されて、
その上の404に近いサイズになりましたが、それでも4.2m程度でとてもコンパクト。
それなのにホイールベースはなんと2,620mmもあり、それがもたらす車内の広さは
特筆ものだったのです(シトロエンばかりがロングホイールベースと思われがちですが、
プジョーはFRのクルマでさえ、長いホイールベースを誇っていました)。

305には204、304と同様に、ブレークボディもありました。なんだか三菱ギャランぽいw
駆動系は204、304のものを基本的に継いでいるので、
「アラウンド・ザ・コーナー」と呼ばれた冷却ファン駆動ベルトの取り回しや、
後ろに傾むけて配置されたエンジンの下にギアボックスを置くイシゴニス式で
エンジン・ミッションが搭載されていました。
その後1981年、「GT」を追加。このGTには、BXでもおなじみのあの「XU系」エンジンが初搭載され、
ついにここで204から続いたイシゴニス式に別れを告げ、一般的なジアコーザ式になります。
このGT、エンジンは1.6LのOHCで、名前こそGTですが、翌年BXに積まれた1.6Lエンジンと変わりません。

これがGT。
さらに1984年、305にはこれまたBXでおなじみですでにBXには積まれていた1.9Lを搭載した「GTX」や、
フランスの乗用車では初となる4速ATモデル(遅いw)を用意したりしています。

GTX。かっこいいじゃん!

これもGTX。305はリアビューも端正。

1986年型の内装。同時期の309にも通じるデザイン。好き。
で、思うに。
この305のクルマとしての出来が素晴らしかったからこそ、
BXのあの素晴らしいハンドリングや、深いシャーシ性能、直進安定性、
そして乗り心地、トランクや車内の広さがあったのだと考えることも出来るのです。
車体の長さにしては長いと言われるBXのホイールベースは、この305のたった+30mmなのです。
ボディサイズはほとんど変わりませんでした。
PSA...つまりはプジョーの血が入ったBXですが、
その素地には優秀なベースであった「プジョーのサルーン」があってこそ、生まれたのですね。
いやBXに限らず、プジョーの優れたクルマ全般の設計(トラブルとか故障は除くw)が無ければ、
シトロエンはどうなっていたのでしょうね?
そう思うと、シトロエンがプジョーに拾われたのは、とっても幸運だったのかもしれないです。
ひょっとしたら、プジョーとくっついていなければ、
2011年現在、シトロエンというブランドは無かったのしれません。
>>305は素晴らしい実用車であったはずですが、当時の西武自動車は504の導入に力を注いでいたのか、
結局このクルマ、日本には来てません。
いまなら、欲しいです。505、504などのリアル・クラシックプジョーで、
204や304のような「旧い時代のクルマ」でもなく、
BXのメカニズムも持っていて、この端正なスタイル、そして何よりも日本に1台も無いだろうという
その希少性(笑
>>ああー。こうして見ると、305かっこいい!
かつて乗っていたR19(ルノー19)もそうだけど、「何の変哲もないのに、乗ったら、使ったら、とんでもなくいい」
っていうこういう実用車って、ほんとにかっこいいし、大好きなのです。
>>おまけ。実用サルーン萌えな人には死んでしまうような大集合。

>>奥からルノー11(オンズ)、プジョー305、タルボソラーラ、シトロエンBX。ぎゃー!
そして505似の端正なリアビュー、素晴らしいです。
しっかし見事に見たことないですねこれ…。
イシゴニス式のエンジン搭載車は、この時代にベルト駆動のファンなんですよね。
物凄く保守的です。最近、204ベルリーヌをじっくりと眺めましたが、同時代のルノーと比べると慎重と言いますか、メンテナンス・フリーより(定期メンテナンスを前提にした)耐久性を重視しているのが明白でした。
僕なら・・・9?w
秘かにGTXを個人輸入しようとしていたのは、ここだけの話です。(汗)
PS. 505のリアショックをモンローに変えて1年経つけど、
ちと失敗したかな、と思う今日この頃。
安さに惹かれたけど、
やはりプジョーは純正ショックに限るというのが結論。
R9と305のブレークが好きで、R9は乗れたんですが305はなかなかキビシーです…
あとVWサンタナも好き。なんのことはない地味目のセダンが好きなんですかねw
確かに安いですが硬くて賞味期限が短いですね…。
ボンネットの先の折れ曲がり具合なんて6世代プジョーまで続くラインがあって実にいい感じですねぇ
マイチェン後のちょっと現代的になった感が個人的にツボです
>>おまけ。実用サルーン萌えな人には死んでしまうような大集合。
多分その場で卒倒してしまうかもw
いつも携帯のミクシィで拝見していましたので
カキコミ出来ませんでしたが、
初めてこちらの方に訪問させていただきます。
いつも興味深い視点でメッセージを発信されて
愉しく読ませていただいています。
今回のプジョー305、
何年か前にカタログを手に入れました。
日本国内には西武自動車でも正規輸入されていませんでしたから
ずっと気になる一台でした。
手頃なサイズの無駄のないセダン、魅力的ですね。
505の佇まいをコンパクトにしたような
端正さが感じられて
せめて、カタログだけでも手に入れたいと思ったのでした。
ブレネルさんも触れられていますが
R9(ヌフ)と比較されるセダンです。
さて、R9が少しコンパクトかな。
いずれも、なんとも比率のいいプロポーションです。
少し前60~70年代に、
米国車や日本車では、コークボトルラインが流行っていました。
それに比べて、実に端正でシンプルかつ明快なデザイン。
ジウジアーロが、例の「折り紙細工」と揶揄された
シンプルデザインのVWシロッコ、ゴルフが1974年あたりからですから、
1977年デビューの305は、新しい息吹の
ピニンファリーナのシンプルデザインの最右翼だったかも知れませんね。
サイドのキャラクターラインが凹んでいるのが
ピニンのプジョーらしいところです。
フランス車の魅力に
ブレークの美しさ、機能性の良さがあります。
305ブレークもサスを寝かせて
ラッゲージスペースを稼いでいます。
けっして実用性に手抜かり無いところが好きです。
BXにも触れられていますが、
こちらに出ているリライアントFW11
http://www.citroenet.org.uk/prototypes/xb/xb.html
と、BXとの関係について、
御存知な処を、また書き込んでみてください。
ベルトーネが、いろいろ提案したのと思います。
BXのコンセプトモデルは
イタルデザイン、ベルトーネ、シトロエン自社と
持ちかけたと聞きます。
結局、ガンディーニデザインが採用されたようですが
シトロエン以前にリライアント社にも提案していたのでしょう。
VOLVOツンドラもBX以前の提案でした。
ここらが、ヨーロッパのカロッツェリアの不思議で面白いところですね。
飽きがこなくていいような気がします。
国産だったら、コンフォート、クルー。
乗らないけど。
プジョーの、逆スラントノーズも 305の前期型、最後は505くらいまでだったのですね。
当時日本ではシトロエンよりプジョーのほうがマイナーでしたね。
いつの間にか(205以降?)逆転してました。