小房の粂八（こぶさのくめはち ）・・・逝く

　
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　４日（金）、小房の粂八（こぶさのくめはち ）こと、鬼平犯科帳の密偵を演じ切っていた蟹江敬三さんの訃報が報道されていた。
　池波小説の名作の一つ「鬼平犯科帳」、その中で本格的なお盗（つと）めをする盗（ぬす）っ人（と）の小房の粂八。

　「殺さず、犯さず、貧しきからは盗らず」の盗みの３ヶ条を守り抜いていた。

　その粂八も鬼平こと長谷川平蔵に捕まって以来、平蔵の人間性に惚れ込んだことから、密偵という泥棒仲間から忌み嫌われる“イヌ”になり切った。

　小説「鬼平犯科帳」の小房の粂八、それこそは蟹江敬三さんのほかには考えられないハマリ役になっていた。

　船宿「鶴や」の主人として、表の顔も持っている。
　事件があれば、即座に大滝の五郎蔵などを中心に粂八、おまさなどが江戸市中を動き回る。
　長谷川平蔵のために捨て身の仕事をしてのける密偵たち。

　あの鋭い眼、笑うと何とも言えない目が糸のようになる粂八こと、蟹江敬三さん。
　鬼平を演じている中村吉衛門さんにも惚れぬいていたような、どちらが粂八で、どちらが敬三さんの顔か分からなくなる・・・。

　またしても、惜しい脇役の役者さんが逝ってしまった。

　古くなるけど、大河ドラマ「龍馬伝」において、岩崎弥太郎（香川照之）の父・岩崎弥次郎役の敬三さん。
　これ以上ないほど、インパクトのある“おやじ”を演じており、さすがだねと思わされたものである。

　刑事役から犯人役まで、いついかなる役柄を演じていても渋い役者さんであった。
　ご冥福を祈ります。（夫）


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