ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

懐かしい手打ちうどんに会った

2008-02-12 | 日記風
前から不思議だと思っていた店があった。国道沿いの小さなうどん屋さんだけど、いつ見ても閉店している。土曜日も日曜日も閉店している。やっていないのかなと思っていたのだけど、ある日、平日の昼頃に通りかかったら開店していた。よく見ると開店は平日の午前10時から、閉店は午後3時と書いてある。昼食時前後しか開店していないのだ。

 ところが入ってみようと思ったら、駐車場は満員。あきらめてしまったことがあった。一日わずか5時間の営業。土曜も日曜も休みという今時不思議なうどん屋さん。しかも入ろうと思うとお客でいっぱい。何故なんだろうと思っていた。今日、思い立って昼食に行ってみた。

 やはり駐車場は満員。専属の整理員がいて車を誘導したり、入るなと指示したりしている。お客がいっぱいのようだ。しばらく待って駐めにくいところに無理して駐めて、うどん屋に入ってみる。しかし、入り口の前には長蛇の列。店の中だけでなく寒い外にも列が出来ている。これはよっぽど美味しいか安いかどちらかだろうとちょっと期待が膨らんだ。ノートに名前を記入して寒い中を足踏みしながら待つ。そのうち店の中に入れた。店の中でも待つ人の椅子が並んでいてそこで待つ。

 待っている間にメニューのチェック。驚いたことにうどんのメニューは「もりうどん」だけしかない。ただ付け汁に肉入りとキノコ入りと何にも入っていない3種類ある。あとは天ぷらがエビ、ゴボウ、チクワ、野菜の4種類。たったそれだけのメニューだ。もっとももりの程度は3種類ある。並と中と大盛り。寒いので暖かいかけうどんを食べようと思っていたのに、これではがっかり。

 店の中は50人くらいのお客でごった返している。店もそれほど大きくない。個室などはなくて、15人くらい座れるカウンターと大きなテーブルに30人くらいが座っている。畳に机も3脚くらいあるが、そこもお客は相客で詰め込まれている。とにかく客はゆっくりと座れたりはしない。お互いに狭いところに詰め込まれ、肩を接してうどんをすすっている。いよいよ不思議だ。なにがこんなに客を集めて居るんだろう。料金も並で600円、大盛りで1000円と、まあ普通の値段だ。安くもなし高くもない。

 届いたうどんを食べてみて、ようやくわかった。これは本格的な手打ちうどんだ。最近は手打ちうどんの店は多いが、このうどんはむかし讃岐香川県で子供の頃食べたあの手打ちうどんそのものだ。腰が強く、顎をしっかり使わないとうどんが噛み切れない。しっかりと打ってあるあの手打ちうどんだった。懐かしい子供の頃の讃岐の味がした。

 子供の頃は香川県では毎日うどんを食べた。お昼にうどん、おやつにうどん。お客さんが来たらうどん。うどんは安くて手頃で美味しくてしかもお腹いっぱいになる。親の居なかった私たち兄弟は、とくにうどんを食事にすることが多かった。面倒だったり時間がなかったら、うどんに生醤油をそのままかけて食べた。それでも十分美味しかった。うどんの玉を買ってきて、おやつにはうどんをちぎってそのまま食べたりもした。

 この店のうどんは懐かしいあの味だった。それがこの店をこんなに繁盛させている理由のようだ。普通うどん屋でうどんを食べると並の盛りではお腹いっぱいにはならない。大盛りにしてもすぐお腹が減ってしまう。しかし、この店のうどんはしっかり打ってあるせいだろう。並の盛りでもお腹いっぱいになる。私は中盛りを食べたが、最後はちょっと苦しかった。しかもいつまでもお腹がすかない。

 天ぷらも付け汁もあまり美味しいとは思えなかった。店もそれほど綺麗ではない。駐車場は駐めにくい。とくに手打ちうどんとも讃岐うどんとも宣伝していない。それでもこれだけの人が来る。一日5時間で十分採算がとれる。土曜も日曜も休める。やはり良い仕事をしていれば人は分かるのだろうか。

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