ハイブリッドカーとか電気自動車など、いわゆるエコカーの販売が好調だという。それにはエコカー減税という政府の政策が効果を現しているという。これは前の自公政権の時に始まった政策だ。この政策によって世界不況の中で落ち込んでいたトヨタなどの自動車工業が息を吹き返したらしい。そしてエコカー減税という政策に使われるお金は国民の税金である。
もし、「エコカー」による二酸化炭素の排出量が大幅に抑えられれば、それはたしかにエコな政策で、それで自動車工業界も息を吹き返すなら、いわゆるグリーンニューディール政策として歓迎すべきものかもしれない。でも本当にハイブリッドカーとか電気自動車は二酸化炭素の減少に寄与しているのだろうか。そこのところは研究者にきちんと調べて貰いたいところだが、研究者の言うことは時々信用ができないから困る。なぜなら、たとえば薬の安全性を審査している研究者が、実はその薬を製造販売している会社から研究費を貰っていたりするからだ。エコカーが本当に二酸化炭素の削減に有効なのかどうか、自動車業界から金を貰ったことのない研究者に調べて貰いたい。
でも、素直に考えて、電気で走る車がガソリン車より二酸化炭素を排出していないというのは、ちょっと信じがたい。電気で走れば二酸化炭素は出ないと考えている人が多いようだが、それは大きな間違いだ。なぜなら電気だって化石燃料を燃やして作っているのだから。しかもガソリン車がガソリンを燃やして走る熱効率にくらべ、電気を作る熱効率は非常に低い。重油を燃やして発電する火力発電では熱効率は40%くらいといわれている。原子力発電にいたっては、熱効率は30%しかない。熱効率を考えれば、ぜったいガソリン車の方が熱効率は良いはずだ。だから、道路を走っているときには電気自動車は二酸化炭素を出していないようにみえるが、実は電気を使った時点で多大な二酸化炭素を出していることになる。原発の電気なら二酸化炭素は出さないと思うのも大きな間違いだ。原発で使うウランの濃縮にどれだけの二酸化炭素を使うか、また使用済み燃料を安全に保管するのにどれだけのエネルギーと二酸化炭素を使うか考えてみれば、原発の電気だから江古田とはとても思えない。
つまり、エコカーというのはけっして本当に二酸化炭素の削減に寄与するものではないのだ。それにもかかわらずエコカー減税という名前で政府が国民の税金で車屋を応援しているのは、詐欺でしかないということなのだ。ましてや、車を持たないで本当にエコ生活をしている人は、税金で他人の車の購入代金を負担させられ、さらに結局は二酸化炭素の放出を手助けさせられてしまうということになる。
民主党政権に望むのは、なにが本当に地球環境を守ることになるのか、良く本質を見て政策を実行して貰いたいということだ。高速道路の全面無料化も同じ事。公共交通をもっと安く便利に利用できるようにすることが、もっともエコ政策なのだ。