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ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

春の山里と峠を歩いた

2008-03-29 | 花と自然
エイザンスミレ

二・三日前から風邪気味だった。鼻水が出て咳が止まらない。昨日は頭痛がした。どうも本格的な風邪になりそうな気配だったので少し迷ったのだけれど、良い空気を吸って山を歩けば風邪など飛んでいってしまうかも、と期待して今日は久しぶりに山に入った。風邪気味のこともあって雪が残っているような山は避け、奥武蔵のまだ歩いていない峠を結んだハイキングコースにした。

 3月始めに歩いて以来なので、春はもうすっかり本格的になっている。今日は日射しもあり、暖かな山歩きを楽しめると期待しての山行だ。土曜日ということもあって西武秩父線の電車はハイキング姿の男女でいっぱい。もっともあまり若い人は多くない。正丸駅で降りて正丸峠を目指して山里を歩き始める。この時期の山里を歩くのは楽しい。どの家も庭にいっぱいの花を咲かせている。一軒一軒の家の庭を眺めながら歩く。さすがにまだ桜は咲いていないが、梅が満開だ。ジンチョウゲ、レンギョウなども咲いている。

 渓流沿いに登り始めると、木の花が目につく。この時期に至るところで咲いているのは、キブシ、ダンコウバイ、フサザクラなど(写真)。さすがに尾根に上がると花はほとんどない。馬酔木の花が咲き始めたところだ。正丸峠から正丸山(766m)、川越山を超えて虚空蔵峠へ向かう。尾根歩きだけど、50mや100mくらいのコブを一つ一つ超えていくので多少かったるい。今日の目的の大野峠までは関東ふれあいの道という名前が付けられて整備されたハイキングコースだが、途中に顕著なピークがないし、14kmあって健脚向きコースとなっているので登山者からは敬遠されているようだ。今日はこのコース5時間半歩いてついに一人も登山者に出会わなかった。関東周辺の山でしかも土曜日なのに誰にも会わないというのは希有のことと言わねばならない。よっぽど嫌われたコースなのだろう。しかし、尾根歩きはうるさいコブの上下はあるけれど、なかなか楽しい。昼食は明るい尾根の斜面で積もった落ち葉に身体を埋めながらぽかぽか陽気のもとでのんびり食べた。これは久しぶりの至福の時間だった。冬の山歩きでは休憩といえどもあまりのんびりしては居られない。身体が冷えてくるからだ。また夏になると暑くてたまらない。ちょうどこれからしばらくがもっとも良い季節だ。

 帰りの麓付近でエイザンスミレが咲いているのを見つけた。いよいよ春は深まりつつあるようだ。もっとも私の風邪もかえって深まったようだが。
  左上:キブシ 右上:ダンコウバイ 左下:フサザクラ

春は一気にやってきた

2008-03-22 | 花と自然

自宅から最も近い産直の農産物販売所まで、買い物ついでにうらうらと春を歩いた。一時間ほどかかるが、その間いろんな花を見ることが出来た。一週間前には花はほとんど見られなかったから、春の訪れは一気に来る。歩いていると汗ばむほどの暖かさだった。梅はもう終わりに近いが、ソメイヨシノ以外の桜がいくつか咲いている。ハクモクレンはもう満開。サンシュユも咲いている。道ばたの草花は、青紫のオオイヌノフグリ、赤紫のホトケノザやヒメオドリコソウ、黄色のセイヨウタンポポ、白色のナズナやハコベがもう一面を花の絨毯のように咲き誇っている。ただし、これらの野生の草花は自然度が少ない道ばたなので、種類はどうしても少なくなる。上に書いたのでほとんどすべて。どこに行っても同じ顔ぶれだ。

 買い物をしての帰り近くの沼のほとりを歩いた。マガモやコガモ、カルガモなどがのんびりと泳いでいる。驚いたことに沼のほとりの柳の木はもうすっかり緑の芽を開いてしまっている。写真のようにもう花を咲かせてもいる。一週間前にはまだ芽を吹いては居なかったことを考えるとその速さにはびっくりだ。

 このあたりは農家が多かったので自然林はほとんど残っていない。一時間歩いても道ばたの野草以外に自然の草花が見られないのは本当に残念だ。もう少し雑木林を残して欲しい。これからでもいいから自然林のある風景をつくって欲しいものだ。沼のほとりに車を止めて中で本を読んだり昼寝をしている人が多い。そのどれも中年の男性だ。家にいる場所がないのだろうか。それとも水辺の景色を求めて車を走らせてきたのだろうか。この沼の周囲ももっと自然を回復できないものか。人が憩え心が癒せる場所にしたいものだ。

国交省は原状に回復せよ

2008-03-18 | 花と自然
春爛漫の荒川の土手に土筆を摘みに行った。見当を付けていったのだけど、どうやら見込み違いらしくって、土筆は見つからなかった。もう出ているはずなのだけど。そのかわりに、変なものを見つけた。ススキやオギの河原の一部に近所の誰かが畑を作っている。わずか2-3坪を開いて大根や菜の花などを植えている。家庭菜園を楽しんでいるのだろうか。そこに真新しい立て札が立っていた。


 その立て札には「告 ここは一級河川荒川河川区域です。河川区域内での耕作は原則として河川法によって禁止されています。速やかに係る行為について撤去し、現状を回復してください。 国土交通省荒川上流河川事務所」と書いてある。まるで江戸時代の高札みたいだなと笑いがこみ上げてきた。しかも字が間違えている。「現状」を回復したら、耕作を続けることになってしまう。正しくは「原状を回復」だろうに。

 しかし、そのあとに今度は怒りがこみ上げてきた。それは以下の写真のような「現状」をみてしまったからだ。この立て札のすぐそばで国土交通省がやっているこの「原状」への破壊工作はどうなんだろう。まるで河川を壊してしまうために全力を費やしているようだ。莫大な税金をそそいで自然を破壊し、ささやかな栽培を非道にも押しつぶし、そこに外来種の芝を植える。誰もわれわれの税金でそんなことをして欲しいと言った覚えはない。先ほどの立て札はこの工事現場にこそ立てておきたい。


野に出でて春菜摘む

2008-03-17 | 花と自然

暑さ寒さも彼岸までというけれど、今年は暖かくなる日が早かったような気がする。九州から帰ってくると、関東も春いっぱいの気候だった。上着を脱いでも寒くない。3月の中旬という頃は、まだ三寒四温の時期で急に冷え込むこともあった。今年はどうだろうか。どうやらこのまま春から初夏へと行きそうな気配だが・・・・。

 近くの荒川の土手には写真のようにカラシナの花盛りで、一面真っ黄色に染まり始めている。秋のヒガンバナの真っ赤な色もきれいだが、この時期のカラシナの黄色は春が来た喜びといっしょになってひとしお嬉しいものだ。カラシナは摘んで帰っておしたしにしても美味しい。毎年付近の住民がとって食べているが無くなる気配はない。その他にも、この時期はツクシ、ノビルなど春の菜を摘む楽しみがある。

 しかし、国交省の河川管理事務所がやっている土手の改修工事があるとすべての植物が無くなってしまう。後に残るのは外国産の芝生だけ。このむなしさと怒りを管理事務所の役人たちは判っているのだろうか。

  

初めて見たセツブンソウの花

2008-03-09 | 花と自然

暖かい南風が吹いて冬から脱却したと思ったら、もう夏の暑さを心配するほどの変わり様だ。長い間吹き続けていた風も少しだけだが治まってきた。名前と写真では長い間頭に残り続けていた花(春の妖精)の一つ、セツブンソウの自生地を奥秩父の山里に見に行った。

 小鹿野町の堂上というところの雑木林の下にセツブンソウが見事な群落をつくって咲いていた。日本でもセツブンソウの群落としては最大とか。落ち葉の間から可憐な白い花を開いている。遠くからでも白い花がかたまっているのが見えるほどだ。一つ一つの花は思ったよりも小さいが、これだけの群落になるとさすがに圧倒される。初めて実物を見たうれしさについつい写真をいっぱい撮ってきた。多くの人が撮影を主な目的出来ているらしく、大きな三脚と長焦点の望遠レンズを構えている人が目立った。ここにはセツブンソウ以外にもアズマイチゲやニリンソウの自生地でもあるが、まだこれらの花は落ち葉の下でまったく姿を見せていない。アズマイチゲやニリンソウは北海道ではそれほど珍しい植物ではないが、関東ではもうあんまり見ることが無くなってきた植物なのだろう。この場所だけにセツブンソウの花が見られるというのも、開発や杉・檜の植林でいわゆる二次林が無くなってきたのが原因だろう。昔はきっと武蔵野の多くの林で見られたに違いない。

 ここは自生地とはいえ、ロープやフェンスを囲って、自由に見せてはいない。見るのも有料というところが寂しいが、やはり勝手に盗掘していく不心得者がいる以上、このように管理するのも仕方のないことなのだろう。淋しいことではある。

武州から奥多摩へ抜ける

2008-03-06 | 花と自然
降りるバス停を間違えて二つほど手前で降りてしまったので、国道をしばらく歩いて名栗温泉の前の林道を棒ノ嶺に向かって登り始めた。この林道を歩いたのはもうずいぶん昔のことだ。今週のハイキングは今冬の初めに登った奥武蔵の棒ノ嶺から尾根を通って奥多摩に抜ける道を選んだ。先週の氷から用心して今回もアイゼンを用意してきたが、林道は雪も氷もなく、まだ花は何も咲いていないが春の日射しを浴びてのんびりと歩いた。

 林道を離れて登山道を登ると尾根に登って岩茸石に出る。ここからは今冬棒ノ嶺に登った覚えのある道を通ってゴンジリ峠に出た。日射しが暖かい。さすがにこのあたりは雪と氷が残っているが、氷が続かないのでアイゼンをつけるのも面倒で、そのまま歩いていくが、やはり斜度の強い道では油断できない。落ち葉が厚くつもっていてもその下は厚い氷があるので、油断すると滑ってしまう。今日は一日で4度ほど滑って危うく転びそうになった。そして3度滑って転倒した。

 先週滑って転んだときに岩角にお尻を打ち付けてしまった。ズボンを探ったがとくに破れた風でもないのでたいしたことはないと思って家に帰ってみたら、太ももの後ろ側に長い亀裂が入っていた。たいして深い傷でもないのでそのままにしたが、まだその傷の痛みが残っている。今日滑ったところはなんともなっていないのでやれやれであるが、滑らないように一歩一歩地面を注意しながら歩いたので、肝心の景色がほとんど頭に残っていない。


 ゴンジリ峠の脇の登山道に、写真のようなレリーフが岩にはめ込まれており「高橋某、ここに眠る」と刻まれていた。ゴンジリ峠で遭難したのだろうか?冬山でも遭難するようなところとは思えないが、滑落ならありうることだ。この碑を見てちょっと気が引き締まった。

ゴンジリ峠からは棒ノ嶺に登らずに尾根を南にとって奥多摩方面に歩く。10分ほどで黒山(842m)の頂上。奥武蔵の杉と檜の陰々とした人工林から奥多摩方面に行くと突然明るくのびやかな尾根が広がる。奥多摩には落葉樹林がまだ多い。しばらく小さな上り下りを繰り返して、逆川ノ丸(841m)を過ぎ、一度大きく降った後、奥多摩登山の初級コースである高水三山のうちの岩茸石山(793m)に登り返す(写真)。


 さらに惣岳山(756m)を登って、あとは奥多摩の御嶽駅にどんどん降っていく。膝が痛くなりそうな下りの道だったが、なんとか膝の痛みを感じる前に御嶽駅にたどり着いた。今日の歩行時間は6時間。帰りは温泉でゆっくり汗を流して帰った。

ザゼンソウの花 山里にも春が来た

2008-03-02 | 花と自然
弥生三月が来た。いよいよ春本番である。サンナシ小屋の周辺ではまだまだ春は遠いけれども、こちら関東では春は音を立ててやってきている。今日は雪解けとともに花を咲かせるザゼンソウを見に行った。ザゼンソウはミズバショウと同じサトイモ科の植物で形もミズバショウによく似ている。色は暗赤色から黄色に近い色まで変異がある。ミズバショウと同じように水辺や湿地に咲く。

 今年はどうやらザゼンソウの花も咲き始めるのは例年よりも遅かったようだ。埼玉県で唯一残っている自生地は、わずか1アール程度の広さだった。そこに約70個ほどのザゼンソウの花が落ち葉の下から顔を出している(写真)。昔は小さな池があってその周りにザゼンソウがいっぱい生えていたらしいが、すぐ上に道路ができてザゼンソウの群落は多くが道路の盛り土に埋められてしまった。残った場所も池が干上がりわずかに流れるようになった水のほとりにザゼンソウが残っている。


 土地所有者の老夫婦が、花の時期には毎日朝晩やってきて花を守るために目印の棒をたてたり夜は霜よけに落ち葉をかぶせたりと親身の世話をしているらしい。こうして世話をしていると盗掘を防ぐことが出来るらしい。しかし、貴重な植物の自生と知っていながら盗掘していく人がいるのは本当に腹立たしい。

 ザゼンソウの花が咲いたら、もう春は一気に始まる。途中の山里のあちこちでフクジュソウの花を見た。もうフクジュソウの花は終わりに近い。咲き始めには葉を見ることはないが、いまはもう青々と茂った葉にフクジュソウの花は埋もれてしまいそうだ(写真)。


春一番の樹木の花マンサクも満開だ(写真)。うらうらと春の日射しを浴びてこれから始まる花の春を予感して楽しんだ。


武川岳から二子山へ

2008-02-28 | 花と自然
 今週も奥武蔵のハイキングに出かけた。今日は武川岳から二子山への縦走コース。杉や檜の人工林が多い中で奥武蔵随一という落葉樹林帯の縦走コースだというガイドブックの文句で決めた。武甲山のとなりの峰々だ。飯能から名郷行きのバスに乗り終点で降りる。降りたのは私の他は若い二人連れのハイカーだけ。でも武川岳へのコースには彼らはやってこなかった。一人だけで登り始める。

 登り口で武川岳への道標を確かめる。道標には武川岳まで90分と書いてある。しかし、私が見たガイドブックには2時間35分と書いてあった。90分なら予定より早く着くなあと喜びながら半信半疑で登り始める。

 けれどもやはりガイドブックが正しかったようだ。1時間15分で途中の天狗岩に到着。なかなか険しい岩が続く。三点確保をかなり長い間続けさせられたが、このような登りはぐんぐん高度を稼げるので楽しい。全身で岩にとりついているという喜びがある。天狗岩の頂上に立った後尾根に上がったところで、クマの糞らしきものを見つけた(写真)。大きさから言って犬よりは大きい獣のようだ。キツネやタヌキではなさそうだ。糞の中に白く大きく見えるのはどうやら銀杏の種子らしい。山里に降りてギンナンを食べたらしい。そういえば麓の掲示板に最近尾根上で熊が発見されたと書かれていたのを思い出した。このあたりのツキノワグマは比較的温和しい動物なので、そう怖れはないが、それでもやはり気になる。

 ガイドブック通りに2時間半で武川岳(1052m)の頂上に到着。途中の登山道は先週と様変わりで雪がほとんど氷に変わっていた。一昨日の夜に関東では雨が降ったが、山は雪だろうと思っていたのだが、どうやら山でも雨だったらしい。雪が溶けて今朝の冷え込みでみんな凍り付いてしまったようだ。しかも北よりの風が今日はきわめて強く、尾根上では風で身体が凍り付く。顔にかかる風は身を切るようだ。今回は用心のために持ってきたアイゼンが役に立った。急峻な登りではアイゼンなしでは危険でとても登れない。

 武川岳から二子山まで途中、蔦岩山(1010m)、焼山(850m)、二子山雄岳(883m)、二子山雌岳(881m)と5つの山を越える。アイゼンが不要の落ち葉の降り積む暖かな道もあるので、頻繁にアイゼンを付けたり外したりと忙しい。今日は6回ほどもアイゼンの脱着を繰り返した。面倒だけどしかたがない。おかげで一回の装着に要する時間がわずか2-3分で出来るようになった。

 二子山雄岳への登りは今日の中では特筆できるほど急峻な登りで、3歩あるいて一休みを繰り返しながらヒーヒー言って登った。ところが雄岳の頂上から下りにかかるときにアイゼンを付けようとして片方のアイゼンがないことに気がついた。どうやら途中で落としたらしい。泣く思いで登ってきた急坂を落としたアイゼンを探しながらまた来た道を戻った。30分ほども探しながら歩いたあと、ようやく雪の上に落ちていたアイゼンを見つけ、安堵した。反対側の谷に落ちていたらもう見つかるあてはなかったのだから。けれども先ほどヒーヒー言って登った坂道をまた登らなければならない。もう今日は夜になっても仕方ないと腹をくくって、ゆっくりゆっくり登り返した。

 二子山雄岳と雌岳に登って麓の駅までついてもまだ夕陽が残っていた。帰り道に今度はアシナガバチの巣と思われる大きな球形の蜂の巣が誰かに壊されて居るのを見つけた。犯人は人間でなければクマしか居ない。武川岳も二子山もずいぶん昔に一度登ったことはある。その時二子山の登山道でがけの上にいた猿に石をぶつけられたことを思い出した。警戒していたが今回は猿に出会うことはなかったが、クマらしい兆候をあちこちに見て、クマが増えているのか、それともクマが安住の地を追い出されてしまったのか、クマと人間が異常接近していることを感じた。

 奥武蔵の山はほとんど登ってしまったので、二度目三度目のところが多くなってきた。暑いときはとても登れる山ではないので、今の時期にしっかり登っておこう。しかし、花がまったくないのも寂しい。今回、一本の馬酔木につぼみがいっぱいついているのを見つけた。でも、馬酔木は他にもいっぱい生えていたが、ほとんどがまだつぼみも付けていない。春はまだまだなのだろうか。

奥武蔵に春はまだか

2008-02-21 | 花と自然
杉の花粉も飛び始めた。今週の低山ハイキングは、またまた奥武蔵を歩いてみた。このあたりのハイキングは夏は暑くてとても歩けない。この時期が花はないけれども歩くにはもっとも良い。いっそ5万分の1の地形図「秩父」のすべての山と登山道を歩き尽くしてみようかと思い立ったのが、今週も杉と檜の人工林がいっぱいの奥武蔵を歩いた理由だった。歩いたのは丸山(960m)。西武秩父線の芦ヶ久保駅から歩き、1時間半。丸山の頂上まではやはり人工林でつまらない。しかし、丸山から秩父の街に向けて尾根筋を行くと、写真のように明るい落葉樹林の尾根が続く。


雪はかなり深いがさすがに低山ハイキングコースだけあってよく踏まれている。おかげでラッセルは必要ないが表面が凍っていて滑りやすい。天気がよいのでのんびりと落葉樹林帯を歩く。ジョウビタキの雄がひなたぼっこをしている。ウソの群れにも会った。どうやら春の渡りの途中のようだ。鳥たちはしっかりと春を感じている。しかし、花はさすがにまだまったく見られない。杉林の中で青々とした葉を広げているのは、すべてシダの仲間。
イノモトソウ





クマワラビ?

オニヤブソテツ



降りついた麓は金晶寺。秩父5番札所の寺で、多くの石仏が並んでいる。

ほとんどの石仏の頭が無くなっている。古美術として売り払うために頭だけを盗まれたらしい。情けない姿の石仏たちが並んでいる。なむあみだぶつ。
 

厳寒のサンナシ小屋から

2008-02-18 | 花と自然

北海道東部にあるサンナシ小屋から帰ってきました。もっとも寒い時期のサンナシ小屋ですが、思ったよりも暖かく(気温は最低でマイナス10度くらい)、ベランダでは雪景色を見ながらひなたぼっこができました。雪も少なくてスキーを履かないで長靴で十分歩けました。写真に見るように、斜面の上部は雪もついてなくて、笹の青い葉が地面を覆っています。今年はエゾシカも餌に困ることはないのでしょう。小屋の周りにはいっぱい鹿の糞が落ちていました。

 小屋の横に流れる小川はアイススケート場のように凍り付いていましたので、水が手に入りません。ペットボトル入りの水を持って行き、薪ストーブの火でお湯を沸かしてコーヒーを飲み、お昼のラーメンを食べました。小屋の周りでよく見かける丹頂鶴の夫婦も、極寒の今は餌を人工的に撒いている鶴居の方に集まっているらしく、小屋の周囲では見かけません。人工的な餌で1000羽にまで増えたタンチョウをいつまでも人工餌料を与え続けるのはどうしたものでしょう。絶滅をまぬがれたタンチョウにはそろそろ人工的に餌をやるのを減らしていかねば、今度は逆のことが起こるでしょう。エゾシカがその良い例です。

 オジロワシもこの時期はあまり餌が見つからないので、餌の多い海岸に集まっているようです。小屋の周囲は生きものの気配もあまりない静けさに包まれています。夜は煌々と照る月。星もオリオン座が頭の真上に出ています。闇夜には降るような星空ですが、月の明るい夜は星もよく見えません。月に照らされた小屋の周りの草原は、まるで昼間のような明るさです。人工的な光がないと、自然の光が本当に明るく感じられます。昔のアイヌは灯りを持たずに夜も行動したと言いますが、月夜ならまったく問題はないですね。

いかに人工の光にならされた目が「使えない」目になっているかを実感します。
光に限らず、真実を見る目をもつには、人工的な雑音を信じないで自分の基準の目をもつことが必要と思うことしきりです。