愛犬に似た犬

父が新聞を広げて、「これ、うちの犬に似てないか。」というのです。
もううちには犬がいませんが、去年はかわいいヨークシャテリアがいたのです。
可哀そうに、膵炎で亡くなってしまいました。

私は、愛犬の写真をあまり撮らないで過ごしていました。
思い出だけで生きています。
その愛犬に似た犬の写真が新聞に載っていました。
「かわいい。」と、思い出します。
もっと、いろいろ写真を撮るべきでした。
思い出もだんだん褪せてくるのです。
私は、その愛犬に似た犬の写真を切り抜き、大事に取っておくことにしました。
ちょっと心が温かくなる瞬間です。
写真でもいいのです。
生きていた証しが欲しいのです。

思い出すのは、とても苦しんでいる姿ばかりです。
ご飯もろくに食べないで、眠るように亡くなりました。
それが心残りです。
もっと、かわいがってやればよかった。と、後悔ばかり残ります。