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■ 鹿沢温泉 「紅葉館」

 

鹿沢温泉 「紅葉館」
住 所 :群馬県吾妻郡嬬恋村田代681
電 話 :0279-98-0421
時 間 :10:00~16:00(休業日有。奨事前確認) / 不定休(蕎麦処は火休)
料 金 :500円
オフィシャルHP
紹介ページ (@nifty温泉)
紹介ページ (BIGLOBE温泉)
紹介ページ (楽天トラベル)
紹介ページ (じゃらんnet)
紹介ページ (温泉みしゅらん)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。
※ 写真説明で(2003)は2003年11月撮影、表示ないものは2015年8月撮影です。

祢津山の湯、加沢湯とも呼ばれ、元禄年間からの歴史をもつ上州・吾妻の名湯。
かつては外湯もあって湯治場として賑わったようですが大正七年の大火でほとんどが消失し、いまは「紅葉館」のみの一軒宿(「日本秘湯を守る会」会員宿)となっています。
(下の新鹿沢温泉には、旧鹿沢温泉から移った多くの宿があります。鹿沢温泉・新鹿沢温泉については、別途「温泉地巡り」にてまとめたいと思います。)

 
【写真 上(左)】 丁石百体観音(百番)
【写真 下(右)】 旧鹿沢温泉絵図

かつては信州側からの湯治客が多く、信州の滋野から地蔵峠を越える道端に観音像がおかれ、紅葉館でちょうど百番を数えます。
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丁石百体観音像 (現地案内板等より)
長野県東御市新張から地蔵峠を越えて、嬬恋村田代の鹿沢温泉までの道沿いに、江戸時代から明治にかけて一丁(約109m)おきに百体の石造観音仏が建てられ、「丁石百体観音」と呼ばれています。
「紅葉館」脇に建てられた「千手観音像」は、百番目の観音像で、発願人は地元の樽原所右衛門と依田角平とあり、伊那高遠の石工 中山暉雲によって明治2年に造られました。東御市新張の一番観音と並び優れた出来映えのものとして知られているそうです。

「鹿(か)沢の湯泉は、大変体を丈夫にするということで、昔から多くの人々の湯治場(体の悪い所をなおす湯)となっていました。この峠越えの険しい山道「湯道」を観音様を拝みながらそのお力にすがり、さらにお湯に入って体を丈夫にしようとしてつくられたものです。」(東御市公式Webより)

 
【写真 上(左)】 雪山讃歌の歌碑
【写真 下(右)】 雪山讃歌発祥の説明板

ふるくから湯ノ丸山、篭ノ登山などの登山基地としても有名で、「雪山讃歌」誕生の地ともいわれています。
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1926年(大正15年)(1927年とも)1月、京都帝國大学山岳部の精鋭たちと鹿沢温泉に来ていた西堀榮三郎氏(のち第一次南極観測越冬隊隊長)が、雪で足留めを食らった際に、退屈まぎれに仲間たちと「山岳部の歌」を作ろうということになった。
当時山岳部で愛唱されていたアメリカ西部開拓時代発祥の民謡『いとしのクレメンタイン』(原題:Oh My Darling Clementine )のメロディーに歌詞をつけるかたちで、この雪山讃歌が誕生した。(現地案内板等より)

雪山讃歌(歌詞碑より)
 西堀榮三郎 作詞

  雪よ岩よ われらが宿り
  俺たちゃ 町には
  住めない からに

  山よさよなら
  ごきげん よろしゅう
  また来る時には
  笑って おくれ
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ここは2003年秋に一度入ったきりでしたが、2015年夏に再訪したので、あわせてまとめました。

鹿沢温泉へのアクセスは、鉄道だとJR吾妻線「万座・鹿沢口」駅からタクシー。
東京方面からの車アクセスは2ルートあります、
1.上信越自動車道・小諸ICか東部湯の丸ICで降り、浅間サンライン&県道94号東御嬬恋線経由で湯の丸方面へ。地蔵峠(1732m)から約3km。
2.R144(R406)長野街道、田代から県道東御嬬恋線で地蔵峠方面へ6km。
長野街道は八ッ場ダム関連工事による付け替えですこぶる道がよくなりましたが、これも草津登り口の大津交差点まで。大津から田代までは既成道路でさりげに距離もあるので、登り口そばまで高速でアクセスできる1の方が楽です。
ともに冬場も利用可ですが、県道東御嬬恋線は南面の信州側では雪が少なくても、地蔵峠を越えて北斜面に入ると俄然積雪が多くなるので要注意。どちらもチェーン必携です。

 
【写真 上(左)】 サイン
【写真 下(右)】 峠側からの外観.

田代側からアプローチすると、まず新鹿沢温泉、つぎに休暇村、そこからひとしきりのぼったところに、(旧)鹿沢温泉「紅葉館」があります。
ここは湯ノ丸山(2101m)の山腹、標高1500mの高所で、あたりの林相もそれにふさわしく高山の気を帯びて、昭和43年に国民保養温泉地に指定されています。
いったいに上信国境は、上州側の地形が険しいのが常ですが、このあたりはキャベツ畑が広がる開豁な高原風景で、険しい風景を見せぬままに針葉樹林へと移っていきます。

 
【写真 上(左)】 かつての外観(2003)
【写真 上(左)】 かつてのエントランス(2003)

 
【写真 上(左)】 玄関(2003)
【写真 下(右)】 ロビー(2003)

 
【写真 上(左)】 年季入った浴場棟の外観(2003)
【写真 下(右)】 浴場への階段(2003)

〔2003年〕
玄関は県道沿いですが、館内は別世界。
磨き抜かれて光沢を放つ重厚な調度類、ぎしぎしと音をたてる狭い廊下、木枠のガラス窓など、いずれ湯宿の風情にあふれています。
階段を下っていく浴場へのアプローチや共同浴場のような渋いたたずまいの脱衣所も好ましげで、なにもかもがお湯への期待を高めてくれます。

 
【写真 上(左)】 本館のエントランス
【写真 下(右)】 浴場棟

〔2015年〕
2013年にリニューアルされ、和シックな建物に生まれ変わっています。
メインエントランスは建物裏手の湯尻川側にまわりこんだところですが、日帰り入浴の受付は、手前の蕎麦処「上州 喜庵 雨過山坊」になります。
蕎麦との入浴セット(1,100円)もあり、この日はそれを頼みました。手打ちの蕎麦は適度にコシがあってなかなかのもの。とくに甘さを抑えた濃いめのつゆが印象に残りました。
この蕎麦処から座敷を抜けて階段を降りると浴場です。

 
【写真 上(左)】 日帰り入口
【写真 下(右)】 蕎麦

浴場やお湯の感じは、以前とさして変わりはないのでここから共通レポとします。

 
【写真 上(左)】 浴場への階段
【写真 下(右)】 浴場入口

 
【写真 上(左)】 扁額(2003)
【写真 下(右)】 脱衣所

「雲井乃湯」の扁額が掲げられた浴場は男女別。右が女湯で左が男湯。
窓は小さく場内暗めの浴室ですが、それがかえって風情を高めています。

 
【写真 上(左)】 男湯浴室
【写真 下(右)】 女湯

湯船の正面、湯口の上にはファイヤーダンスのレリーフが刻まれてどこかレトロな雰囲気も。
こういう味わいは、一朝一夕でつくりだせるものではありません。

 
【写真 上(左)】 レリーフ
【写真 下(右)】 レリーフ(2003)

湯船と打たせ湯というシンプルな構成。
湯船は木造り5~6人の年季入りまくりで、湯船のふちは黄土色の石灰華で彩られ、たっぷりふかめで入りごこちがいいもの。

 
【写真 上(左)】 浴槽から洗い場
【写真 下(右)】 壁面の析出

洗い場まわりの壁面も黄土色の石灰華でおおわれています。
総木貼りの内床は、潤沢にあふれたお湯を受けて濡れていてツルっとすべりやすく要注意。

 
【写真 上(左)】 浴槽
【写真 下(右)】 浴槽(2003)

 
【写真 上(左)】 浴槽案内図(2003)
【写真 下(右)】 窓側から浴槽

カランはなく、打たせ湯からお湯を汲みます。
打たせ湯のお湯は「龍宮の湯」といい、湯船とは別源泉(35℃)。これはときどき止まります。
その右横には冷水槽がありきりりと冷たい水(湧水、6.2℃)が注がれています。これは掲示(2003年)によると「湯の丸に、50年以前に降った『天水』」とのこと。

 
【写真 上(左)】 打たせ湯と冷水槽
【写真 下(右)】 打たせ湯(2003)

岩からつき出た金属パイプから20L/min程度のやや熱めの源泉を投入で、槽内注排湯はなく、湯船のふちから静かにあふれ出る文句なしの源泉かけ流し。
(浴場入口の天然温泉利用証も全項目で”適正”)

 
【写真 上(左)】 湯口
【写真 下(右)】 湯口(2003)

 
【写真 上(左)】 オーバーフロー
【写真 下(右)】 オーバーフロー(2003)

カランなし、シャワー・シャンプー・ドライヤーなし。
土曜14時で独占~3人(2003年)。土曜14時で2人~独占(2015年)

ほぼ適温のお湯は、青みがかったうす茶褐色ささにごりの深みある色味。光線の加減により複雑に変化します。
重炭酸土類泉特有の旨味+金気だし味+微苦味によわい重曹味をまじえます。
金気臭+コゲ臭+ミシン油臭にドクダミを思わせる特異な湯の香がまじり、味臭ともにすこぶるデリケートなもの。

 
【写真 上(左)】 女湯の湯色
【写真 下(右)】 湯色(2003)

とろみのあるお湯はよわい土類系のぎしぎしをまじえ、肌に染み込んでくるような絶妙な浴感があります。
よくあたたまり、浴後は肌に張りがでて、こげ温泉臭の残り香かおるすばらしいお湯で、浴感が複雑なので入り飽きせず、冷たい冷水であたたまりを散らすことができるのでいくらでも入れそう。
浴後はすっきりと爽快感につつまれます。
立地的に硫酸塩が卓越しそうですが、硫酸塩はほとんど含まず、重炭酸土類泉になっているところがこのお湯の個性だと思います。


【写真 上(左)】 綺麗な湯色です(2003)
【写真 下(右)】 天然温泉利用証(2003)

打たせ湯は湯船より金気がよわく、よわい芒硝重曹味を感じ、あきらかにちがう源泉だと思います。(雲井の湯(湯船の源泉)より成分はうすめだと思う。)

 
【写真 上(左)】 泉源?
【写真 下(右)】 泉源かも?

風情ある浴場とふかみのあるお湯が見事に調和した屈指の名湯で、とくに温泉好きは虜になる可能性大では。
手入れはたいへんかと思いますが、このような素晴らしい浴場をいつまでも大切にしてほしいと思いました。

〔 源泉名:雲井の湯(県有泉) 〕 <H19.10.22分析>
Mg・Na-炭酸水素塩温泉 47.5℃、pH=6.8、湧出量測定せず(自然湧出)*、成分総計=1.48g/kg
Na^+=136mg/kg (38.99mval%)、Mg^2+=76.1 (41.24)、Ca^2+=57.2 (18.83)、Fe^2+=1.15、Cl^-=35.2 (6.81)、HCO_3^-=828 (93.07)
陽イオン計=274 (15.2mval)、陰イオン計=864 (14.6mval)、メタけい酸=238、メタほう酸=3.7、遊離炭酸=98.8
*) (社)日本温泉協会「温泉利用証」によると、61L/min自然湧出、引湯方法は「源泉地」

〔 源泉名:雲井の湯 〕 <H9.10.31分析>
Mg・Na-炭酸水素塩泉 44.5℃、pH=7.0、37L/min自然湧出、成分総計=1.39g/kg
Na^+=127mg/kg (39.21mval%)、Mg^2+=69.8 (40.74)、Ca^2+=53.7 (18.99)、Fe^2+=1.62
Cl^-=35.6 (7.18)、HCO_3^-=790 (92.47)
陽イオン計=256 (14.1mval)、陰イオン計=827 (14.0mval)、メタけい酸=226、メタほう酸=6.0、遊離炭酸=79.7

<温泉利用掲示> ((社)日本温泉協会「温泉利用証」による)
加水:なし 加温:なし 循環装置使用:なし/完全放流式 消毒:なし

一郷一会100名湯

○ 元レポは「みしゅらん掲示板 特集クチコミ情報」でもご紹介いただいています。

〔 2015/09/27内容補強のうえUP (2003/11・2015/08入湯) 〕


E138.25.20.510N36.26.32.329

【 BGM 】
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