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目の見えない人は世界をどう見ているのか」 その6 伊藤 亜紗

2017年05月01日 00時07分32秒 | 雑学知識
 「目の見えない人は世界をどう見ているのか」 その6 伊藤 亜紗  光文社新書 2015年

 「見えないことと目をつぶること」 その2

 ではいったい、どのようにして「見えない体」に返信すればよいのか、そんなの簡単だよ、視覚を遮ればいい、目をつぶったりアイマスクをつければいいじゃないか、と思われるかもしれません。

 いいえ、視覚を遮れば見えない人の体を体験できる、というのは大きな誤解です。それは単なる引き算ではありません。見えないことと眼をつぶることは全く違うのです。

 見える人が目をつぶることと、そもそも見えないことはどう違うのか。見える人が目をつぶるのは、単なる視覚情報の遮断です。つまり引き算。そこで感じられるのは欠如です。しかし私がとらえたいのは、「見えている状態を基準として、そこから資格情報を引いた状態」ではありません。

 視覚抜きで成立している体そのものに変身したいのです。そのような条件を生み出す体の特徴、見えてくる世界のあり方、その意味を実感したいのです。

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