「目の見えない人は世界をどう見ているのか」 その6 伊藤 亜紗 光文社新書 2015年
「見えないことと目をつぶること」 その2
ではいったい、どのようにして「見えない体」に返信すればよいのか、そんなの簡単だよ、視覚を遮ればいい、目をつぶったりアイマスクをつければいいじゃないか、と思われるかもしれません。
いいえ、視覚を遮れば見えない人の体を体験できる、というのは大きな誤解です。それは単なる引き算ではありません。見えないことと眼をつぶることは全く違うのです。
見える人が目をつぶることと、そもそも見えないことはどう違うのか。見える人が目をつぶるのは、単なる視覚情報の遮断です。つまり引き算。そこで感じられるのは欠如です。しかし私がとらえたいのは、「見えている状態を基準として、そこから資格情報を引いた状態」ではありません。
視覚抜きで成立している体そのものに変身したいのです。そのような条件を生み出す体の特徴、見えてくる世界のあり方、その意味を実感したいのです。
「見えないことと目をつぶること」 その2
ではいったい、どのようにして「見えない体」に返信すればよいのか、そんなの簡単だよ、視覚を遮ればいい、目をつぶったりアイマスクをつければいいじゃないか、と思われるかもしれません。
いいえ、視覚を遮れば見えない人の体を体験できる、というのは大きな誤解です。それは単なる引き算ではありません。見えないことと眼をつぶることは全く違うのです。
見える人が目をつぶることと、そもそも見えないことはどう違うのか。見える人が目をつぶるのは、単なる視覚情報の遮断です。つまり引き算。そこで感じられるのは欠如です。しかし私がとらえたいのは、「見えている状態を基準として、そこから資格情報を引いた状態」ではありません。
視覚抜きで成立している体そのものに変身したいのです。そのような条件を生み出す体の特徴、見えてくる世界のあり方、その意味を実感したいのです。