民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「くせのガマン比べ」 リメイク by akira

2012年05月20日 02時29分33秒 | 民話(リメイク by akira)
 元ネタ 「三人のくせ」 「日本の昔ばなし Ⅱ」 関 敬吾編 岩波書店

 今日は「クセのガマン比べ」やっかんな。

 オレが小さい頃、ばあちゃんから 聞いたハナシだ。
(いや、このハナシは じいちゃんからだったかな)
いつものように ほんとかうそか わかんねぇハナシだけど、
(じいちゃんのハナシは 特にな)
ほんとのことだと思って 聞かなきゃなんねぇ。

 むかしのことだそうだ。

 ある村に、しらみったかり と めンただれ  と はなったれ の三人が おったど。
しらみったかりは 体中に しらみが うじょうじょ たかっていてな、
そんで いっつも 体を ごそごそ 引っかいていたど。
めンただれは 目やにが 一杯 たまっていてな、
そんで いっつも ごしごし こすっていたど。
はなったれは あおっちろい ごんぞっぱなを たらしていてな、
そんで いっつも ふんっ って 手鼻(てばな)を 切っていたど。

 あるとき 三人で 山ん中を 歩いている時に、三人のうちの一人が 言い出したど。
「おーい、オレたちよ。」
「ん?」
「なんか いっつも 体 引っかいたり、目 こすったり、はな すすったり、してねぇけ。」
「んだな。」
「クセなんだべな。」
「あんまり みてくれのいいもんじゃ ねぇよな。」
「んだな。」
「んでよ、オレ かんがえたんだっけど、誰が 一番 そのクセを ガマンできっか やってみねぇけ?」
「おもしれぇ。・・・やってみっぺ。」
「じゃ、今っから だぞ。」

 ってんで、クセの ガマン比べを 始めたど。

 ところが はじめて すぐに 三人とも 様子がおかしく なったど。 
しらみったかりは からだを もぞもぞ。
めンただれは 目を ぱちぱち。
はなったれは しきりに 鼻(はな)を すすってる。

 できない って、なると よけい やりたくなるのが 人間ってもんだ。

 とうとう しらみったかりが、
「おい、向こうの山 見てみろ。イノシシがいるぞ。」って、言って、
山の方を(右)手で指差しながら、ヒジを動かして(右の)よこっぱらを ごそごそ。

 すると すかさず 目ンただれが
「どれ、どこだ。(きょろきょろして)見えねぇな。」って、言って、
望遠鏡をのぞくような格好(かっこう)をして 目のふちを ごしごし。

  今度は 間髪入れずに はなったれが
「おっ、いた、いた。・・・よーし、鉄砲で撃(う)ってやれ。」って、言って、
鉄砲を撃(う)つまねをして ごんぞっぱなを 手鼻(てばな)でふんっ。

 しらみたっかりも 目ンただれも はなったれも よっぽど ガマンしていたんだな、
三人が 動いたのは ほとんど 同時だっとさ。

 おしまい

 今日は これで おしまいに すっつぉー。
ちいせぇ子供は 早く寝ねぇと、やまんばに (頭っから)塩かけられて 食われっちまうぞ。

 おやすみ、また あしたなぁ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。