「新・日本発見 筑波山」 大宅壮一(1900~1970)
私に言わせれば、この香具師(やし)の口上は、江戸時代の瓦版売りの流れをくむもので、
ジャーナリズムやマス・コミの原型である。
ジャーナリズムの基本的機能は、一口にいうと、ヒューマン・インタレスト、
即ち「人間による、人間のための、人間に関する興味」である。
こういう観点からこのガマの油の口上を再検討すると、
心憎きまでに大衆の心をつかんでいることがわかる。
マクラあり、サワリあり、オチまでついているところは落語や講談と同じであるが、
ちがう点は、寄席のように金を払って入った客が相手でなくて、通りすがりの人々の足をピタリと止め、
終わりまで口上を聞かせた上で、財布の紐をとかせるのがねらいである。
今から見ると、この内容にはインチキな点も多いが、
当時はこれで大衆の興味をつなぐことができたのである。
科学知識らしいものもあれば、伏線やサスペンスもあって、
ショート・ストーリーやテーブル・スピーチの諸条件をちゃんとそなえている。
とにかく、この口上は相当なもので、当時これを作った男は一種の天才だったにちがいない。
私に言わせれば、この香具師(やし)の口上は、江戸時代の瓦版売りの流れをくむもので、
ジャーナリズムやマス・コミの原型である。
ジャーナリズムの基本的機能は、一口にいうと、ヒューマン・インタレスト、
即ち「人間による、人間のための、人間に関する興味」である。
こういう観点からこのガマの油の口上を再検討すると、
心憎きまでに大衆の心をつかんでいることがわかる。
マクラあり、サワリあり、オチまでついているところは落語や講談と同じであるが、
ちがう点は、寄席のように金を払って入った客が相手でなくて、通りすがりの人々の足をピタリと止め、
終わりまで口上を聞かせた上で、財布の紐をとかせるのがねらいである。
今から見ると、この内容にはインチキな点も多いが、
当時はこれで大衆の興味をつなぐことができたのである。
科学知識らしいものもあれば、伏線やサスペンスもあって、
ショート・ストーリーやテーブル・スピーチの諸条件をちゃんとそなえている。
とにかく、この口上は相当なもので、当時これを作った男は一種の天才だったにちがいない。