民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「私に帰る旅」を読んで その4

2013年02月02日 01時15分58秒 | マイ・エッセイ&碧鈴
「私に帰る旅」を読んで その4

社会に出て、自分の自由な時間もなくなり、だんだん本を読まなくなった。
流されて、流されて、35年。

 結婚して、子供も生まれ、あっという間に過ぎた。
「何かが違う」「芸術的なことをやりたい」
くすぶった気持ちはずっと感じていた。
 だけど、生活に追われ、それどころではなかった、というのは言い訳だろうか。

 そして60才、定年退職。
決して生活は楽ではないけど、待ちに待っていた隠居生活。

 あけみちゃんを知ったのはそんな頃。
ギターでジブリの曲をやっていて、ネットでジブリの情報を集めていて、
あけみちゃんのジブリについて書いてあったブログにたどりついた。
 
 その感性に心惹(ひ)かれて、あけみちゃんに感想を送ったら、
こころよくマイミクになってくれた。

「私に帰る旅」を読み始めた。
女性なのにオレの若い頃にそっくりな考え方。

「出家とその弟子」倉田百三
「無常といふ事」小林秀雄
「愛の無常について」亀井勝一郎

 オレも読んだ本だけど、女性が読む本とは思えない。

 あけみちゃんは突然の病気で「死」の重みに直面させられた。
オレは今まで病気にもならず生きてこられた。
しかし、いつ病気に苦しむようになるかわからない。

 その時はこの本を思い出そう。
オレは好きだった太宰治、坂口安吾、宮沢賢治より長く生きている。
そのことに「後ろめたさ」も感じている。
 決して自分の身体をいたわっているとはいえない。

 しかし、あけみちゃんのように死に直面した人のことを思うと
もっと自分の身体、大事にしなきゃと本気で思う。

 そのことを気づかせてくれただけで、この本を読んだ価値がある。

 完