風にまかせない僧 「醒睡笑」巻一 上方 日本の小咄 三百題 稲田浩二・前田東雄 編著
京にて、口脇白き男(こなまいきな男)、ちと 出家をなぶり、
理につめて遊びたやと(理屈づめにして楽しんでやろうと)思いつつ、賢(さか)しき人に向かい問う。
「やすき事なり。教えん。なんじ沙門(出家した僧侶)に会うた時、「お僧はいずくへ」と言うべし。
さだめて「風にまかせて」と言わんずる。 (注)「行雲流水」が僧の覚悟である。
その時「風なき時はいかん」と言え。やがて 閉口すべし」
この教えを得、ある朝、東寺(とうじ)の門前にて 出家に行き会う。
「お僧はいずくへ」と、問う。
僧の返事に、
「立売りの勘介が所へ 斉(とき)に行く(法要に行く)。何ぞ 用ありや」
男、とってにはぐれ(文句のつぎ穂を失って)、
「あら、お僧は風にはまかせないの」と。
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「くそ坊主」 リメイク by akira
むかし、あるところに、お坊さん嫌いの 男が いたと。
ある日、男は 隠居じいさんに 聞いてみたと。
「おら、どうも 坊主ってヤツが 好きになれねぇ。
いつも 偉そうにしてやがってよ。
なんか、ぎゃふん と言わせる方法は ねぇもんかねぇ?」
すると 隠居じいさん、ちょっと考えて、言ったと。
「そんなの簡単さ、今度、坊さんに会ったら こう言うがよい。
『ご苦労さんで、・・・どちらに 行きなさるんで?』
すると お坊さん、きっと、『風の 吹くままじゃ』って、答えるからな、
そしたら、『風のない時は どうするんで?』って、聞くがよい。
お坊さん、きっと 開いた口が ふさがんなく なるだろうよ」
それから しばらくして、男は 道っぱたで お坊さんに 行き会ったと。
さっそく「ご苦労さんで、・・・どちらに 行きなさるんで?」って、聞いてみっと、
お坊さん「葬式ができてな、念仏をあげに 行くとこじゃ」って、答えたと。
男は 舌打ちして、
「なんでぇ、風にまかせねぇのかい、この くそ坊主!」って、言ったとさ。
おしまい
京にて、口脇白き男(こなまいきな男)、ちと 出家をなぶり、
理につめて遊びたやと(理屈づめにして楽しんでやろうと)思いつつ、賢(さか)しき人に向かい問う。
「やすき事なり。教えん。なんじ沙門(出家した僧侶)に会うた時、「お僧はいずくへ」と言うべし。
さだめて「風にまかせて」と言わんずる。 (注)「行雲流水」が僧の覚悟である。
その時「風なき時はいかん」と言え。やがて 閉口すべし」
この教えを得、ある朝、東寺(とうじ)の門前にて 出家に行き会う。
「お僧はいずくへ」と、問う。
僧の返事に、
「立売りの勘介が所へ 斉(とき)に行く(法要に行く)。何ぞ 用ありや」
男、とってにはぐれ(文句のつぎ穂を失って)、
「あら、お僧は風にはまかせないの」と。
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「くそ坊主」 リメイク by akira
むかし、あるところに、お坊さん嫌いの 男が いたと。
ある日、男は 隠居じいさんに 聞いてみたと。
「おら、どうも 坊主ってヤツが 好きになれねぇ。
いつも 偉そうにしてやがってよ。
なんか、ぎゃふん と言わせる方法は ねぇもんかねぇ?」
すると 隠居じいさん、ちょっと考えて、言ったと。
「そんなの簡単さ、今度、坊さんに会ったら こう言うがよい。
『ご苦労さんで、・・・どちらに 行きなさるんで?』
すると お坊さん、きっと、『風の 吹くままじゃ』って、答えるからな、
そしたら、『風のない時は どうするんで?』って、聞くがよい。
お坊さん、きっと 開いた口が ふさがんなく なるだろうよ」
それから しばらくして、男は 道っぱたで お坊さんに 行き会ったと。
さっそく「ご苦労さんで、・・・どちらに 行きなさるんで?」って、聞いてみっと、
お坊さん「葬式ができてな、念仏をあげに 行くとこじゃ」って、答えたと。
男は 舌打ちして、
「なんでぇ、風にまかせねぇのかい、この くそ坊主!」って、言ったとさ。
おしまい