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家族は難しい

2006-06-28 13:30:18 | 子ども・子育て・保育
 児童福祉施設での学生の実習先に、訪問をした。乳児院では、現代家族の生々しい状況と乳児院の新しい課題を聞く機会となった。

 入院に際して、ここ数年前から起きていることがある。24時間型の無認可のいわゆるベビーホテルに預けっぱなしで引取りに来ない、あるいは病院に入院して退院時期がすぎても引取りに来ないため、児童相談所を経由して子どもを保護する意味で仮入院する。
 その間母親は抜き差しならぬ事情があったかと思いきや、そんなことではないのだ。母親はたいてい、乳児院に「人さらい」「同意していない」といった悪態をつくという。乳児院を非難しつつも、あるていど期間がかかってから正式な入院となる。

 以前は、退院後(在院年齢は3歳未満)に70%が家族の引取りで、30%が児童養護施設だった。2年前からそれが逆転して、70%の子どもが児童養護施設へ措置される。虐待の場合などは、親の回復は困難なので児童養護施設で、子どもが親を超えられるぐらい育つことを期待するようになる。
 親が健全の場合も少なくない。若年親など、子どもを養育責任が希薄、あるいは親性といったものが感じられなく、乳児院でわが子が育っていることに嫉妬して自分を世話してほしいと思われる行動を取る親もめずらしくないという。そのため子どもに面会に来たとき親の話を聞くなどを、意図的にやるようにしているという。家庭支援専門相談員という専門職を配置するようになった。これは児童福祉施設最低基準にはないが、配置することで認定されている。
 
 子どもの泣き方が、以前にあった激しい泣き方とは異なるものが増えている。なんとも比喩しようのないような叫び声であり、恐怖やパニックがともなっているように聞こえるという。出産後まもなくの子どもの場合もあるので、胎児段階で影響受けているのだろうか、と言う解釈してみているという。親が、DV、ヤミ金取立て恐怖、車上暮らしなど体験している場合が少なくないので、その影響だろうか、と。
 夜寝るという生活リズムが定着しない子どもがいる。夜中に機嫌よく遊びだす子どももいる。
 そのような状況は、小児精神科医によれば、小児精神科病棟と同じだそうだ。かつてのように乳児院という赤ちゃんのおだやかで健康な暮らしの場にするのは無理で、現状を受け入れて養育していくしかないだろうとのことだ。
 また昔は1歳ぐらいまで病気になる子どもは少なかったが、今は0歳でもからだの異変が多いという。わたしが子どもを見た感じでは、これまで訪ねた乳児院より子どもは健康そうに思えた。生後1カ月未満の子どもがいた。2歳の子どもがわたしのところによってきたので、応じた。子どもとのコミュニケーションは、心穏やかにしてくれるものだ。

 去年訪ねた乳児院では、子どもにアタッチメントの形成を重視していた。地域に開放的にし、「抱っこボランティア」を求め、それが機能しているようだった。担当制をとっており、子どもと保育士とのアタッチメントも形成される。すると面会に来た母親に対して、保育士に寄り添いながら距離を取る子どもがいるということだった。

 ある研究誌の編集の手伝いをしているが、特集が家族である。そんなことがあって家族について考えていただけに、家族が成立している困難さとは別なカテゴリーの家族について考えさせられた。
 それに家族の事件が連続している。そういえば話の中で「演技性人格障害」という言葉も出たな・・・。

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