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水族館のおもしろさと可能性

2012-05-19 20:19:38 | 生活・教育・文化・社会
 スカイツリー開業前にしての助走から、メディアの報道は過熱気味の感がある。大震災・原発事故という巨大な負を抱えている現在、高さ世界1位の電波塔ということで、誇りと確信を取り戻したいというかのようだ。
 この電波塔は、634メートルの高い塔であるだけでなくレクレーション施設として様々なものを用意している。そのひとつに併設される「すみだ水族館」がある。ここには、小笠原諸島の海などをイメージした400種1万点(アオウミガメ、マゼランペンギン47羽も)を飼育展示されるという。

 ところで各地にある水族館のなかで最高の入場者数は、4月26日(木)NHK放送の「仕事ハッケンデン」によると、沖縄美ら海水族館の270万人とのことである。この水族館のテーマは「海を見せる」ということだ。展示する魚を職員自ら魚をするとのことだが、番組では深海魚の展示水槽に関心を高めたいということで観客にクイズを提供する試みをしていた。深海魚は動きが少ないので、魚について深く理解しようとする人でなければ関心は向きづらい。

 水族館といえばわたしが最近訪れた「八景島シーパラダイス」(神奈川県横須賀市)は、東日本の水族館ではめずらしいジンベイザメの飼育を去年から始めて、イルカショーなどをやる巨大なプールを泳ぐまでになっていた。この水族館は室内の巨大な水槽を上からと横からも、さらに水槽の下のトンネルを潜り抜けるように、つまり天井を魚が泳いでいるのを下から見られるのだ。
 その空間を夜になると、女性限定としてリクライニングシートでくつろいで、一晩をおくれるように05年からしている。それが最近では予約待ちぐらいの盛況ということである。この展示空間は海の中にいるようにも思えるのだが、魚類は常に泳ぐものなので動きを見られ、観賞用の魚を見ているようにも思える。いわば「癒し」の空間と時間を提供が、人気を呼んでいるのだろう。

 かつて水族館は、本の図鑑の現物を見られるところという傾向が強かった。水槽の魚の横に分類や生息地など説明が詳しく書いてあった。今ではオットセイやイルカといった海獣(哺乳類)の芸が関心を呼ぶようになっている。
 さらに調教による芸でなくとも、ペンギンやアザラシやラッコなどの、行動の面白さにも関心を持つのだ。
 水族館の魚と多くの海獣は、水中では常に動くという習性を持っている。その動きを、見る側は求め、その魚や海獣の特徴などの理解につながり、楽しませてくれる。家庭で金魚や鯉などを観賞用に飼育するのも、常に泳いでいる姿や色合いが、心地よい刺激になるからではないだろうか。
 そのことからすると、巨大水槽を見る空間を広くしてベンチを設けたりして、くつろげるようにするのも一考に値するのではないだろうか。
 水族館は魚や海獣の泳いで動くという性質のものを集めているので、人気のある旭山動物園が掲げた「行動展示」そのものであり、見る空間の工夫によってこれからも可能性のあるテーマパークであり続けるのではなかろうか。




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