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自分とこの社員をバカ呼ばわりする暇があるなら

2022年04月27日 17時27分18秒 | 職場人権レポートVol.3
物流コンサルタントの話によると、運送会社の社長の中には、自分の会社のドライバーを平気でバカ呼ばわりする人が決して少なくないそうです。くだんの物流コンサルタントが、物流システムの改善を提案しても、「うちのドライバーはバカばっかりだから、そんなシステムを提案されても、よう使いこなせない」と返されるそうです。
 
確かに、そういう一面があるのは事実です。私の勤め先も、スーパーの物流センター業務を請け負っている運送会社ですが、小学校で習うような算数の計算も出来ない人がいるのは事実です。例えば、「1段8ケースで8段積みのパレットが6枚あるので合計384ケース。伝票の数量通りで検品オーケー」と、普通はなるのですが、中には40歳を過ぎても、その程度の計算も出来ない人も中にはいるので、運送会社の社長がそう言いたくなる気持ちも分からなくはないです。
 
しかし、それでも、赤の他人が言うならまだしも、当の社長が自分の会社の従業員をバカ呼ばわりしてはダメでしょう。自社の従業員をバカ呼ばわりするという事は、その従業員を雇った自分自身や自分の会社もバカ呼ばわりするという事です。それでは「他人からバカ呼ばわりされても一切文句は言いません」と、認めてしまう事になってしまいます。
 
そして、それはあくまで一面に過ぎません。どんな仕事でも、本当にこなそうと思えば、それなりに頭を働かさなければ出来ません。トラックの運転や商品の積み方一つとっても、それは同じです。納期や道路状況によって運転の仕方やコースを変えなければなりませんし、商品の形状によって積み方を変えなければなりません。バカにも出来る仕事なぞ、本当は何もないのです。
 
この物流コンサルタント氏によると、運送会社の従業員に自己肯定感の低い人(自社の従業員をバカ呼ばわりする人)が多いのは、下記の理由によるのだそうです。
 
①従業員20人以下の小企業が多く、切磋琢磨の機会に乏しい。
②荷主の言いなりにならざるを得ない会社が多く、無理な納期や無駄な待機時間も受け入れざるを得ない中で、次第に諦め根性に染まってしまう。
③長年に渡り同じ荷主と取引する中で、どうしても「井の中の蛙」になってしまう。
 
上記の①については、我が社は既に数百人の社員を抱える中堅企業に成長したので、当てはまらないかも知れません。でも、その社員数も事業所毎に割り振れば、小規模な事業所については結構当てはまるのではないでしょうか。他の②や③の理由に至っては、まさにその通りだと思います。「自己肯定感が低い」と言うのは、平たく言えば「自信がない」心理状態の事です。劣等感に凝り固まって、「自分にはそんな事は出来ない」と、ハナから諦めてしまっている。そんな状態を指します。
 
 
昨日午後の作業でも、それを痛切に感じました。昨日私は、午後から麺つゆ等、惣菜商品の仕分け応援に入りました。麺つゆの仕上がり時刻は、最初18時ぐらいだったので、私達が仕分けに携わる事はまずありませんでした。しかし、その後、仕上がり時刻が早まるに連れて、私達も仕分けに携わる機会が増えるようになりました。
 
今は15時前後に仕上がるので、ギリギリのタイミングで作業を進めなければならなくなってしまいました。通常は数人で作業を進めるのですが、昨日は1人しか人手がいませんでした。だから私も急きょ応援に入る事になったのですが、それでも2人だけでは、どうにか終わらせるだけで手一杯です。
 
しかも、もう1人のバイトは15時上がり、私も16時までの雇用契約なので、その時刻を過ぎたら、もう毎日、残業でしのがなくてはならなくなります。商品に異常が何もなければそれでも良いですが、もし商品に納品数の間違いや、ピンホール等の異常が見つかれば、15時以降は私一人で全部対応しなければならなくなります。
 
その一方で、14時半頃までは、ほとんど何もする事がないのです。4月11日からの体制変更で、午前の作業終了時刻が13時から12時に1時間早くなりました。私達は12時に昼休みに入り、13時から午後の作業に入ります。午後からの作業で、まず最初にやるのは、仕分け用のカゴ車や台車をセットする事ですが、これらは午前中からある程度進めているので、13時半にはあらたか終わってしまいます。
 
その後すぐに商品が納品されれば何も問題はないのですが、実際は14時半過ぎにならないと、主な商品は何も入って来ません。昨日も14時半ぐらいまではそんな状態でした。だから、私はそれまで自主的に別の作業の応援に入りましたが、なかには手持ち無沙汰に掃除で時間を潰す人もいました。
 
それなら、麺つゆだけでも、もっと早く仕上げる事は出来ないものでしょうか。麺つゆは惣菜部門で自力生産している商品です。原材料と製造する人さえ揃える事が出来れば、幾らでも仕上がり時刻を早める事が出来る筈です。それも1時間も2時間も早めろと言っている訳ではありません。18時から15時まで早める事が出来たのなら、もう後30分ぐらい早める事は十分可能なはずです。
 
ところが、うちの社員は、そんな発想自体が思い浮かばないのです。「麺つゆの仕上がり時刻を決めるのは先方で、我々が注文付けれる筋合いではない」と。結果、最初は暇を持て余し、最後にバタバタと人海戦術で乗り切るしかなくなるのです。
 
結果オーライならそれでも良いでしょう。しかし、いつも結果オーライとは限りません。作業に異常や事故は付き物です。そうなっても対処出来るようにするのが社員の役割なのに、ここの社員と来たら、相変わらず奴隷根性に囚われ、相手の言いなりで、それを人海戦術や根性論で乗り切ろうとするしか能がないのです。
 
そんな姿勢で事故やミスが減るわけがないでしょう。何の為に毎日バイトに作業日報を書かせているのですか?作業にムラや無駄がないか洗い出す為に、各作業の終了時刻を記入させているのでしょう。ところが、現状は「ただ付けるだけ」に終わってしまっています。そんな無駄な作業日報なら、一層の事、廃止してしまった方がマシです。
 
 
また、何の為にヒヤリハット調査をやっているのですか?作業場に危険箇所がないか洗い出して、少しでも事故やミスを減らすのが、ヒヤリハットの目的でしょう。ところが、上の顔色をうかがうばかりで、上の耳の痛い事は何も書かず、「掃除の出来ていない箇所」の調査でお茶を濁すだけ。そんな下らない調査に時間を費やすくらいなら、ゴミの一つでも拾ったらどうでしょうか?他の者にも拾うように指導したらどうでしょうか?
 
また、うちの職場には、お茶を濁すだけでなく、何かと言えばすぐに逆ギレする奴も少なくありません。物流や運輸等のガテン系の職場で、喧嘩や揉め事が絶えないのは、決して偶然ではありません。「長いものに巻かれろ」の「社畜の奴隷根性」が染み付いた職場では、上に何も言えない鬱憤は、下に八つ当たりで晴らすしかないのです。だから、同僚同士の諍(いさか)い(争い事)やパワハラが後を絶たないのです。これは過去に私も何度も経験しました。
 
しかも会社は、それを就業規則で、「諍い禁止」と言う名の「喧嘩両成敗」で揉み消そうとします。パワハラの被害者が何故、加害者の巻き添えで処罰されなければならないのか?パワハラで罰せられるべきは、加害者であって被害者ではありません。
 
「荷主には逆らえない」と言うのも、私に言わせれば、ただの言い訳に過ぎません。いくら金を持っていても、トラックやフォークリフトを保有していても、それに乗って動かす人がいなければ、仕事は回らないのですから。自分たちの勝手な都合で、18時から15時までどんどん作業を早めておきながら、何故もう30分そこら早める事が出来ないのか?要は「改善する気があるか、どうか?」。それだけです。
 
従業員を使い捨て出来たのは昔の話。今や少子高齢化でドライバーは金の卵です。しかし、いくらそんなチャンスがあっても、上にはペコペコ、下には偉そう。社畜の奴隷根性で、何年経っても改善出来ない。いつまで経っても進歩しない・・・。そんな社員や会社が、この厳しい世の中で、生き残っていけるはずがないでしょう。
 
ちょうど今、北海道・知床半島沖の遊覧船沈没事故の話題が世間を賑わしています。今朝の朝刊各紙にも、くだんの遊覧船運航会社が、雪の重みで折れた無線アンテナの補修もせずに、悪天候の中、遊覧船を運航させていた事が報じられていました。SOSの第一報も、遊覧船保有会社ではなく、他社の無線傍受によって海上保安庁に通報されました。
 
この一件で、世間はここぞとばかりに、この遊覧船所有会社を叩きに出るでしょう。勿論、この遊覧船会社の儲け優先、保安無視の姿勢は叩かれて然るべしです。
 
しかし、それを叩く我々も、職場の問題点を見て見ぬ振りして来たという点では、この遊覧船運行会社と、五十歩百歩ではないでしょうか?本当にバカなのは、計算もできない社員ではなく、その社員を育成出来なかった社長なのです。自分とこの社員をバカ呼ばわりしている暇があるなら、少しでもバカをカシコにする方法を考えるべきでしょう。
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