アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

悪ふざけの盗撮はダメでも過労死の揉み消しなら良いのか?

2013年09月11日 07時00分06秒 | 職場人権レポートVol.3
餃子の王将で客が服脱いだ画像、ネット掲載(読売新聞)

 中華料理店「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは3日、金沢片町店(金沢市)で、男性客約10人が不適切な行為をしたとして、2日夕から同店の営業を停止したと発表した。
 服を脱ぐなどの非常識な振る舞いをしたという。店舗の閉鎖も検討しており、損害賠償を請求する方針だ。
 同社によると、男性客らの行為を撮影した画像が、インターネットの交流サイト「フェイスブック(FB)」に掲載されていた。この画像を見た人から電子メールで連絡があり、2日に事態を把握したという。画像はすでに削除されている。
 この問題を受けた社内調査で、新潟近江店(新潟市)の男性社員が、店内のギョーザ専用の冷蔵庫内に入っている画像もネット上で見つかった。食材の廃棄や店内の消毒をするため、同店の営業を3日に停止した。男性社員は事実を認めているといい、詳細を調べたうえで処分する。
 今年7月以降、飲食店やコンビニの店員らが、冷蔵庫などで撮った写真などをネット上に投稿する事例が全国で相次いでいる。(以上引用)
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130903-OYT1T01130.htm?from=tw

 上記ニュースの他にも、ピザ店員がピザ生地を顔に塗りたくった写真をネットに投稿したり等、飲食店従業員による不祥事をよく聞くようになりました。この一連の不祥事を指す「バイトテロ」なる造語まで生まれる始末です。
 斯くいう私も、バイト先の不当労働行為や隠蔽工作を告発する為に、今まで社内の写真をこのブログに投稿したりして来ましたので、この一連の騒動に対しても、何らかの立場表明をしておかなければならないと考えていました。勿論、私の場合は正義の告発の為に、社名も伏せた上で必要な範囲で投稿してきたのであって、こんな悪ふざけ投稿と一緒くたにされる筋合いはこれっぽっちもありませんが、やっている事は同じなので、その誤解を解く為にも、ここで、この一連の「バイトテロ」に対してどう考えているのか、私の立場を明らかにしておきます。

 まず以て、私は全然悪い事をしているとは思っていません。言論・表現の自由は憲法でも保障されています。言っている事が真実である限り、罪に問われる筋合いは全くありません。盗撮という手法に対しても、強大な政治力・資本力を行使できる企業を相手に個人が対抗する上では、やむを得ない行為だと思っています。「個人情報の漏洩ではないか」という指摘に対しても、別に週刊紙のゴシップ記事のように、個人のプライバシーを興味本位に暴き立てている訳ではなく、およそ機密とは言えない社内の作業風景を、読者の理解を促す上で必要な範囲で、ブログに公開しているに過ぎません。こんな物すら「名誉棄損」だの「個人情報の漏洩」だの言われるようでは、もはや憲法や法律で保障された「言論・表現の自由」「公益通報(内部告発)の権利」なんて絵に描いた餅にしか過ぎず、日本も中国や北朝鮮なみの自由しかないという事です。少なくとも私の行為については、「写真に撮られるような事、ブログに書かれるような事をしている会社の方こそ悪い」のです。

 寧ろ私は、たかだが冷蔵庫に侵入されて盗撮された位で、冷蔵庫の商品を全て廃棄処分にし在庫を入れ替えた会社の隠蔽体質に、物凄い憤りを感じます。普段から社員やバイトが冷蔵庫に入って商品を出し入れしており、寧ろそうしなければ仕事にならない筈なのに、ほんの出来心で少し悪ふざけで冷蔵庫の様子を盗撮された位で、何で閉店や在庫の廃棄処分にまで至ったのか、私には全然理解出来ません。まるで、「ばい菌」が冷蔵庫に侵入したみたいな扱いで。じゃあ、そんな「ばい菌」を何故今まで雇っていたのかと、逆に突っ込みたくなります。当の社員やバイトも、仕事中の悪ふざけについては反省しなければいけないと思いますが、「ばい菌」呼ばわりされた事については寧ろ怒るべきだと思いますね。挙句に実名・住所やプライバシーまでネットに晒されて。そちらの方がよっぽど「名誉棄損」や「個人情報の漏洩」に当るのに。

 それ以上に憤りを感じるのが、被害者面している企業の多くが、一方では最低賃金ギリギリの薄給で人を安くこき使い、サービス残業を強要し、過労死やパワハラで被害者・遺族から訴えられたりしているのに、その不正については頬かむりしている事です。冒頭で取り上げた「餃子の王将」にしても、人権無視のパワハラ研修や、過労死裁判で告発されたりしている癖に、手前たちの従業員に対する人権侵害には頬かむりしながら、ほんの出来心で悪ふざけした社員・バイトを「ばい菌」扱いする資格なぞ、私はこれっぽっちもないと思いますね。(下記参考記事参照)
 社員・バイトによる悪ふざけや盗撮についても、やった事は決して褒められた行為ではありませんが、そんな会社に対する従業員の鬱憤晴らしという側面もあると思います。会社も、バイトを「ばい菌」や「テロリスト」呼ばわりするより前に、何故「テロ」を仕掛けられたのか自省すべきでしょう。
 その上で、悪ふざけや盗撮に及んだ社員・バイトにも敢えて言いたい。「今ある自由や権利も、元からあったのではなく、自分たちの先輩が何百年もかけて必死の思いで勝ち取ってきた物だ」「今も政府や財界は、隙あらばそれを制限しようと躍起になっている」「その隙を自ら招き入れるような、自分で自分の首を絞めるようなバカな真似をするな」「そんな事をする暇があるなら、言論・表現の自由をもっと有効に使え」と。

(参考記事)

ブラック企業大賞2013 ノミネート企業8社とノミネート内容(ブラック企業大賞HP)
5.株式会社 王将フードサービス(餃子の王将)

2013 年2 月5 日、「餃子の王将」で働いている25 歳の男性が、王将フードサービスを相手取り損害賠償を求める裁判を起こした。男性ははじめアルバイトとして王将で働き始め、10 ヶ月後に正社員として登用される。京都府内の店舗で調理などの業務を担当していたが、長時間労働のためにうつ病を発症し、11 年4 月から休職を余儀無くされている。うつ病を発症する直前の6 ヶ月の時間外労働は平均して月に約135 時間だった。男性のうつ病は、労災として認定されている。餃子の王将では労働時間管理をコンピュータで行っており、1 日10 時間を超える労働時間は入力できない仕組みになっている。このように、組織的に残業代の不払いを行っていたことも明らかとなった。原告の男性は、マスコミに対して「何やと思ってんねやろう、人を」とコメントしている。また、王将フードサービスは、過酷な新人研修についても度々報じられている。逃げ場の無い合宿形式で行われる研修では、「2 メートルでも瞬間移動」などの指導に始まり、「王将五訓」の暗唱や王将体操などをさせられる。一連の研修は、「人権」の考え方を「ペスト菌」のようなものだと主張する染谷和巳氏の経営するアイウィルが請け負っており、パワハラとみなされてもおかしくない状況が延々と続く。
 http://blackcorpaward.blogspot.jp/p/blog-page_12.html


ワタミ・餃子の王将・ステーキのくいしんぼ……第2回ブラック企業大賞2013 ノミネート企業発表(ガジェット通信)

6月27日、栄えある“ブラック企業”のナンバーワンを決定する『第2回ブラック企業大賞2013』のノミネート企業が発表された。
昨年の第一回の大賞は“東京電力”が選ばれたが、事前に行われたウェブの投票では“ワタミフードサービス”が50%近くを獲得するという圧倒的な強さであり、会場の投票でも1位はワタミだった。それゆえ、ワタミが大賞を逃したことに対して釈然としなかったネットユーザーも多かったようだ。
公式サイトによれば、ブラック企業とは
(1) 労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業
(2) パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)
(3) また環境破壊や事業所の周辺環境や地元地域社会への配慮・貢献、消費者のニーズ・アフターケアに対する考慮が薄い企業なども含まれる場合がある。
とのこと。確かに環境破壊という点においては、東京電力以上に現在の日本の環境を破壊している企業はないかもしれないが……。
さて、今年ノミネートされたのは、昨年惜しくも大賞を逃したワタミフードサービスをはじめ、クロスカンパニー、ベネッセコーポレーション、サン・チャレンジ(ステーキのくいしんぼ)、西濃運輸、東急ハンズ、東北大学の8つ。やはり今年も、ワタミはウェブ投票で圧倒しそうな雰囲気である。ユニクロでおなじみファーストリテイリングのノミネートがあれば、少しは違う状況になったかもしれない。(以下略)
 http://getnews.jp/archives/369556
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1 コメント

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かつて客だった立場から (プレカリアート)
2013-09-12 21:57:42
 「餃子の王将」を記事で取り上げたついでに、一人の客として彼の飲食店をどう見ていたかについても、ここで少し書いておきます。

 名ばかり店長が多い他のチェーン店とは裏腹に、王将の店長には幅広い権限が与えられたと聞きます。実際、以前よく利用していた店では、店長が独自に考案した日替わり定食の次のメニューを楽しみに通っていました。そこでは定食のメニューが充実していたように思います。
 店長も職人気質で、店内でバイトの動きを横でじっと観察していた姿をよく見かけました。但し、店内では罵声が飛び交い、店の雰囲気はお世辞にも良いとは言えませんでしたが、それでも味はそこそこ良かったように思います。

 やがて今の職場に変わり、途中駅の近くにも新しい王将の店がオープンしました。ターミナル駅に近接したスーパーの駐車場横に、「すき家」や百円ショップと同じ並びにオープンです。そこは立地条件の良さから今でもいつも満員です。
 但し、定食はいつも同じ数種類のセットメニューのみで、昔の店のようなオリジナルメニューはありません。価格も割高で、単品なら400円台で焼きそばやラーメンが食べれた昔の店とは大違い。焼き飯もパサパサ、店員も、悪ふざけ投稿した店員とも同じような出立の若いギャルがやたら騒がしいだけで、肝心の客はほったらかし。唐揚げにかけるソースを頼んだら、どこにあるか誰も分からず、持ってくるまで10分以上待たされた事もありました。
 それでも、隣の「すき家」はガラガラなのに「王将」はいつも満員なのです。味は似たり寄ったり、寧ろ「すき家」の方がまだマシな位なのに。今から思えば、その店は立地条件の良さに胡坐をかいていたのではないかという気がします。

 問題の「王将」新人研修の動画も見ました。まるで体育会系のシゴキのようでした。労働者というよりも独立自営を夢見て入社した人が多かったから、今まではそれでも良かったのでしょう。
 飲食業界にブラック企業がはびこるのも、この従業員の抱く「独立の夢」に企業が甘え悪乗りし、企業として当然しなければならない、シゴキではない本当の意味での人材育成(スキル・マネジメント・コンプライアンス―本当はその中で人権教育も当然行われなければならないのだが)を怠ってきたからではないでしょうか。

 金沢片町店が閉鎖に追い込まれたホストクラブ従業員による全裸騒動にしても、あれを「ホストによる脅迫に店が渋々屈した」とする「王将」側の言い分を、到底額面通り受け取る訳にはいきません。幾ら馴染み客と言えども、商売道具である店のユニフォームを軽々に客に貸すとは、どう見ても尋常ではありません。
 本当に仕事に誇りや情熱を持てる教育や研修が行われていたら、まずあり得ない事です。実際はそんな教育なぞ行われていなかった、只の「シゴキ、イジメ」でしかなかったからこそ、ホストと馴れ合いユニフォームをオモチャにするようなアホ店員ばかりとなり、本社も今までそれを見て見ぬふりをしてきて、問題が表面化した今も閉店や在庫廃棄で幕引きを図ろうとしているのでしょう。
 幾らこんなパフォーマンスで誤魔化そうとしても無駄。もう「臭い物に蓋」で逃げ切ろうとしているのがミエミエなのに。
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