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アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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ヘイト本「サヨク汚染ランキング」の発行に抗議する‏

2014年10月08日 22時06分41秒 | ヘイトもパワハラもない世の中を
この県がすごい! 47都道府県サヨク汚染ランキング (晋遊舎ムック)
クリエーター情報なし
晋遊舎


ヘイト本「サヨク汚染ランキング」の発行に抗議する‏

株式会社 晋遊舎(しんゆうしゃ) 御中

 初めまして。大阪の××××(注:私の本名)と申します。
 早速ですが、貴社から今年8月22日に発売されたムック本「この県がすごい!47都道府県サヨク汚染ランキング」の発行について抗議します。
 これは「どの記事のどの箇所が気に入らない」という事ではなく、当該雑誌の内容について全て、もっと言えば「当該雑誌の発行そのものが気に入らない」という事です。
 何故なら、このムック本のコンセプト自体が、「サヨク」の定義・範囲やその妥当性も明示しないまま、民主党も解放同盟も共産党も中核派も、およそ「ウヨク」的でない全ての団体・勢力・個人を全て十把(じゅっぱ)一絡(から)げに「サヨク」とレッテル張りし、「反日」「中国・韓国の手先」と攻撃するものだからです。
 この様なレッテル張りが何をもたらしたか。いみじくも言論・出版業界関係者なら、知らない筈はないでしょう。
 ナチスドイツのユダヤ人虐殺しかり。戦前日本の治安維持法による言論弾圧しかり。
 関東大震災の後に流された流言飛語によって、多くの朝鮮人や社会主義者が、「井戸に毒を投げ入れた外国のスパイ」との汚名を着せられ、暴徒になぶり殺されました。また、小林多喜二などの作家が、戦争反対や民主主義と言った、今では当たり前の言説を唱えただけで、「アカ」呼ばわりされ、特高警察の拷問で殺されました。今でも、元朝日新聞の記者と言うだけで、いくつかの大学関係者が職を追われようとしています。(注1)
 この様な「弾圧のお先棒」を担ぐような事が、どれだけ「言論の自由」を掘り崩し、最終的には貴社の活動基盤すら危うくする行為であるか。貴社も言論・出版業界の一員なら、今更説明するまでもないでしょう。
 相手を「サヨク」と十把一絡げにレッテル張りして「ゴミ」呼ばわりする以上は、貴社自身も、自民党や「在特会」等と十把一絡げに「ネトウヨ」「権力の犬」「御用メディア」とレッテル張りされ、相手から「ゴミ」呼ばわりされ暴力で言論を抑えつけられても、一切文句が言えなくなる訳ですから。
 貴社は出版物の中で中国も批判していますが、その中国政府による天安門事件や香港市民に対する弾圧と同じ様な事を、貴社自身も、この日本国内においてやっているではありませんか。
 こういう本ばかり出していると、最後には貴社自身にも、その結果がブーメランのように跳ね返って来ます。
 それでも、「たとえヘイトスピーチ(注2)でも差別扇動でも、自分たちの金儲けにさえなるなら、それで好し」と言うのであれば、それではもはや、公害垂れ流しの悪徳企業や、労働者を使い捨てするブラック企業とも何ら変わりません。もはや「守銭奴の所業」という他ないでしょう。
 当該ムック本が、必ずしもレッテル張りを意図したものではなく、個別の団体・個人による利権漁りや脱法行為を告発するつもりであった、と言うのであれば、こんな「サヨク」等と言う安易なレッテル張りで誤魔化すのではなく、個別の事案について、堂々と事実に基づいて告発すれば良いだけの話です。
 この様なヘイト本の発行には断固抗議します。
 以上、当該ムック本の管轄部署が分からなかったので、とりあえず貴社のホームページに記載された部門別メールアドレスのトップに表示されていたアドレスに本メールを送らせて貰いました。後は貴社の方で、該当する担当者・担当部局に転送していただければと思います。

(転載終了)

(注1)参考記事:
「言論テロ」に屈するな 北星学園大脅迫、山口教授らが市民団体(10/7日付 北海道新聞)
 札幌市厚別区の北星学園大に、元朝日新聞記者の非常勤講師を辞めさせなければ「爆弾を仕掛ける」などと脅迫する手紙が届いた問題で、6日、全国の著名人43人が呼び掛け人になり「負けるな北星!の会」が発足した。東京と札幌で開いた記者会見で「今起きている暴力に目をつぶることは、明日の暴力を認めることだ」とのアピールを発表し、大学への支援を求めた。
 東京・永田町の衆院第1議員会館で行った会見には、呼び掛け人7人が出席。小森陽一東大大学院教授は「今回の脅迫は明らかな人権侵害であり、言論テロだ。『赤狩り』が学問の場で行われてはいけない」と強調。山口二郎法政大教授は「学問、言論の自由を守るために、北星学園大を支援していく」と話した。
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/567166.html

(注2)ヘイトスピーチ:「憎悪表現」「差別扇動」と訳される。人種・民族差別や障害者・同性愛者・ホームレスなど社会的弱者や少数者に対する差別・偏見を煽る言動を指す。

 先程、上記のメールを株式会社 晋遊舎に送りました。
 本来、「サヨク」であろうと「ウヨク」であろうと、個人の思想は自由であり、それを表明する「言論の自由」も誰にでも平等にあります。それを「汚染」という言葉で「ゴミ」扱いし、「サヨクなら弾圧されて当然」とする様な「他人の自由を踏みにじる『自由』」なぞ、一切認められない。こんな事、今更言うまでもない事ですが。
 この「晋遊舎」という出版社ですが、この「サヨク汚染ランキング」や「嫌韓流」漫画の様なヘイト本(ヘイトスピーチを煽る書物)を数多く出す一方で、韓国や台湾のアニメ・ゲーム本も平気で取り扱う様な、節操のない会社らしいです。
 そういう意味では、昔からの根っからの右翼系出版社とは違い、俗受けのする物はとりあえず何でも取り扱う、その中で今は安倍政権誕生などで復古的な世論が強まっているので、ネトウヨ(ネット右翼)に受ける様な物を多く出す事で金儲けしよう、というのが、この会社の経営方針でしょう。
 そんな会社相手に、マジで怒るのもどうかと思いましたが、でも、こんなトンデモ本でも放っておくと、それをマジで受け取る輩がどんどん増えて来て、やがて前述の新聞記事で取り上げられた「言論テロ」によって、「言論の自由」そのものが失われてしまいます。
 むしろ、こんなトンデモ本であるからこそ、根っ子のうちに摘み取っておかなくてはならないと思い直して、先方に抗議メールを先程送らせてもらいました。

 以下、抗議先の晋遊舎に関する情報を、当該企業のホームページから抜粋しておきます。

●法人名:株式会社晋遊舎
●住所:東京都千代田区神田神保町1-12
●創業:平成7年9月28日
●資本金:1,000万円
●会社役員:代表取締役会長 武田 義輝、代表取締役社長 西尾 崇彦 (以下略)
●事業内容: 
 雑誌、書籍、パソコンソフトの企画、開発、制作、出版、販売および著作権、商標権、意匠権の管理業務、広告代理業務、コンピュータを使用した情報提供サービス業務
●主要月刊誌:Windows100%、iP!、Mr.PC、MONOQLO、家電批評、LDK、黄金のGT、クロスワード フレンズ
●社員数:65名
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8 コメント

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関心を持って頂きありがとうございます (三品純)
2014-10-19 22:48:54
はじめまして。書いた本人でございます。
このたびはご一読頂きまして誠にありがとうございました。
いろいろなご意見はあると思います。
しかし今回の内容につきましてはいわゆる保守層が抱える問題点にも批判を加えております。私自身も左への問題意識はあるものの、では右がまともかと言えばそうでもない。非常に複雑な思いがございます。
つきましては一度、ぜひお会いさせて頂きぜひ勉強させて頂きたいのですがいかがでしょうか。とりあえずjunmishina@gmail.comにご連絡頂ければ幸いに存じます。あるいは電話番号はURLのところにございますからこちらにご連絡を頂いても結構です。どうかよろしくお願い致します。
返信する
三品純さんへ (プレカリアート)
2014-10-21 18:56:10
 お返事が遅くなって申し訳ございません。
 「ぜひお会いさせて頂きぜひ勉強させて頂きたい」とのお申し出ですが、滅相もございません。私はただのしがない非正規労働者、ジャーナリストの貴方様にとって勉強になるような知識なぞ何も持ち合わせておりません。
 それに、私としては、「サヨク」と十把一絡げにレッテル張りして「ゴミ」呼ばわりするのだけ止めて貰えばそれで良いのであって、それ以上に、貴方様のお書きになったものに対して、あれこれと注文つける気はございませんし、その能力もありません。
 そんな状態の中で、わざわざお時間を取っていただいても、私が恥を晒すだけ、貴方様を失望させる結果に終わるだけだと思いますので、ここは折角ですが、お気持ちだけ有難く頂戴しておきます。
返信する
Unknown (三品純)
2014-10-23 16:35:39
そうですか。もしよろしければ同ムックの巻末にあります元文科省官僚の寺脇研さんのインタビュー(対談)や山口県の項目も御一読ください。現状の保守・右翼がいかに愚かであるのか、いかに欺瞞に満ちているのかについて指摘しています。サヨクをゴミ扱いしたもの、もとをただせばもっと国内のリベラル勢力がしっかりしてくれたら「ネトウヨ」だとか「便乗保守」、「保守商売」といった存在は出てこなかったと思うのですよ。そういう意味で、叱咤激励というかエールというかそういう意味でもとらえて頂ければ幸いです。
返信する
右傾化原因の一端 (バッジ@激怒モード)
2014-11-02 08:09:47
村野瀬ブログでおかしなな中傷・レッテル貼りをされたことに端を発して、kuronekoさんのブログでオレ流の「問題の解明」のための大演説・長広舌をしてしまいましたが、日本社会では右翼たちだけでなく、左派リベラル層の中にも無知や思考停止、その原因となる社会的経験の未熟が深く広範に存在するようですね。

プレさんのような「代々木あがり」は、文化大革命や同和問題なども知っているから、おかしな贖罪意識や「社会主義」幻想のもたらす害悪を熟知しているでしょうが、多くの一般ピープルって、「左」っぽい連中も含めて拉致問題や「領土問題」などでの他国への贖罪主義や事大主義、「社会主義」幻想的な思考態度を清算出来ていないんですね。
おまけに、日本語の「贖罪」と「自虐」の意味の違いや、「慰安婦問題」が専ら日本側の責任に属する過去の悪行の未清算だということも明確に理解していないエセ・リベが多いから、中韓へのまともな批判をヘイト犯罪と同列視したりする。慰安婦問題未決着の責任が韓国軍事独裁にもあったというような、意味不明の謬論・珍説(日本側責任の相対化)さえ生まれてきます。
マルクス理論やプロレタリア的な国際主義を知らないだけでなく、日本語における「贖罪」と「自虐」の意味の違いや、近現代韓国史と軍事独裁政権についてのイロハさえ知らない連中が「進歩派」を僭称して大手を振って闊歩することになる。善意の虚言を撒き散らし得意顔になっているw
日本のメディアやインテリ層がかつて文革や同和問題で犯した誤りのような事態が、残念ながらまたまた、相変わらず再演され続けているのが日本の21世紀社会なのですね。
拉致問題での左派・リベラル陣営の失敗も教訓としない、こういう誤った認識態度こそが、右翼による左派攻撃に最大限利用されてしまうということに、全く気がつかない呑気な連中が多いんです。攻撃のタネを自らが撒いていることの無自覚が広く存在している。
「リベラル21」ブログなど左派系サイトへの投稿者も同様ですが、日本のリベラル層の認識水準の低さには本当にがっかりする今日この頃です。
このサイトでやってきた事は、いったい何だったのか?と。
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「確信」や「展望」の唯物論的根拠 (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2014-11-03 11:23:28
上記書き込みの続きですが、「地獄への道は善意で敷き詰められている」とか、「愚かな味方は最大の敵」とかいった箴言って、実に肝に瞑すべきものなんですね。

「人権=天賦」説のような善意の観念論が復古主義右翼の反動的策謀に敗れることなどもそのかっこうの見本例ですが、やはり、正しい認識(この場合は正しい事実認識)は何よりも重要でしょう。そういう認識を保障する認識論をもてないと、結局は謬論や曲説に屈服することになってしまう。善意の観念論では、悪しき物神崇拝意識(=タダ物論)に対抗出来ない、ということです。

左派リベラルの間でペシミズムが蔓延している昨今の日本社会では、一度、有井行夫氏たちが再確認・明確化したマルクスの変革主体形成論を詳しく展開する必要がどうしてもあるようです。将来展望を確信にまで高めるためには、やはり徹底した唯物論的社会把握が不可欠なのでしょう。
ノーベル平和賞を受賞した17歳のマララでさえ自らの世界観的確信の核心としている保持している論点です(外国人の知人から、最近そのことに関する興味深い事実を教えてもらいました)。
観念論的な「外部注入」説に固執するしかなかった後進国左翼のレーニンや20世紀型マルクス主義がついに理解できなかったマルクスの変革主体形成論をマララの思想形成過程も紹介・関説しつつここに近々書き込もうと思います。

自由や民主主義、人権などの近現代社会の規範性(=価値認識)は、資本主義によってもたらされ、かつ資本主義によって否定・空洞化もされ、だからこそ近現代社会の「建前」と「実態」の間の矛盾が人々をして、そういう諸規範性の徹底的な実現(=矛盾の解消・撤廃)を希求させ、その希求が人類社会発展の原動力になることはあらためて鮮明化されなければなりません。

近々書き込みます。
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安倍晋三のパチンコ御殿 (プレカリアート)
2014-11-04 07:03:04
期せずして私もバッジさんと同じ様な事を考え始めています。次のエントリーで記事にしようと思っています。
きっかけは今週の「しんぶん赤旗日曜版」に掲載の共産党・志位委員長の訪韓記事です。志位さんが高麗大学で行った講演や、日韓議連として先方の韓日議連と共同で出した歴史修正主義批判声明について載っています。「日韓議連なんて昔は勝共連合・統一協会系の右翼議員の集まりだったのに。時代も変わった物だ。」「しかも日韓議連には野党だけでなく自民党の河村建夫や額賀福志郎、安倍晋三まで参加しているのに。こいつら日本国内では散々、歴史修正主義を振り撒いていながら、外国では黙りかよw。所詮は井の中の蛙。歴史修正主義も日本でしか通用しない議論か」と思っていたら。それどころか、安倍晋三自体が在日と深い仲で、山口県下関の自宅も在日の支援者から安価で手に入れた「パチンコ御殿」だったと言うではないですか。
こういう話は別に珍しくも何ともない。でも解放同盟から社会党で当選した谷畑孝が今や自民党の参院議員に収まっている。在日でも呉善花の様に右翼・産経の提灯持ちに成り下がる輩もいる。この手の、差別される側が差別から逃れる為に敢えて権力にすり寄る現象を俗にアンクルトムと言う。それは差別される側の弱さでもあるが、真に糾弾されるべきは寧ろそれを温存・逆利用してきた権力側ではないか。そういう感じで次回のエントリーをまとめようと思います。
返信する
自由、民主主義、人権と変革意識の形成(概論) (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2014-11-04 12:02:35
将来社会を徹底した「民主制」の実現として展望したマルクスの数々の論述断片が存在しているにも関わらず、レーニン以来の20世紀左翼はこの点でも非常に曖昧でした。
つまり、民主主義(や自由、人権)などの人類的規範意識が、社会の変革・発展にとって不可欠であることを過小評価してきたのも20世紀「マルクス主義」だったということです。

自由や民主主義(民主制)についての深い検討を行うこともなく、「ブルジョア民主主義」のような侮蔑的な言葉や「民主主義の死滅」説をもてあそんできたレーニン以来の20世紀左翼は、「自由と民主主義の宣言」でその対極に振れた日本の共産党を含めて、自由や民主主義、人権などという近代社会(=資本主義社会)が産み出した人類的規範(=価値認識)の唯物論的根拠や、それらが発展することの法則性、必然性を明確に理解・定式化してこなかったといえるでしょうういう。日本共産党の件の「宣言」も、主権者に対する左翼政党としての「約束」に終わっており、その「約束」の根拠は説明されていませんでした。つまり、左翼政党が「約束」せざるを得ない、自由や民主主義の不可欠性や発展性の法則性、不可欠性が説明されなかった。

だからこそ20世紀左翼は、変革主体(意識)を形成するためには、インテリ知識人集団(=革命党)による「外部(からの)注入」が必要だというような、主意主義的な階級闘争論を強調し、墨守、至上命題化することにもなったのでしょう。即自的な労働者は自然発生的意識しかもてないから、目的意識性は「外部(から)注入」するしかない、というような、後進資本主義国ロシアの遅れた意識水準を貧しく反映した理論が生まれることになった。マルクスやインテリ知識人たちによって獲得された意識や理論が、事実上「神の最初の一撃」に取って代っただけにすぎない、観念論的な変革主体形成論に堕落、固執することにもなったのが20世紀的「前衛」の実態です。そして、それが上手く行かないと、教条を妄信し続け楽天主義に閉じこもるか、さもなければ対極的なペシミスティックな情勢観、世界観に簡単に逆ユレしてしまうような事態に陥ってしまう。

また、こういう観念論は、現憲法の9条や25条などの重要性は強調しても、同じく現日本国憲法が保障している職業選択の自由や住居地選択の自由、結婚の自由などの諸権利(=基礎的人権)、民主主義的諸原則が、封建性を克服した近代市民社会の不文律にさえなっていることの唯物論的基礎を等閑視するような態度を社会の中に広く残存させてしまうことにもなった。9条や25条や20条、21条、25条などについては能弁であっても、封建遺制の克服を保障した22条や24条などで規定された自由や権利を自明の「天賦」であるがごとく等閑視するだけで、その今日的発展・充実方向などについては考え及ばないような作風を左翼陣営や進歩派・良心派の中に定着・蔓延させることになってしまった。「法律学の幻想」的な態度です。

しかし、マルクスこそが、こういう人類的規範性の唯物論的根拠を鋭く抉り出し、資本主義社会における人類の変革意識の必然的発生、発展を『資本論』の中においても明確に定式化していたのです(不完全ではあってもこの点を日本で初めて指摘し展開したのが、非共産党員マルクス経済学者の平田清明氏だったとのことですから<有井行夫氏の著書中での紹介>、この「事実」もまた、驚くべきことでしょう。「20世紀マルクス主義は、それまでいったい何をやっていたんだ!?」と)。

変革主体形成論や変革意識論は、たしかにそれ以前にも、芝田進午氏や山口正之氏などによる「生産の社会化」論、「労働の社会化」論などの中で、社会の客観的・物質的前提諸条件の生成に伴う存在形成論、意識形成論として(「人格論」として)展開されてはきました。
しかしそれらは、事実認識のための材料提供ではあっても、変革主体意識の形成論=価値認識の形成論にまでは届いていなかったと思います。それらは、「生産と消費との矛盾が恐慌を産み出す」というような、事実に関する認識や科学的・理論的な意識の発生を説明するものではあっても、民主主義を良しと考えるような価値認識の形成とそれを動機とした社会変革運動への参加を説明・確信させるものにまでは至っていなかったと言えましょう。それらは、人々がマルクス的な剰余価値理論を理解・習得したとしても、それで即、直ちに、社会変革の運動に立ち上がるまでにはならない、という日常的事実を悟らない理論でしかなかった、ともいえましょう。
そう、芝田や山口たちによる事実の指摘、理論化は、人々の価値意識に変化を産み出す地平にまでは理論的な光が届いていなかった、ということです。人々が、ナゼ、社会の変革のために立ち上がるのかを、必要条件(=事実認識)と共に、その十分条件(=価値認識)にまで深くメスを入れて展開出来なかった、とも言い換えられましょう。それでは、しょせんはレーニン的な革命理論の「外部(からの)注入」説と同一の地平の上を徘徊するだけのことでしかないと思います。

真の理論的課題は、人々による社会変革のための事実認識的な材料を説明、習得することではなく、人々の社会変革の意欲の発生や成長の原因・契機を喝破し、社会変革派にそこの確信を与えることなのです。求められていたのは、人々の科学知識水準の向上原因の説明だけではなく、人々に変革意欲が発生・発展することについての喝破とその確信でしょう。そしてそういう「喝破」とは、実は、マルクスによって100年以上も前に既に行われていたことをも再確認することでもありました。

人類が社会の進歩・発展に向けて立ち上がる、立ち上がらざるを得ない、その理由、根源的原因は、マルクスの「領有法則の転回」論(新日本出版版の『資本論』では「取得法則の転換」論と訳出されている)にこそ明示されています。そう、『資本論』第22章第1節の「商品生産の所有法則の資本主義的取得法則への転換」論においてです。
『資本論』の「第2章 交換過程論」を前提にしたここの論及部分では、賃労働制度の下で領有法則(=取得法則)が転回してしまうことに伴い、商品交換関係が不可欠な前提として措定(=肯定)した自由で対等・平等な民主主義的な人格関係(=年貢の収奪・被収奪のような人間関係が当然視された身分制の封建制社会の下では「建前」にすらならなかった市場経済社会の原則、法則)が、単なる「外観」や「形式」に空洞化・抽象化されてしまうことが暴かれています。商品交換の場面で原則化する自由で対等・平等な民主主義的な人格関係も、領有法則が転回することに伴い、実態的には否定されてしまうということの指摘です。
しかし、それだけではありません。
人々の社会「矛盾」の意識・認知、社会制度の二枚舌の認識、そういう二枚舌的な矛盾の撤廃要求が現れ出る。矛盾の撤廃により、単なる「建前」と化し空洞化してしまっている原則の完全な実施・具体化を是とする意識・欲求が生まれてくるのです。「民主主義のブルジョア社会的な歪曲や制約状況を糺せ!」と。「内実のある本物の民主主義、単なる法的・空疎な『建前』ではない、本物の自由や人権、民主主義を具体的に確立、完全実施せよ!」と。そう、矛盾が存在することの認知・自覚と、そういう矛盾の撤廃要求という意識の発生です。

資本主義が自らの「墓掘り人夫」を産み出し創り出すということが、人々の自由や人権、民主主義の希求という意識=価値認識の形成場面においても証明されるということです。
資本主義は、人々に自由や民主主義、人権などの意識・常識を創り出しただけでなく、自らがその敵対物に転化することによって、人類の規範意識の共有・定着が進むことにより、結局は墓を掘られざるを得ない、ということです。

ただし、日本社会のように、商品交換関係の下で全面化する人格的関係意識が、まだ戦後の2,3世代にしか血肉化・常識化されていない後進的な市民社会では、革命前のロシアや中国の社会と同じように、自由も民主主義も人権も、領有法則の転回運動にそくして人々に意識化されていない点だけはしっかりと留意する必要があります。
日本社会では、職業選択の自由や居住地選択の自由、結婚の自由すら江戸時代のように保障されていない前近代の社会が、つい60年ほど前まで続いていたことを過小評価してはいけない、ということでしょう。
マルクスが揶揄、警告したように、「死者が生者をとらえる!」という事態は、いつでもどこの国でもあることなのであり、「資本による文明化作用」もまた、時間がかかるものなのです。
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ユレる日本左翼w (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2014-11-04 14:54:02
>きっかけは今週の「しんぶん赤旗日曜版」に掲載の共産党・志位委員長の訪韓記事です。志位さんが高麗大学で行った講演や、日韓議連として先方の韓日議連と共同で出した歴史修正主義批判声明について載っています。「日韓議連なんて昔は勝共連合・統一協会系の右翼議員の集まりだったのに。時代も変わった物だ。」「しかも日韓議連には野党だけでなく自民党の河村建夫や額賀福志郎、安倍晋三まで参加しているのに。こいつら日本国内では散々、歴史修正主義を振り撒いていながら、外国では黙りかよw。所詮は井の中の蛙。歴史修正主義も日本でしか通用しない議論か」と思っていたら・・・

たしかに、「しんぶん赤旗」一面上部から「万国の労働者、団結せよ!」スローガンまで消してしまって「国民こそ主人公」路線を一路まい進している20世紀後半以降の日本共産党の対中、対韓姿勢は、一般国民からもたまに疑問を寄せられるんですね。
(疎外された)生産力発展を至上目的化しながら貧富格差の激化を等閑視している中国の「社会主義市場経済」を不破がさかんに美化したり、金融バブルの促進にしかならない日韓投資協定を韓国体制側に迎合して国会で賛成したりもしていますから。
ここには、過去の経験も忘れ去った事大主義的贖罪意識や、旧ソ連の崩壊で完全に清算されたハズの「社会主義」幻想がまたぞろ顔をのぞかせているように感じられます。

今回の日韓議連での志位訪韓にしても、日韓議連の問題性については「赤旗」もダンマリを決め込むだけで志位のお手柄報道一色なのは疑問です。あれで本当に「河野談話」の路線がまじめに「実行」されるのかよ?と。

それから、パチンコ問題についてはkuronekoブログの「中韓へのまともな批判」エントリや「kojitakenの日記」ブログのコメ欄でも在日の批判(民族的自己批判)や問題意識を紹介しておきましたから、ご参考に。
もっとも、この問題では共産党はとっくに「手を切って」いますけどね。パチンコ屋の在日に「赤旗」を大量部数購読してもらうような同志的関係はすでに40年以上も前に終わっていることを当方も確認しております。
カジノ導入策動への批判を始めた近年では、共産党はむしろパチンコ業界とサラ金業界のコラボのようなものを糾弾する先頭に立っていましたから、まあ一安心ですwww
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