アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

「茶色の国」を髣髴とさせる状況だが、それでも未だチャンスはある

2006年11月16日 23時43分55秒 | 教育基本法やらせ改悪
 昨日11月15日に衆院特別委員会で、とうとう教育基本法改悪法案が強行採決されました。当日の夜はいてもたっても居られなくなり、私も兵庫県高教組のサイトから抗議メールを各関係先に同報メールで送りつけましたが、強行採決を止める事は出来ませんでした・・・。

 この改悪法案は、審議すればするほどボロが出てきます。曰く、

(1) 改悪法案自体のトンデモ内容。人格の完成をめざし子供・国民が主人公の民主教育から、兵士や企業戦士の育成をめざし国が国民に滅私奉公を強要する調教教育へ。権力の介入を戒め国民全体に直接責任を負う崇高性をかなぐり捨て、政府の好き勝手を法律の名で隠蔽する反教育的悪法に。この様な『教育偽装』を、長い間人の目を避け密室論議を続けた挙句に、何でもかんでも教育基本法に責任転嫁する形でいきなり出してきた。
 http://www.kyokiren.net/_recture/

(2) 虐め自殺問題で、教育委員会が虐めの事実をもみ消していた。そもそも虐め問題は、教育基本法の理念とは正反対の往年の「勝ち組・負け組」教育の中で、学校が生存競争の場になってしまっていたからこそ起こっている問題である。そして、その根本問題には何ら手をつけず、虐めの個別事例に即してその背景を調べて被害者も加害者の子供も立ち直る様な手立てを講ずる事もなく、徒に虐め件数だけを減らそうと教育委員会や学校に発破をかけてきた、国の上辺だけの虐め対策が、こういう『件数偽装』を引き起こしたのである。そうであるにも拘らず、国はあろうことか、自らの姿勢については完全に頬かむりしたまま、現場にその責任を擦り付ける事にのみ終始している。

(3) 必修科目の未履修・架空履修問題も、前述の虐め問題と同じ構図の中で起こった問題である。受験偏重・学歴偏重・学力格差放置という根本問題には何ら手をつけずに、徒に授業時数やカリキュラムの手直しでお茶を濁そうとしてきた事で、現場の実態との間で乖離が生まれ、矛盾をしわ寄せされた現場が『履修偽装』で切り抜けるしか仕方の無い所まで追い詰められていたのだ。そして当の国・文部科学省も、教育委員会への出向・天下りなどの人事交流を通して、こういう事実はとうに知っていたのだ。国は自らの姿勢については完全に頬かむりしたまま、この事件を逆にリークする事で、教育への国家介入を正当化する理由付けに使おうとすらした。しかし実際には薮蛇で逆に国の不手際を際立たせる事になってしまったが、国は依然としてその邪な思惑を変えようとはしていない。

(4) 教育問題のタウンミーティングで、数々の"やらせ"質問の事実が発覚している。政府寄りの質問(教育基本法改悪正当化答弁を引き出す為の誘導尋問)をする質問者を募り、謝礼まで渡していたという。これは正に『世論偽装』とも言うべき工作であり、民主主義の根幹に関わる問題である。そもそも、教育基本法を「改正」しなければならない理由などは何も無い。それを無理にこじつけて「改正」しようとするから、こういう裏工作に走らなければならなくなるのだ。そうであるにも拘らず、国は「"やらせ"の事実と法案の正否は別問題」と詭弁を弄して、逃げ切りを図ろうとしている。

(5) そして今回の強行採決に際しても、自民党が国民新党の議員に、採決に協力すれば自民党への復党の便宜を図ってやると、利権取引まで持ちかけていた事が明るみに出た。正に、『良心偽装』とも言うべき政界の権謀術数、汚い裏取引で法案を成立させようとしている。今回の改悪法案は、教育関連法案を名乗る資格すら疑われる、稀に見る悪法である。

 「こんなデタラメ法案に、消極的支持まで集めたら66%もの割合で、何で支持が集まるの?」(先の読売新聞世論調査)というのが、今の一番正直な気持ちです。

 勿論、その世論調査自体がかなり恣意的なものである事は、既に述べました。また、ついこの間の教育基本法改悪反対緊急集会に8千名もの人々が集まった事や、現役校長の66%が教育基本法改悪に反対している事、保守系の人も含め、多くの自治体首長や学識経験者が声をあげている事は知っています。それでも、この改悪法案のトンデモ内容からすると、まだまだ反対の声が小さすぎるような気がしてなりません。かつての売上税・消費税反対闘争の時は、津々浦々で反対の声が湧き起こり、当時の中曽根・竹下内閣は極限まで追い詰められましたが、今回の教育改悪も、売上税・消費税導入に勝るとも劣らない重大な内容を孕んでいるというのにも関わらず。

 一つには、「これはあくまで子供の教育問題に限ったことだ」という誤解があるのかも知れません。また、今まで余りにも日本国憲法や教育基本法が定着してきた事に安心しきって、まるで空気みたいな感覚で、絶対に不可欠な存在であるにも関わらずその有難さを痛感しないまま、「改悪するぞ改悪するぞ」と言われても「まさか本当に改悪する事など出来やしない」という油断がどこかにあったのでは―という気もします。

 しかし、実際にはこの教育基本法は、「教育・子供の世界」に限定の事項でもなければ「空気の様な存在」でも無かったのです。

・戸田市教育長が発言撤回~ブログでも反響~(とだ9条の会ブログ)
 http://toda9jo.no-blog.jp/network/2006/06/post_9ad1.html
・<埼玉県戸田市教育長「はらわたが煮えくりかえる」と発言>起立せぬ親と来賓調査 君が代/式典で徹底図る(東京新聞)
 http://www.asyura2.com/0601/senkyo23/msg/345.html

 埼玉県戸田市の教育長が、学校卒業式で日の丸・君が代に起立・斉唱しなかった来賓に対する思想調査まで呼号した挙句に、各界の反撃にあって発言撤回に追い込まれた―との事です。これは未だ今だから発言撤回に追い込めたのであって、若しこれが教育基本法や憲法が完全改悪された後なら、沈黙を強いられるのが我々の方であるのは明白です。あの有名なマルチン・ニーメラーの詩を今の状況に即して下記の様に敷衍してみましたが、こういうブラックユーモアみたいな状況が、すぐ近くまで来ています。

『国旗国歌法が制定された時、私は不安に駆られたが、内心の自由は侵さないという事だったので、何の行動も起こさなかった。後日、卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱が義務付けられた。私はさらに不安を感じたが、自分は、国旗掲揚・国歌斉唱は単なる社会慣例だと思ったので、何の抗議もしなかった。それから教育基本法改悪法・共謀罪法・防衛省法・改悪憲法が次々に成立し、その度に私の不安は増したが それでも私は行動しなかった。ある日、ついに政府はホワイトカラー・エグゼンプション反対運動すら「非国民の運動だ」として弾圧してきた。私はホワイトカラー・ホワイトカラー・エグゼンプションには反対だった。だから行動に立ち上がったが、その時は既に目配せすら出来なかった。』

 しかし、諦めるわけにはいきません。こんな、フィリピンのマルコス政権末期も斯くやと言わんばかりの、「勝つためには何でも在り」のやり方の与党を、これ以上のさばらす訳にはいきません。「これだけバカにされても尚且つ何も出来ない」というのでは、余りにも理不尽です。次は衆院本会議、その次には参院に、攻防の舞台が移ります。また、沖縄県知事選挙や和歌山県知事選挙もあります。既に福島県知事選では自公連立与党が一敗地にまみれました。こんな法案、絶対に葬ってやる!

※表題の「茶色の国」とは、ファシズム体制下の世界を揶揄した表現。原典はフランスの寓話「茶色の朝」より。
 http://www.fiberbit.net/user/notzu130/zuisou/zuiso8-19.html


(参考情報)

●【緊急】与党が特別委員会で強行採決!明日も緊急行動をやります!(あんころブログ)

 与党は、野党が審議拒否する中、単独で賛成討論のみを行って、15日17時過ぎに教育基本法改悪法案を強行採決しました!
 15日の午前中の中央公聴会では、参考人5名中3名が与党案反対の意見を明確に述べていたにもかかわらずです。
 また、与党は、野党の国民新党の糸川委員に対して、「この法案に賛成したら、自民党に復党させ、議席も保証する」との買収工作を行ったことがわかっています。
 野党は、これに抗議し、結束して審議拒否しましたが、それでも与党は無理やり採決を行いました!許せません!
与党は、明日13時ごろに野党不在のまま衆議院本会議での採決を強行しようとしています。
 全国連絡会では、明日も朝9時から国会前での座り込みを行い、18時から緊急国会前集会を行います。お昼頃がヤマになるので、昼休みの5分だけでも、国会前に来てください!
 特別委員会では強行採決されてしまいました。しかし、「やらせ」や野党委員の買収をしても、強行採決せざるを得なかったのは、わたしたちの行動が政府与党の不正をあきらかにし、一歩一歩確実に相手を追い込んでいることの反映でもあります。展望は十分あります。今国会での成立を絶対にとめましょう!来られる人は、友人を誘って短い時間でも国会前に!!!!
 行動の詳細は、緊急国会前集会案内、座り込み第二弾をご覧下さい。
 http://www.kyokiren.net/

●怒り持て、日本のおかあさんたち!!(お玉おばさんでもわかる政治のお話)

>マスコミがいじめ問題を煽るので、毎日毎日子供が死んでいる。自殺はマスコミが取上げて煽ることで確実に「後追い自殺」がでることをマスコミは経験上知っている、だから全国版でなるべく取上げない姿勢を普段はとっているはずなのに・・なにか、おかしい。今日の強行採決のニュース、松坂の移籍よりもなぜ低い扱いなのだろう。いいえ、トップでなくてもよいからどうして、もっとそのときの模様をきちんと伝えない?<
>でも、戦いはこれからです。こんな事がいつまでも許されるわけがない!!<
 http://otama.livedoor.biz/archives/50642172.html

●[メモ][教基法]教基法特別委員会議事録データベース(もじもじ君の日記。みたいな)

 教育基本法改悪強行採決に至るまでの当日の委員会議事録を論点別に整理。私もざっと見てみましたが、余りのデタラメぶりに今更ながら愛想が尽きました。
 http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20061004/p2

●気味の悪い愛国教育・きのうのクローズアップ現代(あんち・アンチエイジング・メロディ)

 NHK番組「クローズアップ現代」で14日の放送された、改悪教育基本法を先取りしたような現場報告(事前に知っていたら見たのに・・)。「日本は四季があって素晴らしい」という、教師の主観が多分に入った授業を行い、その中で「ハワイには四季はないけれど素晴らしい」といった反応を示した生徒に、「そんな事はないでしょう」と半ば恫喝するかのような教師の対応。
 http://blog.goo.ne.jp/ibis083/e/701a5b2786872b4f76a403d040a9500d
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