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西成の住宅崩落事故に思う

2021年06月26日 13時35分49秒 | 西成南京虫騒動
 
昨日発生した大阪市西成区天下茶屋東の住宅崩落現場へは、私の住むマンションからも徒歩15分ぐらいで行ける事が分かり、早速現場の様子を見て来ました。
 
 この記事の要約:6月25日午前7時過ぎに住民から水漏れの通報あり。その15分後にまず1棟2軒の住宅が崖下に崩落。ここには親子が住んでいたが、家のきしむ音がして2人とも6時半に避難して無事だった。次いで10時半頃、隣の1棟2軒も崩落。こちらは空き家だった。崖下の老人福祉施設建設工事との関連は不明。今も崩落やガス爆発の危険があり、警察が住民に注意を呼びかけている。
 
新世界のジャンジャン横丁から動物園前商店街を南下し、飛田新地を横切り料亭「鯛よし百番」の先で阪神高速のガードを潜り、天下茶屋東の地先に入ると、もうすぐ先に崩落現場がありました。崖沿いを走る道がちょうど西成区と阿倍野区の境界です。その崖沿いの道に面して、4軒ほど民家が立ち並んでいました。崖の急斜面に石垣を築き、その上に家が建てられていました。崖の下にも民家が立ち並んでいました。
 
グーグルマップで確認すると、つい数日前までそこには2棟4軒の住宅が崖上に並んで建っていたはずですが、既に4軒とも跡形もなく崩落していました。残る1軒も土台が流され、いつ崩落してもおかしくないほど危険な状態にありました。
 
 
報道では、崖下で施工中の老人ホーム建設工事による影響が指摘されていますが、私が見た感じでは、それ以前に、もともと急斜面に住宅を造った事自体に無理があるように思います。
 
崩落事故があった崖は上町台地の一部です。事故現場は昔から一部の地質学者の間では湧水が出る場所として知られていました(下記参照)。上町台地には、この他にも「清水谷」や「清水寺」「清水坂」の地名もあります。「清水寺」の境内には「玉出の滝」もあります。滝と言うよりもむしろ掛樋ですが。崖下の湧水地(湧水が出る場所)は、住民に清涼な生活用水を提供する一方で、災害時には鉄砲水や土砂崩れを引き起こす危険が今までもたびたび指摘されて来ました。上町台地自体も、超一級の活断層である上町断層が台地の下を走っており、地震の際には甚大な被害が出る事が予想されます。
 
 この記事からも、崩落事故現場は上町台地の中でも今でも湧水が出る場所として知られていた事が分かります。
 
「清水坂」の道標と「玉出の滝」。
 
もっと言えば、上町台地自体が「格差の象徴」でもありました。台地の北端には大阪城が周囲に睨みを利かし、谷町筋沿いには府庁を中心に官庁街が形成され、大手前・天王寺高校、星光学園、清風高校などの進学校が軒を連ねます。それとは対照的に、崖下の災害常襲地帯には飛田新地やあいりん地区、未解放などの被差別民の生活空間が広がります。あいりん地区から天王寺に向かってあびこ筋の坂を上ると、台地に差し掛かるあたりで風景が一変します。それまでの低層住宅から、いきなり高層住宅に変わります。その先にはあべのハルカスがあります。あべのハルカス最上階のレストランでは一番安いカレーライスでも900円もします。とても我々には手が出ません。
 
あいりん地区から天王寺のあべのハルカスを望む。飛田新地の時計台から崖上の阿倍野再開発地区マンション群を望む。
 
昨日の崖下崩落現場も、崖上の民家の標高こそ台地と同じ高さでしたが、すぐ横には阿倍野斎場の墓地が広がっていました。崖下には一般の住宅や保育所が建っていましたが、中には老朽化して空き家みたいになった家もいくつかありました。
 
奇しくも同じタイミングで、米国フロリダ州マイアミ近郊にある12階建てマンションが崩落する事故がありました。このマンションは1981年に建てられました。私の住むマンションも、1987年(昭和62年)に建てられてから既に30年以上経ちます。廊下には雨漏りする場所もあるので、とても心配です。
 
 この記事の要約:6月24日午前1時半(日本時間同日午後2時半)、米国フロリダ州マイアミ近郊の海沿いにある12階建てマンションの一部が崩落した。少なくとも4人が死亡、11人が負傷、居住者ら159人の安否が不明。マンション136戸のうち55戸が崩落に巻き込まれた。既に30人以上を救助したが、海浜リゾート地に建つマンションで季節滞在者も多い為に、いまだに連絡の取れない住民も少なくない。
 
今、大阪市は「新今宮ワンダーランド」と称して、新世界や西成のあいりん地区を「人情あふれる下町」として宣伝する観光キャンペーンを展開しています。しかし、その裏では、商店街は寂れ、昔からの老舗がどんどん居酒屋に置き換わっています。一歩路地裏に回れば老朽化した民家も目立ち、民泊業者による地上げも本格化しています。大阪市は今回のコロナ禍でも医療崩壊を引き起こし、持続化給付金や休業・時短支援金の支給も遅れに遅れました。観光キャンペーンよりも先にやらなければならない事が、他にいくらでもあるはずです。
 
大阪市に本気で西成を「人情あふれる下町」にする気があるのなら、観光キャンペーンに血道を上げるよりも、実際にそこで暮らす住民の生活環境や住環境の改善を図る方が先決ではないでしょうか?
 
老朽化した崖下の住宅、民泊に衣替えする路地裏の住宅。

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