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冲方丁 オイレン/スプライト・シュピーゲル 第4巻 感想

2008-05-23 02:01:17 | 小説 感想
冲方丁(うぶかたとう)さんのシュピーゲルシリーズも第4巻目、オイレン/スプライト合わせると8巻目、今回も凄い、もうとんでもなく凄かったです。

よく冲方丁さんの本を読むときに陥る現象が、息をするのも忘れて読んでいるか、あまりの感動と共感に涙を溜めて読んでいる、という現象が起きるのですが、今回も、というか、今回更に、もうずーと、息するの忘れるか、涙腺刺激されまくりかのどっちかでした。

ほんとに息を止めて読んでる感覚になりますよ。

そして読了の瞬間。

凄い、としか言い様が無い、それこそヒロインの一人である涼月の口癖のように(感動に浸りながら)「何か世界とか救いてー」と思ってしまうくらいに。

僕は冲方丁さんの大ファンなので、もう客観的に見ること(読むこと)ができなくなってしまっているかもしれないけれど(笑)、このシュピーゲルシリーズについては、凄すぎて、とりわけ、このこの各4巻目については、本当に素晴らしくて、正直、この衝撃&感動を感想として書き表す自信がありません。

ヒロイン3人×2シリーズ(オイレン/スプライト)にそれぞれこの4巻では一人につき3回くらいのクライマックスが訪れる感覚なので、通常の18倍くらいの感動指数(当ブログ比)となっております(なにそれー)。

読んでいるこちらがラストを読み終えて精根尽き果ててしまう状態なんだから、この執筆をされている冲方丁さんの精神状態はいったいどんなことになってしまっているのだろう?と心配してしまうほどです。

できればこのブログを読んで頂いている方には是非読んで欲しいシリーズなのであります。

今まで読み返した数で言えば、奈須きのこさんの『空の境界』か冲方丁さんの『マルドゥック・スクランブル』か、というくらい中毒的に読んでいますが、この『オイレン・シュピーゲル』と『スプライト・シュピーゲル』も、そのリピート数に負けないくらいの再読数になりつつあります。

特に今回。

僕はオイレン・シュピーゲルから読みましたが、その後続けてスプライト・シュピーゲルを読み、そしてまたオイレンに戻るということをやっているので、エンドレスループ状態になっています。

個人的には今回、オイレン→スプライトの順で読むことをお勧めするかな。
#3巻まではどちらから読んでもOKだと思いますが、4巻はこの順が僕はお勧めだな。
#でも初めて読む人は、オイレンを4巻まで読んでスプライトへ、とかじゃなく、必ず交互に読むことをお勧めします。

かなり前置きが長くなりましたが、それだけ読了後に興奮してしまって、頭が纏まらない状態なんです(笑)。

舞台は2016年のヨーロッパ、オーストリアはウィーン改め、ミリオポリス。

今回の事件はこのミリオポリスで開かれる国際戦犯法廷、この開催を阻止しようとする超複雑に絡み合った因果関係。
果たして我らがヒロイン3名×2シリーズは、証人たちを守りきり、この戦犯法廷を守り通すことができるのか!?

ガンダムダブルオーでもこういった紛争に関する視点を描いているけれども、それを遥かに凌駕(当ブログ比18倍(笑))する政治・経済・宗教の複雑な因果関係。
描かれているのはごく近未来(今から10年後くらい)の話だけれども、それゆえに、今の国際経済、国際政治に興味を持つには十分にして重厚、そしてなにより興奮沸騰の感動作です。

■バックグラウンド

今回の2つの物語の核となる背景は、アフリカのスーダンで起きた大量虐殺「エルファシル紛争」を裁くための国際戦犯法廷をオーストリアのミリオポリスで開催する、というものなんだけれども、バックグラウンドとして押さえておくとより理解が深まることがいくつかあります。

丁度、僕がこの小説を読んでいるときだったんだけれども、ニュースでスーダンが隣国のチャドと断交、という記事が流れたんですよね。
これを読んだとき背筋がぞっとしましたね。
あまりのタイムリーさ、というか、冲方丁さんがこの小説を執筆しているときは、まだこのニュースは無いわけなんだけれども、やはり、スーダンの情勢は非常に厳しくて、2003年に起きた「ダルフール紛争」は2008年の今現在も継続中なんですよ。
20万人を虐殺、という近年まれに見る大事件なわけです。
本編では「エルファシル紛争」はこの「ダルフール紛争」の後に続いた歴史的虐殺事件であり、今回はそれを戦犯法廷で裁く、という位置づけになっています。
#ちなみに作中に登場するグループ「ジンジャウィード」は実在するアラブ系のグループです。

で、現在。

何故チャドと断交なのか?
とか、
何故スーダンなのか?
とか

この辺、今ならインターネットですぐに調べられるので、興味がある方は是非。

関係ないようで関係ある話をすると、今年度から日本の商社が一般職の採用を再開するというニュースがありましたが、これは昨年度の日本の商社の売り上げが非常に良かったからなんですが、穀物&原油が安定しない状況で何故売り上げが良かったか?というと、レアメタルの採掘に関する利益が非常に好調だった、というのが大きな理由の一つですよね。

穀物(食料)、原油、レアメタル。

精密機器を作るために欠かせないレアメタル。
産業を興そうとするならばこのレアメタルはレアというだけあって希少価値も高く、必須になってるんですよね。
#携帯電話にも使われてるよ。

四川の大地震、チベット問題などは今後、このレアメタルに関する状況を左右する要因のひとつにもなると思いますよ。たぶん。

作中では中国もスーダンに関係して大きな意味あいをもっていますが、これは実際の現実世界でも関係していて、作中スピルバーグの名前が出て、(ダルフールの話をしつつ)北京オリンピックの演出をやった人だろ的に書かれますが、これは惜しくて、恐らく執筆中はそういう形になっていたんだけれども、2008年の2月だったかな、スーダンへ対する支援のあり方を巡って、中国側とスピルバーグの対立があって、スピルバーグはオリンピックの演出を辞退してるんだよね。

そしてもう一つ。

スプライト・シュピーゲルのほうで、戦犯法廷へ出席する6人の証人たちとヒロインたちが人生ゲームをやるわけですが、その人生ゲームで問題になるのが食糧問題とそれにともなう水の問題。

これも本書が出版されるほんとに寸前に、英エコノミストの4月19日号で「世界の食糧危機」を取り上げているんですよね。
確かタイトルは「サイレント・ツナミ(津波)」という感じで、忍び寄る恐ろしい被害、という意味あいなんだろうね。

人口増加に全く食糧供給が追いついていない、という事実。
先進国ではそれがインフレにつながるけれども、貧困国では餓死につながり、暴動につながるという事実。

サブプライム問題のような金融問題で虐殺は起こらないけれども、食糧問題では虐殺は起こる、それだけ深刻な問題として受け止められている、というのが発表されたんですよね。

近年取り沙汰されているバイオ燃料。

まずはここから話をすると、近年、原油価格の上昇と、もうひとつ問題になっているのが穀物価格の上昇ですね。
これは消費者レベルで非常に重要。

穀物って、人が食べる分だけじゃなく、乳牛のエサだったり、食用の牛、鳥、豚の飼料でもあるんです。
つまり、食糧の価格が原油高騰と相まって一般家庭を直撃します。
これは既に牛乳、バターの値上げとなって現われています。

ちなみに、肉100カロリーを得ようとすると、そのエサとなる飼料として必要な量は700カロリーになると言われています。
つまり、飼料穀物ってめちゃめちゃ重要で、また、そういった肉類を提供する家畜による二酸化炭素は全体の18%を占めるとも言われていて温暖化の原因の一つとも言われています。

つまり物凄い密接に物事が絡み合ってる、ということですね。

あと、見えないところで、これにともなう輸送用の船の確保も大変になってます。
原油高騰の影響で、フレートはますます高騰するし、船の確保も難しいと必然的に値段も上がります。

さて、その穀物が、ですね、原油高騰のあおりを受けて、化石燃料に代替するバイオ燃料として非常に注目されているわけです。

だから大豆・トウモロコシといった飼料穀物の代表格は投機目的も含めて高騰・品薄になる、というわけです。

じゃあ、その飼料穀物を大量に取るために、品種改良がなされるわけですが、今度はその特許が必要となってくる。
正確に言うと、1粒の種をまくために必要な特許使用料。

結果的に穀物が増産されても、高くなっていく。

高くなると買えなくなる。

僕ら日本は完全なる輸入国だから身に染みていると思うけれども、環境に良いと思って開発されるバイオ燃料も良い点悪い点があって、穀物が手に入らなくなる、ということは、死活問題へとつながるわけです。
貧国に位置する国は言わずもがな、です。
食糧を買えなくなるのですから。

前述した肉100カロリーに対して、必要な穀物は700カロリー。

近代化した国家は、それまで主食だった穀物から肉類に主食の軸を移していきます。

肉を食べるということは、単純に穀物を消費するよりも7倍消費する、という形になって、人口増加が著しい今の地球において、人口増加と化石燃料の枯渇、という問題は、食糧問題直撃、という形になるわけです。

僕は丁度お客様が商社さんで、その中でもエネルギー資源と穀物が担当だったこともあって、ここ数年の変化だけでも、超めまぐるしい変化を遂げてきてるんですよね(それを目の当たりにしてきた)。
インド・中国の成長に関して、本当にこれは新しい局面を食糧・エネルギーともに迎えていると言っても過言ではないと思います。

……と、かなーり前置きが長くなってしまいましたが(笑)、こんな感じのことを頭の片隅に置いておいてもらえると、またより一層理解が深まって楽しめるのではないかなーと思います。
#つまり、冲方丁さんはかなりこの辺の事情を気にしながら、真剣に考えながら書いていると思いますよ。

正しい答えもないし、どうすれば良いかも難しいけれども、少しずつでも考える人が増えたなら、ちょっとずつ良くなるかも?しれないですね。
やがて大きなうねりになれば最高、みたいな。


■拳を握れ

ここまで前置きを長くしておいて、本編に関しては極力ネタバレをしたくない(未読の人には是非その興奮を味わって欲しい)ので、できるだけ中身に触れないように書きたいんだけれども、ここに来てどうしても書いておきたいと思ったこと、これだけは書かせてー。

二つの物語(オイレン/スプライト)が完全同時並行で進んでいくこの物語ですが、その完全同時並行を繋ぐのが、ヒロインにして両小隊長である鳳(アゲハ)と涼月が重要な手がかりとして拾う携帯電話。

非常に不確かで、細いこの糸のようなつながりが、互いの反目を超えて、相互作用から徐々に太い絆となって、最後に相乗効果へと移って行く動きは感動もの。

並行していた物語が点として時に交わることがあったけれども、ここで初めて交差して融合する。

この第4巻という位置づけはそういうものなんですよね。

そしてその4巻の中でもことさら、特に共感してしまったのが涼月。

そうだよ、そうなんだよ!と心の中で絶叫・喝采。

彼女が心の虚無を乗り越えていくときに、心の中で握る拳。

握れ、強く!

と繰り返し唱える。

自分を見失わないために。

この言葉、この心意気に大いに共感・共振。

僕の職種はシステムエンジニアでありプロジェクトマネージャ。

プロジェクトマネージャの資質として必要なものはたくさん「ものの本」でも書いてあるけれども、僕は本当に必要だと思うものの一つが「折れない心」だと思っています。

それは単に鈍感だったり、傷がつかない心のことじゃなくて、僕らプロジェクトマネージャって職種は神経と寿命をすり減らしながら、一つの目的へ向って這いずり回る職業だと、思うんです。たぶん。

傷もつくし、折れそうになる。

逃げたいし、びびることもある。

でも、そういうときに、心のいやーな感じのところをぐっと握りしめて、後ろを向いちゃダメだと自分に言い聞かせ、ここで踏ん張らなかったらどこで踏ん張るんだ?と、泣きながら前を向いてるんですよ。

折れそうになるとき、この涼月の「(心の)拳を握れ!」という言葉、これと全く一緒のことを僕らはどこかでやってるんだと思います。

抜くところは抜いても、逃げない。

これがどんな最悪なプロジェクトでも乗り切る、また、自分の心を守ることなのかな、と思いましたよ。


ストレート・フォワード

フライ・ハイ


作中に登場するこのキーワード。

冲方丁さんの物語の中で、その一言を読んだだけで泣ける、というのは本当にたくさんあるのですが、その泣ける中でも、この2つ、この2つは特に、今僕の涙腺を直撃して止まないもののひとつです。
#あと、「オレ・・・・・・ナマクラだ・・・・・・」という乙(つばめ)の言葉とかも泣ける。


冲方丁さんの作品に共通して言えるのは、どんなに凄惨な状況においても、その中で這いずり回って、そしてその中から希望を見つけ、そこに向って一心不乱に飛び立っていく、生きることに真摯に向かい合う姿、なんじゃないかと思います。

それが蒼穹のファフナーでの有名なひとこと「あなたはそこにいますか?」であったり、そのアンサーである「NoWhere(どこにもいない)」から「Now Here(今、ここに居る)!!」なんだと思います。


何度読んでも面白い。

何度読んでも泣ける。

最後に双方から送られたビデオレターが読後感を爽やかにしてくれつつ、このオイレンとスプライトが同時並行で織り成す物語をまた最初から読んでみたいと思います。

オイレンシュピーゲル肆(4) Wag The Dog


スプライトシュピーゲルIV テンペスト


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6 コメント

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スプライト、しびれます。 (nyspa)
2008-05-23 23:33:23
燕。さん、
はじめて投稿します。
(といっても、こちらのサイトは、エウレカの頃から覗かせてもらっていました。いつも、いい記事、ありがとうございます。)

さて、オイレンとスプライト、いやー、第四巻は、いずれも圧巻ですね。私もぐるぐる回り状態。話が見えなくなってくると、第三巻にもさかのぼり・・・、とマルドゥックの時よりもひどい状態になっています(苦笑)。

私は、残念ながら、発売順で、スプライトから入ってしまったんですが、いつも通り、オイレンから入るべきでした。これは、どうやら、この二シリーズの場合、鉄則ですね。

さて、ご指摘の通り、今回の話は、妙に現実世界とのシンクロがあって、驚くこと大なのは、私も同じでした。

特に、スプライトの中盤の例のやりとりは、マルドゥックの例のカジノのやりとりを彷彿とさせるような、畳みかけるような文体で、息をのみました。

私は彼の公式サイトの以下の文がとても気に入っています:

「・・・歴史的事実とその意義は学問の領域だが、それらによって生まれた織り目鮮やかな記号を、さらに他の多くの記号と結びつけ、あるはずのなかった新たな「記号的事実」とその意義を生み出すのは、エンターテイメントの役目だ。」 (冲方丁公式サイトより)

シュピーゲルの舞台である、ウィーン。
中欧の要衝の地にきざみつづけられ記号的要素をふんだんに盛り込みながら、現在進行形のパラレルワールドであるかのごとく、「今」の話題を取り込むストーリーテリングには、とことん、しびれます。

そして、今回についていうと、アメリカの位置づけがすこしばかり変わったことにも、ある種の現実世界の重さが示されたように思います。

つまり、世の中は、そんなに単純に、書き割りのようにシンプルにではできていない、いや、複雑なものはどこまでも複雑だし、その複雑さに呑み込まれることなく抗え、それが「生」だ、・・・と言う感じでしょうか。涼月も凰も(ご指摘の通り)目の前の障害を突破することを続けることで、最後の真実に突き当たる、というか。

あー、また読みたくなってきた。
いずれにしてもシュピーゲルシリーズは、冲方丁の傑作ですね。

追伸:

一つだけ指摘させてください。

> サブプライム問題のような金融問題で虐殺は起こらないけれども、・・・

これは、ちょっと事態を抽象化しすぎかな、と。

(以下は、食糧問題の部分を誠実に書かれているので、そことのバランスを欠いているように見えたことがきっかけです。それ以上の他意はないです)。

日本ではあまり報道されませんが、サブプライム問題でも「虐殺」は起こります。

この冬に一番の問題だったのは、サブプライム問題の当事者として、実際に今住んでいる、自分の家屋を差し押さえられる(foreclosure)人たちをいかにして保護するかでした。アメリカ中西部のミシガンやミネソタの冬は極寒です。冬、家屋から放り出されたら、それだけで凍死です。

(私は以前NYに住んでいたことがあったのですが、そこでも華氏零度を経験しました。その日は外出は20分以内に止めるようにいわれました。20分以上外気に触れると、肺の細胞が破壊されてしまって、呼吸困難で死んでしまう、ということでした。)

けれども、法の執行を厳格に行うと、彼らは退去せざるを得ない(このあたりのシビアさは、シュピーゲルの最貧国のエピソードと同じ構図です)。確か2月、アメリカでは、とりあえず、冬の間だけでも何とか、ということで政府や議会が動きました。

いささか牽強付会かもしれませんが、このアメリカの対処の仕方も、今回のシュピーゲルの中のアメリカ人の動きと呼応しているように思えるのです。

(冲方さんがこのことを参照したかどうかはわかりませんけどね(苦笑)。)

すみません、何か、初投稿でいきなり痛いところを突く奴、みたいですけど、言いたいことは、ある状況を一括りで捉えてしまうのはなかなか難しいことだな、と(あ、うーん、あんまりうまくいえてないかも)。

でも、ここのサイトは、いつも愉しませてもらっているので、これからも寄らせていただきます。よろしくお願いします。

追伸2:
次回以降は、もう少し、緩い感じで投稿しますので。
ご容赦を(っていうのがかえって変でしょうか(苦笑))。
返信する
だって読みたかったんだもん (りょく)
2008-05-27 22:06:37
こんばんわー、お久しぶりです。
忙しそうで大変ですねー。私も大変だー(末期)

シュピーゲルシリーズ読みましたか?
いやー今回も熱かったですよね!凄かったです。
毎回オイレン→スプライトの順で読んでいるんですが、今回は発行の関係でスプライトが先なんですよねー。
オイレン先に読みたかったなぁ…「太公望さん」のネタバレと何となくある涼月と凰の「過去」の記憶差の寂しさを考えると……うーん涼月が切ねぇっ!
何よりも、「ゆりかご」に捕らわれない理由が「愛された記憶を保持していない」ってことが哀しいですね。
「今」が一番幸せだから、「ゆりかご」に捕らわれないとかドンだけ酷いんだよ!と。
吹雪の存在があるとはいえ…。・゜・(ノД`)・゜・。

作中のアフリカに関する色んな描写は、そのあと新聞やニュースで聞くたびにドキドキしながら記事を追っていました。
「中高生向き」という位置づけになるライトノベルで、対象読者にこういうもので世界に感心を持ってもらえたら、それはそれで良いことなのだろうと思います。
つか「水管理法」って「レベル3」の「喉が渇く幻覚」と絶対引っ掛けてありますよね?

あと、2のトラウマのためか、FBIのハロルドとCIAのパトリックがいつ死ぬかとハラハラし通しでしたよw
(この二人、親友同士ですよね?アーカーンソー州のときの友人っていうのは彼らのことですよね?こういう繋がりも大好きですw)

冬真の親父メンデル博士が実は生きていて、プリンチップ社に勤めています。とかいう展開でも私は驚きませんよ!
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大歓迎です (燕。(管理人))
2008-06-03 11:46:38
■nyspaさんへ
初めまして&コメント有難うございます。
#そして初めましてコメントへの返信が遅くなってゴメンなさい。
#エウレカの頃から読んで頂いているなんて、凄く嬉しいです。ありがとうございます。
今回のオイレン/スプライトは本当に凄かったですね。圧巻でした。
こんなストーリーをどうやったら創ることができるんだろう、と本当に感心してしまいました。
しかもそれを2巻同時並行で展開させる、なんて凄すぎますね。
スプライトのゲームの展開は僕もマルドゥックのブラックジャックの展開を彷彿とさせる感じで、これもまたファンとしては非常に痺れるものでしたね。
ああいうのを文章化できる冲方さんを僕は本当に尊敬してますよ。
nyspaさんが引用してくれた「エンターテイメントの役目だ」という一言は、涙が出そうなほどです。
現実世界では4月に発売されたエコノミスト誌の記事からアフリカ会議、サミットへ向けて食糧問題、エネルギー問題、そしてアフリカ問題が連日のように取りざたされています。
フィクションであるのに、僕らの頭の中には薄い壁を隔てた明日の現実として降りかかってくる、そういう感覚に陥ります。
世の中はあまりにも複雑で、それが絡み合って、もはや簡単に紐解ける状態にない。
けれども、そういう中だからこそ、涼月や鳳たちの絶望の中から生まれる希望、希望を目指す心が僕らの胸を打つんでしょうね。
金融問題の件については失礼しました。
この一言はエコノミスト誌の言葉を引用させて貰ったのですが、バランスを欠いてますね。失礼しました。
確かに日本では報道されないことって結構たくさんあって、アンテナをかなり高くしていないと引っかからない、というのは最近良く感じるところです。
最近海外出張が多くて、現地に行って色んな人と話をしますが、日本がどう受け止められているか、またどう報道されているか、日本だけじゃなく、他の国はまた違う国でどう報道されているか、そしてそれを受け止める人もまた人種や信じる宗教によって解釈が異なる、というこを良く感じます。
世界が危ういバランスだから、その中で生きている僕らもバランスが重要、と思う今日この頃です。
僕、個人としてはこういうコメントも大歓迎なのでnyspaさんがもし良かったら、どんどんコメントくださいませ。
もちろん緩いのも大歓迎です(笑)。
返信する
覚悟が必要です (燕。(管理人))
2008-06-03 12:55:15
■りょくさんへ
シュピーゲルシリーズは今回も大満足でした。
満足というか痺れすぎて大変でした。
よくもまあこれだけの密度でストーリーを編めるものだと、感心しきりです。
読後に本当に「何か世界とか救いてー」という気分になりますよ。
涼月たちの戦いは、僕らのすぐ隣にある現実世界の延長上の話の中で、そこだけが現実として描かれる自分との戦いになっているんですが、本当に彼女たちの不屈の精神に感動の嵐です。
僕は個人的に涼月にはもの凄く感情移入してしまって、課題山積みでどこから解決していけばいいのか?本当に解決できるのか?納期に間に合うのか?誰も助けてくれないんじゃないか?という死にそうなプレッシャーの中で仕事している時にシンクロしてしまいます。
そのたびに涼月がやっている拳を握れ、ということと同じことを心の中でやってる、やってるよ、と思いながら読み進めてましたから、もうラストのストレート・フォワードの言葉とか涙流しながら読んでしまいました。
ここで折れるわけには行かないって感じで。何度でも。
アフリカに関する描写はここ最近のニュースでも本当に毎日のように報道されていて、何年か先を描いたはずのフィクションが、すぐ目の前に迫ってきている錯覚に陥ります。
いや、これもう錯覚じゃないんでしょうね。
こういうのを少しでも良いから興味持ってくれる人が増えると良いな、と心底思います。
水管理と喉が渇くってのは、上手く引っ掛けてるんでしょうね。渇望という意味もあるのかもしれませんが。
ハロルドとパトリックは絶対親友同士ですよ!
それが二人のヒロインとともに同じ行動を取るのですから、これもまたたまらないですよ。
メンデル博士が生きていてプリンチップ社に、というのは有りかもしれないですね。
あれだけ作中で悪魔のような男(意味は違いますが)、と言われてきているのですし、過去の因縁を考えても、ラストバトルはそこに落ち込んでいっても不思議はありません。
その場合、相当の覚悟で僕らも読まないといけないですね(いつもそうですが)。
返信する
シュピーゲルシリーズに興味が持てるようになりました (エルリック)
2009-08-09 10:14:55
はじめまして、燕さん。
私はシュピーゲルシリーズをスプライトの一巻だけ読んだけで、続きは読んでない人間でした。
冲方産の作品はマルドゥックのお堅いイメージがあって、ラノベ風の作品には慣れてなかったのです。
しかし、ご紹介にあったような深い内容であれば、読んで見ようかと思うようになりました。
紹介してくれてありがとうございます。

燕さんは商社の人なのですか。お体に気をつけて仕事をなさってください。
返信する
是非!! (燕。@NY)
2009-09-03 05:04:25
■エルリックさんへ
スプライトの1巻で止まっているようでしたら、是非続巻を手にとって頂きたいです。
これは本当に面白いですよ。
9.11以降の世界がどのように動いていくのか、世界経済、世界情勢とリンクして動く物語ですから、どんどんダイナミックになっていきます。
あまりの凄さに私はいつも参ってしまいますが。
世界で何が起こっているのか?
興味を持つには十分な世界観を持っていると思いますよ。
特に私は今NYにいますが、たくさんの人種が交差するところで起こるドラマは、本当に凄いと思います。
ちなみに、私が商社の人ではなくて、私のお客様が商社さんになります。
ですので、必然的に公私ともにいろんなお話をすることになるのですが、やはりワールドワイドビジネスはしびれますよ。大変だけど(笑)。
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