蒼穹のぺうげおっと

-PEUGEOT in the AZURE- マンガ・小説・アニメの感想を書き流すファフナーとエウレカ好きのサイトです

仮面の…

2006-06-30 00:27:54 | マリみて
ごきげんよう(挨拶)。

今日は一日中色んなところで打ち合わせの日々でした。
神田で午前中打ち合わせをして、午後は竹橋で打ち合わせ、そしてその後日本橋へというのが正統なる行動ルートとなるなずだったのですが、実際の行動ルートは、


神田(徒歩) → 神保町(徒歩) → 竹橋(さすがに電車) → 日本橋


という、何故か神保町を経由(しかも徒歩で、この暑いのに)。

というのも、ちょっと一冊購入したい本があったからなんですよね。

そう、仮面の、仮面のあれです。


仮面のメイドガイ




……違った。


ほんとはこっちです。



マリア様がみてる 仮面のアクトレス
#ノー!!イラスト出てないよ、アマゾンさん。
#表紙は三人ですが、志摩子さんがすっごく良いれしゅ。



まだ「黄薔薇、真剣勝負」まで読み終わったところですが、もう本当に素晴らしかったです。
#以下、若干ネタバレありですので、全くネタバレ嫌~!!と言う方はご注意を。


今回の「黄薔薇、真剣勝負」を読んでいて、本当に今野緒雪先生を尊敬致しました(いや、前から尊敬してるんですが改めて)。
世の中にはいろんなタイプの作家さんがいて、非常に素晴らしい作品を世に送り出してくれているわけですが、今野先生も僕の中では間違いなく素晴らしい作家さんだと再認識いたしました。

ショートストーリーでここまで美しく伏線や成長を描いて、そしてラストシーンに繋げるあたり、感服のあまり言葉もありませんでしたよ。
自転車のエピソードはきっと入ってくるんだろうなと思っていたのですが、こういう形で入ってくるとは…(涙)。

自転車の手を離すシーンと、姉が妹に対して自立を促すシーン(もちろん、妹にも更に妹という存在ができることで、今度は姉になっていくという自立プロセスを含んだシーン)がラストでシンクロするあたりは、本当に鳥肌が立ったというか、文章も、そしてその構成も美しくて感動してしまいましたよ。

僕と同年代の人なんかだと、そろそろ会社でも中堅になってきてて、入社3年目くらいの若手を何人か育成しなくちゃいけない、そういう立場にきてる人もいると思うんですが、そんな僕らも最初は世に出たばかりで、先輩たちの経験値にこれっぽっちも追いつけなかった、そんな頃、ありましたよね。

それがいろんな経験値を積んで今に至って、こんどは自分が若手を育成する立場に立っている。

それってやっぱり先輩たちが通ってきた道だし、下の世代を育成することになって、逆にしっかりしないといけないな、と思うわけで、マリみてではそういうのをさりげなく描いてるわけで、本当になんか今野先生素晴らしい文章をありがとう、という感じです。

うーん、良いなぁ。マリみて。

さて、この後はいよいよ本命のエピソードに入るわけですが、これまた焦らされてますからね~。楽しみです。




そして、僕はネクストステージへ……(何じゃそりゃ)。




薔薇の・・・

2005-06-30 02:14:02 | マリみて
神保町にデザート探しなど。

もちろん即発見、即ゲット。

「はぅ~、お持ち帰り~」

もちろんデザートは「ミルフィーユ」です。

ちょっとだけと思って味見したら、完食してました。

相変わらず絶品です。

以下、とりあえずの5行感想です。
(反転)

むぅ、そこで止めるのか・・・・。はうぅ。
レイニーブルーまでいかずとも、そういう方向性で焦らし作戦ですか?
つか、それは次巻に2つのヤマ場を一緒に持ってくるということなの?
ああー、もう次が待ちきれないっつーの。
それにしても菜々はイイね、すごくイイね。
つか、ほんとにもう次が待ちきれないんですけど、どうしたら良いですか?


(/反転)

さて、もう一回味わうかな?・・・かな?

茶話会などしたいものですね

2005-03-30 13:05:53 | マリみて
プロジェクト単位で仕事をしている身なので、月末が忙しいとか月中は暇とかそういう定期的な仕事の波とは無関係な生活をしているのですが、繁忙期というのはやはりあって、システム開発の仕事は新年度からカットオーバーさせることが多くなります。
それゆえに、年度末というのは各種契約の更新やら、仕事の納期やらがやたらめったら重なる殺人的なスケジュールとなるわけです。

とはいえ、今年はアクシデントはありつつも昨日で殺人スケジュールも一段落。何とか自分の年度末、乗り切れました。
ということで今日は午前中、休みをとってゆっくりと出社。
もちろん、書店の街を経由すること、そして購入した書籍を読了すること、それらをこなしてから出社です。

で、買ってきました、これを。
年度末を乗り切った自分にご褒美であります。

マリア様がみてる 妹オーディション

相変わらず素晴らしい出来で、一気に読んでしまいましたよ。
今野先生の構成力や、丁寧な心理描写、ニヤリと思わせる伏線、どれをとっても楽しめます。
とにかく今巻でもいかんなく発揮される今野先生の登場人物たちに対する愛情は素晴らしいものがありますね。

2004年度という戦いを終えた心に染み渡って、癒されました。
これで来年度も頑張れそうです。
#単純だな、自分。

オーディション

2005-03-02 12:13:10 | マリみて
4月1日発売決定みたいですね。

妹(スール)オーディション

こんなこと言い出すのは一人しかいない・・・。
由乃しかいない・・・。

年度末の地獄を乗り越えた先に見えるマリみて。
これがあるなら乗り越えられそうです。
どういう動機で仕事してるんですか、自分。

マリみてにみるプロジェクトマネジメント考察 その2

2004-12-25 03:20:00 | マリみて
12月25日は先代ロサ・ギガンティアの誕生日であり、かつシリーズ最新刊である『イン ライブラリー』の発売日でございます。
そんなめでたい日の記念として、前回一部の読者以外を完全に置いてけぼりにしたあの企画をやりたいと思います(全く懲りてません)。
#うちのブログではクリスマス企画とかしませんから。
#それよりこの企画の方が大事(重症患者です)。

プロジェクトマネジメントにおける(一応)教科書的な存在として「PMBOK(Project Management Body of Knowledge:ピンボックと発音します)」というものがありますが、今回も「ある小説」を題材にして、ケーススタディをやってみたいと思います。

ある小説とはもちろん『マリア様がみてる』既刊19冊です。
さあ、皆さんテキストの準備はよろしいですか(かなり暴走中)。

えー、前回はPMBOK6章 ヒューマンリソース・マネジメントから「利害対立のマネジメントスタイル」をやりましたが、今回も同じ6章から「リーダーシップスタイル」をケーススタディしたいと思います。

■状況的リーダーシップスタイル
チーム・ビルディングのプロセスとともにメンバーは成長していきますので、プロジェクトマネージャ(以下PM)はメンバーの成長に合わせて、リーダーシップのスタイルを使い分けていく必要があります。

チームの発展プロセスとリーダーシップスタイルの相関関係を示すと以下のようになります。

成立期:命令型(Telling / Directing)
動乱期:説得型(Selling / Coaching)
安定期:参加型(Participating / Supporting)
遂行期:委任型(Delegating)











つまり、最初は自分も介入してチームを立ち上げ、徐々に権限を委譲していく、というわけですね。
ここまでで、質問はありますか?
・・・反応が無いようなので、このまま進めます(独走中)。
では、発展プロセスごとに小笠原祥子さまと福沢祐巳の関係性を例にケーススタディを進めて行きます。

■成立期:命令型(Telling / Directing)
諸説はありますが、私の講義では『マリア様がみてる』~『いとしき歳月(前編・後編)』までを成立期と定義しています。
序盤から祥子さまは祐巳に「私の妹になりなさい」的命令をいきなり使用しているのですが、これはプロジェクトの立ち上げ時には重要なことですね。
これがないとこの話は始まりませんので。
『いとしき歳月』まではスーパーPMである水野蓉子さまがいらしゃったので、祥子さまと祐巳の関係はしばらく命令型のスタイルをとりつつ、関係を成熟させて行きました。

■動乱期:説得型(Selling / Coaching)
これも諸説ありますが、『チェリーブロッサム』~『真夏の一ページ』までを動乱期と定義します。
実はこの動乱期がもっともプロジェクトの中で対人支援が必要な時期で、大変な稼動を要します。
物語としても最も祐巳がボロボロになった時期でもあり、またたくましくなった時期でもあります。
「松平瞳子の乱」~「コシヒカリ姫の制定」を経て、この説得型のポイントである「一緒に解決していく」というキーワードを消化しています。
「OK大作戦(仮)」では祐巳自ら考えて行動できるほどに成長し、動乱期を切り抜けていますね。

■安定期:参加型(Participating / Supporting)
ここでは『涼風さつさつ』~『特別でないただの一日』までとします。
この段階ではメンバー(祐巳)の成熟度は経験を積み、あとは自信がつくのを待つのみという状態になります。
端的なケースでは可南子の件を祥子さまは祐巳に任せ、自身は祐巳のサポートに回るという行動を取って行きます。
そして『特別でないただの一日』でその成熟を迎え、「祐巳 あなた妹をつくりなさい」の一言で次の遂行期:委任型へと移行していくのでした。

■遂行期:委任型(Delegating)
現時点では(物語としてはイン ライブラリーではなく)『特別でないただの一日』が最新刊にあたるため、本プロセスについてケーススタディをすることはできないのですが、これは今後祥子さまがPMとしてこのプロジェクトを遂行できるかどうか、祐巳を次なるPMとして育てることができるかどうか、この辺が見所になってくるわけですね。
そしてこのプロセスの終焉は祥子さまの卒業というイベントへ収斂していくと思われます。
言ってみれば、卒業式までのイベントが楽しみで仕方ないわけです。

えー、本日の講義はここまでとしますが、質問がある人はコメント欄に記入しておいてください。
皆さん、分かりましたかー?
・・・(無反応)。
えー、完全に聴講者を置いてけぼりにしていますが、僕は気にしません、気にしてませんから。
あれ、涙でホワイトボードが見えないや。

えー、次回の講義はまた周知しますんで、それまで予習しておいてくださいね。
テキストは当然『マリアさまがみてる』ですから(泣きながら)。
では、みなさん、ごきげんよう。

今日は静に蟹祭り

2004-11-18 15:30:33 | マリみて
蟹が食べたい、蟹が食べたいと思っていたら、職場の女性先輩が差し入れしてくれました。
しかも本日発売の雑誌(コバ○ト)から丁寧に切り取って。
会社の封筒に入れられた薄い「蟹」は傍から見れば単なる書類のやり取りですが、僕にとっては重要機密書類を手渡されたも同然です。
何せ「蟹」が入ってますから。

今夜は「静」かに「蟹」を楽しみたいと思います。
マリア様の「名」のもとに。
先輩、いつもありがとうございます。
#ちなみにこの先輩は僕の趣味を知る数少ない先輩であり理解者なんですが、その分職場での「生殺与奪」を握られているようなもんです。会社バレしたら転職しようかなぁ。
#えー、かなり皆さんを放置プレイして突っ走ってますが、カテゴリ名を見てピンときた方も来なかった方もそっとしておいてください(突っ込みお待ちしています)。

マリみてに見るプロジェクトマネジメント考察 その1

2004-10-29 12:38:00 | マリみて
プロジェクトマネジメントにおける教科書的存在としてPMBOK(the Project Management Body Of Knowledge)というものが(一応)あります。
プロジェクトマネジメントにおいて必要な知識を体系だてて整理し、PMPの資格取得を目指す方なら一度は読んだことがあるものだと思います。

■PMBOKは9つの知識領域
から成り立っているのですが、今回はPMBOK6章 ヒューマンリソース・マネジメント「利害対立のマネジメントスタイル」の勉強をしていた頃に、ある小説がケーススタディとして非常に有効であると感じていましたので、本日はそれをご紹介したいと思います。

題して、
「マリア様がみてるに見るプロジェクトマネジメント手法 その1」
略して
「マリみてに見るプロジェクトマネジメント手法 その1」
#殆ど略されていません。
#マリみてかよという突っ込みは黙殺します。

■マリア様がみてる、
スール制度を利用してこれほどまでに他者とのコミュニケーションの重要性を説いた小説は他にありません。
#スール制度自体がマリみてにしかないという突っ込みも黙殺です。
今回はこのコミュニケーション・マネジメントについて、マリみてを題材にケーススタディをしてみたいと思います。

===ケーススタディ:ロザリオの滴にみる問題解決手法(レイニーブルーより)===

■問題解決手法1:対決(confrontation)
現時点で最強と言える白薔薇姉妹誕生の話として非常に有名なこのエピソードですが、白薔薇姉妹誕生を促した小笠原祥子さまが実はここでPMBOKに則った問題解決手法を実践したことはあまりにも有名です(僕の中でだけですが)。

作中、祥子さまは志摩子さんに乃梨子の処遇(山百合会に迎えるかどうか)を厳しく問い詰めます。
自責する志摩子さんに対して、本当の問題点は何だ?と問いかけ、逃げ出す志摩子さんの後を乃梨子に追わせるシーンですね。
結果として志摩子さん・乃梨子が共に問題の本質に至り、晴れて姉妹なるわけですが、ここで祥子さまが用いられた手法が「対決(confrontation)」です。
PMBOKでは対立を肯定的に捉えており、問題の本質を解決する最上の技法(Win-Win)であると位置付けられています。

■問題解決手法2:沈静(smoothing)
前述の例に対し、志摩子さんが祥子さまの詰問に対し答えた「もうやめて!」はPMBOKでは「沈静(smoothing)」つまり問題を小さく落ち着かせようとするのですが、これは抜本的な解決方法ではなく、問題は再燃するというものです。
事実、「もうやめて!」で終わっていたならば、遠からずこの問題に直面するのは見えており、同じ薔薇様とは言え、ここは祥子さまが3年生としての貫禄を見せつけたというところでしょうか。
頑張れ、志摩子さん、PMの道はまだ険しいのであります。

■問題解決手法3:撤退(withdrawal)
ちなみにレイニーブルーつながりで言えば、祐巳が瞳子と祥子さまが一緒にいるところを目撃して「そういうことですか」と駆け出してしまうシーンは「撤退(withdrawal)」、つまり当事者の一方があきらめ話し合いを拒否するという何も解決しない、最も悪い方法(Lose-Lose)という最悪の手法とされています。
祐巳、この時点ではPMとしてはまだまだです(この後、それを乗り越え見事に成長するんですが)。

■問題解決手法4:強制(forcing)
さらにちなみに「強制(forcing)」という手法もありまして、これは祥子さまのお姉さまにあたる水野蓉子さまや、令ちゃんのお姉さまにあたる鳥居江利子さまが得意とするところで、卒業されたとはいえ記憶に新しいところです。

■問題解決手法5:妥協(compromise)
最後に「妥協(compromise)」という手法もありますが、これは黄薔薇姉妹が多用していることは皆さんご存知のことと思いますが、またレイニーブルーつながりでいけば黄薔薇注意報での由乃の提案はまさにこれと言えるでしょう。
PMBOKの定義を簡単に申しますと、互いに納得できるポイントを引き出し、合意すれば恒久的な解決となるものの、どちらも完全に納得しないままプロジェクトは進みます。

以上、PMBOKに規定されるコミュニケーション・マネジメントにおける対立解消の5つの手法をマリみてを使って全て解説できたわけですが、マリみてを読んで無い人にはさっぱりケーススタディが役に立ちませんね。

ご希望があれば「マリみてにみるPJマネジメント手法 その2」を企画しますし、ご希望が無くてもその2をやります。

『マリア様がみてる 特別でないただの一日』感想

2004-10-13 12:21:50 | マリみて
ラストシーンで祥子さまから語られるこのタイトルの真意のあまりの出来の良さと、最後の一言のおかげで読後暫く放心していました。
一年前の学園祭の出来事を思い起こし、一番最初の『マリア様がみてる』を再度読みたくなったのでした。
こう書くと語弊があるかもしれませんが、久しぶりに『マリア様がみてる』らしい『マリア様がみてる』を読んだ、そんな気持ち。

『バラエティギフト』『チャオ ソレッラ!』と軽めのエンタメ系が続いたので、祐巳を中心に人との交流によって変化していくプロセスをまた堪能できたことが何より嬉しいです。
今回は待ちに待った学園祭なので、読者としては祐巳の妹が誰になるのか?気が気ではないのですが、今野先生はこの辺の読者心理を掴むのが非常に上手くて、しっかりとタメを作っておいてラストに「それをもってくるか」という構成を仕掛けてきました。
※以下ネタバレありです。ご注意を。

■バネとハリガネ
分かる人にはこの表現だけで何のことかすぐ分かると思いますが、まずは祐巳の妹候補として今一番近い?位置にいる瞳子と可南子から見ていきたいと思います。
順番は前後しますが、まずは可南子から。

■可南子
今回父親との伏線を完全消化した可南子ですが、祐巳への偶像視破綻から憎しみへ転換したバックボーンはやはりここにあったんですね。
自分は不幸なんだと自分の殻に閉じこもっていた可南子が、その原因となった父親と正面から向き合うことでその殻を破ることができた。
「とりかえばや」とは今回、相手の立場にたって考えてみなさい、という裏の意味合いがあったのかもしれません。
この変化の触媒として祐巳との一件があったというわけですね。
自分の想いをきちんと相手に伝えなさい、というのが祐巳が可南子に示した態度にあたるわけで、ある意味姉的指導とも言えます。
しかしながらこの父親との和解にあたり、祐巳自身が深く関わったわけではなく、ある意味祐巳がいなくても時間はかかったかもしれないが解決したかもしれないわけで、伏線を完全消化してしまった可南子としては祐巳の妹候補としてフラットなポジションに戻ってしまったとも言えます。

■ドリル
今野先生は結構マリみて関連サイトを見ているんでしょうね。
読者の期待に応えてくれましたね(こういう応え方、大好きです)。
公式に「電動ドリル」発言されてしまいましたよ。バネを飛ばしてもう「電動ドリル」確定です。
えー、もちろん瞳子のことですが。
瞳子のエイミーは今回はまり役だと思うのですが、エイミーは確か女優になるんですよね?
若草物語上では最初はおてんばで困った役なんだけど何故か憎めない、だけれども女優として4姉妹中一番の大物になるあたり、瞳子にエイミーを投影したとも取れます。
今回の瞳子の言動は読者としても微笑ましいし、今後もいじられキャラとして瞳子の変化を見ていきたい気もするんです。
瞳子の「変化」はだんだん核心レベルに近づいている、みたいな。

しかし、この状態において祐巳というキャラが「どちらか一方を選択する」というのはちょっと考えづらいところ。
このへん新刊がでるまで読者心理を煽るアプローチなのでしょうか。
その意図にきっちり、はまりそうです。

■妹選びの話はこの辺までとして
僕が今巻を「マリみて」らしい「マリみて」と評したのはやはり学園祭終了後の祐巳と祥子さまの描写にありました。
祐巳が感傷に浸っているところに祥子さまが来て、一緒に座るシーン。
このシーンまで来ると読者として一番最初の『マリア様がみてる』から『レイニーブルー』あたりを思い出し、『チャオ ソレッラ!』までの二人の歩みがフラッシュバックしてきて既に感無量状態です。

にも関わらず、姉妹になって丁度一年のこの日に祥子さまから語られるこの言葉

「私にとっては何も今日だけが特別な日ではないからよ」

『特別でないただの一日』今回のタイトルの意味が明かされる瞬間なのですが、このタイトル、間違いなく既刊一、語る言葉を失いそうです。
言い得て妙、ふたりの気持ちがシンクロしたこの瞬間は、祐巳でなくとも涙が出るってもんです。
このシーンに至るまでも十分楽しんでいたのですが、このシーンの出来は出色、大事なことを教えてもらった気がします。

■めっちゃ私事ですが、
自分の娘と遊んでいると子供の成長の早さに驚かされます。
誕生日とかそれはそれで凄く感慨深いんですが、日々の遊びや交わす会話もこの瞬間を逃すと戻ってこない、だからこっちも一生懸命遊んであげよう、そんな気になったりまします。
「特別でないただの一日」この言葉の持つ意味は温かくて、それでいて重い、結構気がつかないものです。
#深夜帰宅が多い自分には余計そう思ってしまうのか・・・。

■そして・・・
この感動の最高潮において祥子さまから発せられるこの言葉

「祐巳 あなた、妹を作りなさい」

ついに来た・・・。
いつかは来ると思っていましたが、このタイミングで来るか・・・。
感動のタメが大きかった分、衝撃も大きく暫く放心状態に陥りましたよ・・・。

■祥子さまのこの言動については、
また別の機会でも触れようと思っているのですが、この紅薔薇姉妹もいよいよ次のステップに進む時が来たようです。
この発言は祐巳の成長のためだけでなく、祥子さま自身にも向けられた言葉ではないかと思うのです。
傍目からは祐巳が祥子さまベタぼれのように見えるけど、祥子さまが実は祐巳にベタぼれということは読者を含めて知っている人は知っている事実。
祥子さまが祐巳から卒業できるかどうか、というのも一つ取り上げて欲しいテーマとして個人的に希望しています。
この視点、聖さまが志摩子さんに妹(乃梨子)が出来た時に『バラエティギフト』で見せた微妙な表情で少し触れられていますが、今回は祥子さまでその視点をやってもらえないかなぁ・・・。

■読後
あぁ、最高でした。
エンターテイメントにも優れ、それでいて「相互理解」のテーマもしっかりと消化している。
#「とりかえばや」を劇のテーマに選定した理由はやはり「相互理解」にあると思うし、この辺作者の意図はいつもながら感心するのです。
そして、読者への宿題(妹候補を考える)も忘れない。
大満足、これでしばらく生きていけそうです。

特別でないただの読了

2004-09-30 12:57:37 | マリみて
昨夜の帰宅時間 深夜2時30分。
せっかく「アレ」を手にしているのに、読めないジレンマ、これを乗り越えてようやく帰宅することができました。

夜中ですから読書の邪魔をする奥さんや娘は熟睡中です。
まずシャワーを浴びて身を清め、飲み物片手にソファに座り読書モード突入です。

午前4時30分、読了。本日の読了は、
『マリア様がみてる 特別でないただの一日』

あまりの出来の良さに嬉しさを隠し切れません。うぎゃー(嬉)。
『子羊達の休暇』以降、ライトエンタメ系が続いていたのですが、その路線は踏襲しつつ厚みのある仕掛けを展開してくれましたよ(涙)。
そしてこのタイトルは既刊随一かもしれない・・・。
#十二国記の『図南の翼』の意味が語られた時クラスの感動でしたよ(嬉涙)

既に2度読み返しました。
しばらくこれで幸せが持続しそうです。

『マリア様がみてる』第1巻をまた読みたくなった、そんな秋の一日。

#ヤケになって昨日の待ち時間を利用してマリみて感想2本書いたのは自分の中ですごく良かったかも。
#妹候補とか祐巳の視点とか整理できたことで、ほんと『特別でないただの一日』が楽しめたから。
#後輩よ、君のおかげだ!!

感想は10月1日をちょっと過ぎてからアップすることにします。
では、ごきげんよう。