蒼穹のファフナー「RIGHT OF LEFT」を観終えて、自分がいかに蒼穹のファフナーが好きで、そしてこれからもきっと好きであるということを実感しました。
またしても泣いてしまったし、また作中何度泣いたかも分かりません。
でも、観終わった後に、それは悲しくて悲しくて泣いたのではなく、これからこの物語が受け継がれていく、そういう嬉しさの涙だったんじゃないかな、とも思えるのです。
将陵僚と生駒祐未の最期のシーン。
あのマリンスノー。
そう、この蒼穹のファフナー「RIGHT OF LEFT」の公式発表がなされた日からずっと追いかけて来た人には、一番最初の予告がマリンスノーが舞い降り、そのピアノとヴィオラの音楽の中に、
「そのときあなたがいれくれたから」
の文字が流れていることをご存知のはず。
あのマリンスノー、そしてあの台詞、それは最初から公示されていて、そして最期にそこに帰ってきたんだ。
。・゜・(ノД`)・゜・。
あのシーン、悲しいのに悲しくない。
泣いているのに悲しくない。
こんなに美しいシーンは……無い。
そう、あのマリンスノーは将陵僚が語ったように、死に場所じゃなくて、生きるための場所を獲得しようと最期まで懸命に足掻いた二人、そしてこの「PLAN L」に関わった全ての人に対する祝福なんだ、本当にそう思えます。
本当に良かった。
本当に良かったです「RIGHT OF LEFT」。
SF的な描写によってその物語を盛り上げるんだけれども、本当に言いたいこと、伝えたいこと、僕らが感動するところは、そこまでのSFという要素を全て剥ぎ取った部分に、人の心の有り様の部分に、命の部分に訴えかけてくる、これが冲方丁さんの脚本だと、改めて実感しました。
そして改めて実感するのは、僕はこの蒼穹のファフナーが大好きで、きっとこの先も大好きだということです。
しばらくこの余韻に浸りたいと思いつつも、以下少しだけ各所の感想を。
#放送がまだの地域の方は十分ご注意ください。激しくネタばれしてます。
■オープニングの気合、CGと音楽
このオープニングのCGや音楽もめっちゃ気合入ってて、制作スタッフがこの作品にかけた意気込みが最初の1分で伝わってきましたよ。
ほんと、今回は(も)CGの出来も素晴らしくて、物語中盤でファフナー・ティターンモデルが登場してくるあたりとか、奮えましたね。
音楽についてはもう全く言うことありません。
手放しで素晴らしい、それしか言い様が無いんだもん。
オープニングからほんと良かったです。
■まだどこにもなかった
滅ぼすか 滅ぼされるか
互いに歩み寄る余地など まだ どこにもなかった
オープニングの総士によるモノローグ。
この「まだ」という言葉が既にここまで蒼穹のファフナーを観てきた人にはぐっとくる言葉になってしまうんじゃないでしょうか。
上述した部分でSF的要素を剥ぎ取った部分で感動してしまう、と書きましたがやはりファフナーでは「対話」や自分が「ここにいる」ことについて突き詰めて、そこに珠玉の感動ストーリーが次々と生まれていきました。
このモノローグがあの大感動の
第24話につながっていくかと思うと、既に冒頭で僕の涙腺はかなり刺激されていたことになりますね。
あの第24話は本当に素晴らしくて、そこまで完全に手詰まりだった状況に「対話」によって、理解しようとすることによって物語が激変するところでしたね。
今思い出しても、あそこはベストエピソードに近いです(いかん、いかん、思い出したらまた涙が…)。
参考:
第24話感想 -追記- ~土と理解と親子の絆~
■絶望から希望へ
「RIGHT OF LEFT」の物語、それはこれから続いていく一騎や総士たちの物語をぎゅっと凝縮した物語であり、またその「PLAN L」に携わったメンバー全ての思いが将陵僚と生駒祐未に凝縮されていた、そういう物語でもあったと思います。
絶望しながらも、希望を捨てない。
これは僚と祐未の人物設定で既に語られていた言葉になっていますが、この1時間という短い物語の中で何故そういう設定なのか、何故そうなのか、というのが良く分かります。
一見、僚にしても非常にポジティブに見えますが、彼はやはり持病から死の恐怖を常に味わっていて、居場所を作ってくれた皆に恩返しが出来るのなら死んでも構わない、そんな風に思っていて、祐未にそれを指摘されるまでは彼にはやはり希望は持てていなかったんですよね。
祐未にしても、父親の死について贖罪の念を持って志願していたり、希望を見出すというよりは義務感、使命感に近い、どちらも悲壮な思いでいたと思うんですよね。
しかも自分の父が立案した計画は本当に皆が生き残れるのか、そんな絶望的な不安すら抱えていたのかもしれません。
そんな状況から僚は祐未の一言で、祐未は僚の一言で、互いに立ち直っていく、そして互いに支えあっていく、このプロセスが本当に良くって、またそれが切なくて、この絶望から希望へと転換して、絶望しながらも希望を捨てない、そして二人で最期を迎えていく、その最期の瞬間までずっと目を離すことが出来ませんでした。
私、分かってたの
(僚が)ずっといなくなろうとしていた
あなたに父さんと同じものを感じた
あなたにだけはそうして欲しくなかった
ここでの祐未の涙が中盤のクライマックス
これまでのわだかまり、いろんなものを越えて祐未が素直になる瞬間、この瞬間支えあう二人の心が見えた、そんな気持ちになりましたよ。
そして、
やっぱり凄いな お前の父さん
欲しかったのは 生きる場所だ
死に場所なんかじゃない
絶対に
ここがそのアンサー。
いなくなるんじゃないかと心配した祐未への、僚が出した明確なアンサー。
そしてそれは自分自身にも出したアンサーであり、祐未の父親までも救うアンサーでもあったわけで、祐未も僚も、互いに心の中で支えあった瞬間でもあったんですよ。
もうこの時点でかなり涙腺も決壊していたし、これからどんなに辛い展開になっても、観て行ける、最後まで観て行けると思った瞬間でしたね。
■そしてマリンスノーへ
僚 ありがとう 止めてくれて
なあ、祐未
何?
好きだ
いや、好きだった
たぶん、ずっと前から
私 あなたが好きかどうか分からない
そういうの いつの間にか通り越してた
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
そっか
あたしたちがこうしたこと
島の皆に伝わるよね?
ああ
父さん 褒めてくれるかな
雪?
海の底に?
マリンスノー……!!
皆がおれたちを褒めてくれてるんだよ
僚……
今そばにいてくれるのがあたなたで良かった
すごくそう思うの
そっか
これって好きってことなのかな?
でも何か もっとそれ以上のものを感じる
あなたがそばにいてくれたから
私……
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
何ていう美しくて切ないシーン、もう語る言葉も無し。
降りしきるマリンスノー。
交わされる二人の言葉。
こんなに美しいシーンは見たことがありません。
こんなに切ないシーンは見たことがありません。
そう、このシーンは一番最初にこの蒼穹のファフナー「RIGHT OF LEFT」の公式HPがオープンした4月に既に公開されていたものだったんです。
降りしきるマリンスノーの中、ピアノとヴィオラで奏でる音楽の中
あなたがそばにいてくれたから
このメッセージが流れていたんです。
そうか、ここに、このシーン、この情景、この台詞、この雰囲気を持ってきたのか、と思うと、これまで放送公開をずっと待っていた心にこれ以上なく響きました。
冲方丁さん、最高です。・゜・(ノД`)・゜・。
このシーンは悲しいけれど悲しくない。
切な過ぎるけれど、悲壮感はない。
やっぱりこのシーンのマリンスノーは、最期の瞬間まで死ぬ場所じゃなくて、生きるための場所を探して足掻いた二人への祝福であると思いたいし、また、最期の最期に、誰かが生き残る場所を残すために自分たちが生きた証を残した二人への祝福であったと思いたい。
自分たちが生きた証を、残された者に覚えておいてもらう権利。
「RIGHT OF LEFT」
それは去り行くものの権利。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
■それって命になるってことだろ?
僚がフェストゥムに対して残した言葉、
それって命になるってことだろ?
ここでまた号泣。
ここがオープニングで総士が、
滅ぼすか 滅ぼされるか
互いに歩み寄る余地など まだ どこにもなかった
と言っている部分の「まだ」に対応しているところなんですよね。
ここから始まったと言ってもいい、この戦いがあったから、たった半年の時間稼ぎだったのかもしれないけれど、その半年があったから、「命」を持ったフェストゥムと対話できるところまで昇華する時間ができたのかもしれない。
この一言、ここから始まったんだと思うと、これから始まっていくファフナー本編の物語へしっかりと受け継がれていて、更に泣けてきました。
もうここは完全にボーナストラック的にぐっときました。
ここからエピローグにつながり、エンディングで「Peace of mind」がかかる頃には完全に号泣。
PUKUが命を引き取るところはもう反則。・゜・(ノД`)・゜・。
あれで僕に涙を我慢しろと言うほうが無理。
ああ、泣くんだろうなと思って観たんですよ。
きっと泣かされるんだろうなと思って。
もう期待通り、いや、期待以上の出来、そして切なくも美しいストーリーに泣く以外の何ができるんでしょうか。
ほんとに素晴らしい出来でした。
冲方さん、そして制作スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
■蔵前果林は視聴者の代弁者
今回の陰のヒロインはやっぱり蔵前だったと思うんですよね。
本編では第1話で殆ど出番らしき出番も与えられないまま散ってしまう蔵前ですが、小説版で既に詳細なフォローが入っていて、今回僕の中ではかなり注目でした。
今回の蔵前はやっぱり視聴者視点だった、視聴者の代弁者、そういうポジションだったんじゃないかと思うんですよ。
「PLAN L」のメンバーが戦っている最中の島の平和を語るシーン。
極めつけは僚と祐未を助けに行くと絶叫するシーン。
そしてPUKUの最期を看取るシーン。
決して主役という扱いではなかったけれど、彼女が今回受け持ったポジションってやっぱり作中意義としてはすごく重要で、そんな蔵前にスポットが当たったことがこの上なく嬉しいですね。
小説版だけだとまた切ないんですが、今回のとセットで蔵前を考えることで、とてもすっきりとした気分になれました。
やっぱり冲方さんはキャラを凄く大事にされてるな、と実感しますね。
■
「Peace of mind」
期待を裏切らず、エンディングで流れる
「Peace of mind」。
涙で画面が見えませんでした。
蒼穹のファフナー「RIGHT OF LEFT」という作品を考えるときに、この歌詞とフレーズの持つ意味は物凄く大きいです。
あんなに切ない物語なのに、この
「Peace of mind」を聞くことで、とても優しい気持ちでこの物語を見終えることができました。
例えば、
いつか夢のように 覚めてゆくのかな
忘れないよこの瞬間を ずっと離さないでね
目を閉じて 願い事ひとつ
のフレーズは、あのマリンスノーの中での会話そのものだったりするんですよ。
そしてマリンスノーのシーンと言えば、
静けさにふと窓の外 雪が舞い降りている
真白に染まる世界で あなたの音に寄り添う
ここはまさにあのシーンそのものなんですよ。・゜・(ノД`)・゜・。
そしてここから続くサビの部分はもう皆さんご存知のフレーズだと思いますが、またそれが泣けて泣けて。
けれどもそれが泣けるだけじゃなくて、僚と祐未を祝福する歌に僕は聞こえてしまうんで、またここで優しい気持ちになれるというか、観終わった後になぜか「ありがとう」と感じてしまうような、そんな気持ちになれたんですよね。
本当にこの曲はお勧めです。
■
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT 主題歌「Peace of mind」
■最後に
蒼穹のファフナーが好きで、本当に大好きなんだということを改めて実感しました。
そしてこれからもずっと蒼穹のファフナーのことが好きで、きっとずっと自分の中で大事にしていく作品だということは間違い有りません。
冲方丁さん、そして制作スタッフの皆様、ありがとうございます。