この作品もまた近年稀に見る傑作中の傑作、ミステリー、エンターテイメント、またそれに連なる人間模様とどれをとっても一級品、私、燕。手放しで大絶賛したいと思います。
またこれほどまでに美しく、緊張感に溢れたストーリーを毎週展開してくれる制作者サイドに惜しみない拍手をまだ中盤であるにも関わらず送らせて頂きたいと思います。
前回の感想でアルベールが自分を自覚したことがターニングポイントだと書いたのですが、まさに今回カチリ、カチリと一つずつピースがはまっていき、破滅への歯車が少しずつ音を立てて回り始め核心へ近づいていく足音が聞こえる、そして視聴者はその様子を固唾を呑んで見守るしかできない、そんな悶絶しそうな回でしたね。
■明らかになっていく大人達の過去と世界観
今回非常に秀逸だなぁと感心していたのがこれまでパリ中心に描かれていた世界観を大人たちの過去が明らかになるとともに一気に広げてきた、まさにターニングポイント、動き始めた感じがひしひしと伝わってきました。
実は帝国との戦争状態であったり、それもかなり前から戦争に突入していてりとか、モルセール、ダングラール、ヴィルフォールも戦争というバックグラウンドを持って現在に至っているというのが明らかになってきましたね。
■崩れ行く足元
伯爵の復讐は確実にモルセール、ダングラール、ヴィルフォールの3氏を追い込んでいますが、今回彼らの足元を固めていたモノ(名誉、権威、財産)が今にも瓦解しそうな、もうそんなところまで来た感じです。
まず、モルセールですが、
大統領選へ向けてダングラールという資金源を失うことで金があてに出来ず、ならば軍人としての名声で票を得ようとして和平交渉の最中、帝国軍への侵攻を開始するわけですが、これも恐らく失敗に終わり彼は名声を失ってしまうんではないですかね。
今の彼には軍人としての名声(と本当はもうひとつあるけれど)しかないわけで、それを奪うというのが復讐のファーストステップなのかな。
ダングラールのリークもモルセールの名声を奪うことに一役買うことになりそうですね。
次に、ダングラールですが、
彼の場合非常に分かりやすくて、彼の拠り所は金だけなんですね。友も家族も金の前には優先順位が著しく下がる、そういう描写がずっとされてきたわけで、伯爵の仕掛ける先物の仕手戦で大損する、そして伯爵への無制限融資という地雷もあるわけで、彼の拠り所を奪われるというのがファーストステップになりそうです。
最後に、ヴィルフォールですが、
崩壊が最も早かったのは、伯爵に脅威と危険性を最初に抱いたヴィルフォールでしたね。
彼の場合、ノワルティエという父親越えを出世して権威を手に入れるという形で実現しようとしたのですが、彼の拠り所となる権威を剥奪された時点でファーストステップは終了し、既に彼の場合次のステップに進んでしまいそうですね(待て次週)。
足元が崩した後にメルセデスが残るわけですが、これはもう少し先になりそうかな(モルセールにとっては最後の拠り所になるだろうから、そこが離反していく様子はまさにカタストロフって感じで描かれそうです)。
とはいえ、3人の足元はかなり瓦解寸前の状態になっていますね。
伯爵の狙いは、彼らの拠り所を全て奪った状態で絶望を見せ付ける、あたかも自分が経験したことを追体験させるように、という感じでしょうか。
■同じ目的をもつ3人と3人
前述の3人はモルセールとダングラールの会話にあるように「3人でのし上がる」という思いを胸に結束していたんでしょうね。
恐らくエドモンやエデのような犠牲のもと今の地位を手に入れたと思うのですが、ほぼその願いを成就している現在では彼らをつなぐのは秘密を共有しあっているという枷だけなのかもしれませんね。
それに対して、伯爵サイドでも「復讐」というキーワードで結ばれている3人がいますね。もちろん伯爵はそうなんですが、それに加えてエデ、そしてカヴァルカンティですね。
「のし上がる」という願いが成就され、崩壊寸前の前述の3人に対して、「復讐」という願いが成就されるとき、彼らに去来するのは何なんでしょうね。
今回はエデの捨てきれない復讐心が描かれましたが、カバルカンティもやはりヴィルフォールとビクトリアの遺児かどうかはまだ分かりませんが、そういったバックグラウンドがあって復讐しようとしているんでしょうね。
では、それに終止符を打つことができるのはこの3人かもしれませんね。
アルベール、フランツ、ユージェニーの3人はやはり互いを思いやる気持ちを持つことでひょっとしたらこの果てない復讐劇に終止符を打てるのかもしれません。
やっぱり「愛」ですよ「愛」。
■巌窟王の意味
第9幕の感想で「巌窟王」の意味は何だろう・・・その意味が分かるとき伯爵のバックボーンが分かるのではないか的なことを書いたのですが、今回フランツが真相に迫ろうとしましたね(フランツ、リュシアン素敵です)。
単純に考えると巌窟王は寄生タイプの宇宙人か実態を持たない生命体か何かという気がしないでもないですが、殺しても死なないのかもしれず、ずっと牢に幽閉していたと見るべきでしょうか。
そしてそこにモルセールたちに陥れられたエドモンと牢で出会い、エドモンに寄生し新たなる巌窟王として生を得たって妄想どうですか?
当然それまで寄生されていた人間?は寄生が解除になった時点で死亡し、公式記録としては巌窟王は死亡したことになっていると。
しかしそれまで裏社会を牛耳っていた巌窟王の持つ財産は莫大でそれを継承し、現在復讐に生きていると・・・。
寄生タイプなんでエドモンの体を蝕んでいて、それで伯爵には時間が残されていない・・・。
#となると牢で千年生きたというのはどうなるか、と問われると分かりません(笑)。
どうでしょう。
■次回
とりあえずカヴァルカンティはユージェニーの肩からその手を即刻離すように(怒)。
ダングラール家崩壊か・・・?
またこれほどまでに美しく、緊張感に溢れたストーリーを毎週展開してくれる制作者サイドに惜しみない拍手をまだ中盤であるにも関わらず送らせて頂きたいと思います。
前回の感想でアルベールが自分を自覚したことがターニングポイントだと書いたのですが、まさに今回カチリ、カチリと一つずつピースがはまっていき、破滅への歯車が少しずつ音を立てて回り始め核心へ近づいていく足音が聞こえる、そして視聴者はその様子を固唾を呑んで見守るしかできない、そんな悶絶しそうな回でしたね。
■明らかになっていく大人達の過去と世界観
今回非常に秀逸だなぁと感心していたのがこれまでパリ中心に描かれていた世界観を大人たちの過去が明らかになるとともに一気に広げてきた、まさにターニングポイント、動き始めた感じがひしひしと伝わってきました。
実は帝国との戦争状態であったり、それもかなり前から戦争に突入していてりとか、モルセール、ダングラール、ヴィルフォールも戦争というバックグラウンドを持って現在に至っているというのが明らかになってきましたね。
■崩れ行く足元
伯爵の復讐は確実にモルセール、ダングラール、ヴィルフォールの3氏を追い込んでいますが、今回彼らの足元を固めていたモノ(名誉、権威、財産)が今にも瓦解しそうな、もうそんなところまで来た感じです。
まず、モルセールですが、
大統領選へ向けてダングラールという資金源を失うことで金があてに出来ず、ならば軍人としての名声で票を得ようとして和平交渉の最中、帝国軍への侵攻を開始するわけですが、これも恐らく失敗に終わり彼は名声を失ってしまうんではないですかね。
今の彼には軍人としての名声(と本当はもうひとつあるけれど)しかないわけで、それを奪うというのが復讐のファーストステップなのかな。
ダングラールのリークもモルセールの名声を奪うことに一役買うことになりそうですね。
次に、ダングラールですが、
彼の場合非常に分かりやすくて、彼の拠り所は金だけなんですね。友も家族も金の前には優先順位が著しく下がる、そういう描写がずっとされてきたわけで、伯爵の仕掛ける先物の仕手戦で大損する、そして伯爵への無制限融資という地雷もあるわけで、彼の拠り所を奪われるというのがファーストステップになりそうです。
最後に、ヴィルフォールですが、
崩壊が最も早かったのは、伯爵に脅威と危険性を最初に抱いたヴィルフォールでしたね。
彼の場合、ノワルティエという父親越えを出世して権威を手に入れるという形で実現しようとしたのですが、彼の拠り所となる権威を剥奪された時点でファーストステップは終了し、既に彼の場合次のステップに進んでしまいそうですね(待て次週)。
足元が崩した後にメルセデスが残るわけですが、これはもう少し先になりそうかな(モルセールにとっては最後の拠り所になるだろうから、そこが離反していく様子はまさにカタストロフって感じで描かれそうです)。
とはいえ、3人の足元はかなり瓦解寸前の状態になっていますね。
伯爵の狙いは、彼らの拠り所を全て奪った状態で絶望を見せ付ける、あたかも自分が経験したことを追体験させるように、という感じでしょうか。
■同じ目的をもつ3人と3人
前述の3人はモルセールとダングラールの会話にあるように「3人でのし上がる」という思いを胸に結束していたんでしょうね。
恐らくエドモンやエデのような犠牲のもと今の地位を手に入れたと思うのですが、ほぼその願いを成就している現在では彼らをつなぐのは秘密を共有しあっているという枷だけなのかもしれませんね。
それに対して、伯爵サイドでも「復讐」というキーワードで結ばれている3人がいますね。もちろん伯爵はそうなんですが、それに加えてエデ、そしてカヴァルカンティですね。
「のし上がる」という願いが成就され、崩壊寸前の前述の3人に対して、「復讐」という願いが成就されるとき、彼らに去来するのは何なんでしょうね。
今回はエデの捨てきれない復讐心が描かれましたが、カバルカンティもやはりヴィルフォールとビクトリアの遺児かどうかはまだ分かりませんが、そういったバックグラウンドがあって復讐しようとしているんでしょうね。
では、それに終止符を打つことができるのはこの3人かもしれませんね。
アルベール、フランツ、ユージェニーの3人はやはり互いを思いやる気持ちを持つことでひょっとしたらこの果てない復讐劇に終止符を打てるのかもしれません。
やっぱり「愛」ですよ「愛」。
■巌窟王の意味
第9幕の感想で「巌窟王」の意味は何だろう・・・その意味が分かるとき伯爵のバックボーンが分かるのではないか的なことを書いたのですが、今回フランツが真相に迫ろうとしましたね(フランツ、リュシアン素敵です)。
単純に考えると巌窟王は寄生タイプの宇宙人か実態を持たない生命体か何かという気がしないでもないですが、殺しても死なないのかもしれず、ずっと牢に幽閉していたと見るべきでしょうか。
そしてそこにモルセールたちに陥れられたエドモンと牢で出会い、エドモンに寄生し新たなる巌窟王として生を得たって妄想どうですか?
当然それまで寄生されていた人間?は寄生が解除になった時点で死亡し、公式記録としては巌窟王は死亡したことになっていると。
しかしそれまで裏社会を牛耳っていた巌窟王の持つ財産は莫大でそれを継承し、現在復讐に生きていると・・・。
寄生タイプなんでエドモンの体を蝕んでいて、それで伯爵には時間が残されていない・・・。
#となると牢で千年生きたというのはどうなるか、と問われると分かりません(笑)。
どうでしょう。
■次回
とりあえずカヴァルカンティはユージェニーの肩からその手を即刻離すように(怒)。
ダングラール家崩壊か・・・?
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