5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

カレーは子供の腎臓に悪いか

2010-03-16 22:28:50 | たべもの
先週土曜日(13日)は「世界腎臓病の日」だった。ということで、昨日に続いて今日も腎臓に関係したニュースを拾う。

LAタイムズ(3月8日)のヘルス欄。「少量の鉛でも子供の健康に影響が」という記事にまず注目する。鉛を多量に体内に入れると慢性の腎臓病になるということは大人には常識だが、子供にはこれが少量であっても危険だというジョンズホプキンス大学小児科の研究が発表されたというニュースだ。

アメリカCDC(疾病予防管理センター)が安全だとする血中鉛量基準は1デシリットルの血中に10マイクログラムというものだが、この研究調査の対象となる769名の子供たちの場合は、その3分の1以下の2.9mcg/dLでも腎機能低下が見つかったというのである。

アメリカで(日本でも)はガソリンやペンキなどには含鉛のものは販売されていないが、古いペンキ、汚染土壌、飲料水などには依然として鉛が含まれることもあるのだという。鉛中毒は子供たちの認知能力や行動能力に影響を及ぼし、注意欠陥、攻撃性、IQ低下を引き起こす。成人の場合は、腎機能や生殖能力の低下や高血圧、吐き気、便秘などの原因になる。

子供の鉛中毒に対して、血中濃度が20mcg/dL以上の場合には環境改善が指導され、45mcg/dL以上になれば治療が施されるアドバイスシステムができているアメリカだが、この研究で示された低いレベルの場合には、制度化された方策が今のところないというのが問題だと記事は指摘している。子供の場合は家庭環境など、親の管理スキル如何だというまとめ方だが、果たして大丈夫だろうか。

もうひとつのニュースは15日のタイムのやはりヘルス欄からで、「インドのスパイスに鉛毒のリスク」というもの。最近の「小児科学」誌に発表されたハーバード大の公衆衛生学レポートで、ボストン周辺に住むインド系アメリカ人の子供たちに鉛中毒が多いのは、彼らが常時消費するスパイスが原因だというのだ。

調査ではボストンのインド食品雑貨店から各種のスパイスや儀式用パウダーを入手して調査した結果、カルダモンやチリパウダーといったスパイスの25%は1グラムあたり1マイクログラムの鉛含有、シンドアなど儀式用パウダーの65%も同率の含有が認められたという。EUが定めたグラムあたり2~3mcgという許容量よりは少ないが、そもこうした食品に鉛が含まれること自体が大問題だというわけである。

世界の環境基準はさまざまであって、鉛を含んだガソリンを使って車を走らせる国も依然たくさんある。インドもそのうちのひとつだ。車の排気とともに排出された鉛は地に降り注ぎ、農地の土壌を汚染する。その汚染された畑で、われわれがなじみになった各種のスパイスやパウダーが栽培されている図というのは、あまりゾッとするものではない。

食品安全を管理するアメリカFDAでも、乾燥品の鉛含有をチェックする明確なガイドラインは決められていないのだといい、2009年の春から輸入スパイスをターゲット食品として認めたばかりだ。

儀式用のパウダーを使う日本人はまずいないだろうが、カレーライスの嫌いな子供も日本人には少なかろう。家庭でも外食でも学校給食でもポピュラーなカレーライスはもはや日本の国民食である。

極めて微量であるとしても、長い間の鉛の摂取が子供たちの腎機能に悪影響をあたえるとすれば、事態はゆっくりと慢性化し日本全国に広がる。事は重大だが、輸入スパイスの重金属検査はどんなやり方をしているのだろうか。お役所得意の書類審査だけなどということではないように常時アラートで願いたいものだ。

鉄分やカルシウム、ビタミンCの摂取が不足すると鉛の血中吸収スピードが上がるのだというから、母親は子供の食事に気をつけるべきだろう。












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