5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

アドリアとオホーツク

2019-11-13 21:52:12 | 天候・気候

1m87の高潮とは大変だ。

イタリア北部の世界的観光都市ヴェニス。アドリア海のラグーンに建った「水の都」も最近の地球的な豪雨には弱いようだ。強い低気圧の影響で数日間、雨が降り続いた結果、過去半世紀で最も高い高潮が発生、一時は187cmにまで上昇したという。サンマルコ広場など市の中心部の広域で浸水が起きて、世界的に著名な観光施設が水に浸かったという。

ベニスの冬期は低気圧の影響で高潮が発生しやすく、過去にも幾度も浸水被害に遭ってはいるが、今回は異常だと感じたようで、市民たちは「将来の不安」を口にし、市長は「地球温暖化」の所為だとツイートするほど。観光都市の維持のためには本格対策が必要なはずだ。イタリア政府も黙っているわけにはゆくまい。

低気圧の大雨といえば、台風19号上陸から1ヶ月目になる。関東甲信から東北の各地で降雨による河川決壊を大規模に発生させた。浸水面積は18500ha以上の広域におよび、被害も大きかった。降雨量も決壊数も未曽有のもの。従来の常識が通じなくなってきている。

もうひとつ今日のワシントンポストで気になるニュースを見つけた。Japanという単語があるから余計気になる。

日本列島の北側の海水温が高いため、これが危険な連鎖反応を起こして太平洋一円に影響を及ぼすかもしれないというのだ。

流氷が減ってシャケが不漁の北海道。シベリアに向かって拡がるオホーツク海が急激に海水温を上げており、WPの調査によると、特にその北部では18世紀後半の産業革命以前と比べて3℃近い上昇が見られ、世界中で最も急速に海の温暖化が進むスポットと考えられるというのだ。

この水温上昇によって、地球上でもっともダイナミックな海氷製造能力を持つ北西オホーツク海がその能力を低下させる兆候を見せている。この海域の製氷能力は北極海や南極のそれを凌ぐものだから、その能力低下はオホーツク近海より以遠にまでひろく影響を及ぼし気候変動のドミノを引き起こすことになると脅す記事である。

今年はシャケだけでなく秋刀魚も不漁だが、オオーツク海の海水温上昇にその原因があるのかもしれない。海水温のほんのちょっとした違いで回遊する魚群は漁師たちの目論見とはまるで違ったところに動いてしまうはずだ。

WPのいう気候変動のドミノがどういうことを意味するのかはよく分からないが、日本列島周辺の海水温が上昇していることと、台風の巨大化とは大きな相関があるということくらいは、日本人のすべてが体感しつつある。

アメリカ出張中のお仲間KSさんが「クリーブランドもルイビルも大雪だ」とツイートしている。例年より1ヶ月も早い北極の寒波が北米大陸の東半分を覆っているような状態らしい。その一方でカリフォルニアや南半球のオーストラリアでは乾燥による山火事が連鎖的に発生するという異常気象。トランプが温暖化などないと一人で力んでいるうちに、気候変動による自然災害が増えていく。

「将来が不安だ」というヴェニスの市民たちと我々日本人とはしっかり連帯が出来そうである。



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