5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

海中ドローン

2019-11-12 21:44:07 | 歴史

ドローン技術が進み多方面でのその活用がニュースとして知らされるのはつい最近になってのことだ。今日もツイートに二つの事例が現れた。

一つは、蚊が媒介するマラリアによる死亡率が高いアフリカ大陸だが、その抑制対策のひとつとしてタンザニアではドローンによる田圃への薬剤撒布が始まっているというもの。広大な田圃の水面にまんべんなく薬剤を撒くのは手作業では不可能にちかいが、これが上空からのドローンなら無理がなく効率的だ。タンザニアはテストケースで、これが上手く運べば、アフリカの他のマラリア汚染国へもドローン作戦を展開していくのだそうだ。

もう一つは、海中版のドローンの話題。遠隔操作で動き回る高性能の小型潜水マシンだ。これは75年前の第二次大戦中に撃沈された米軍の戦艦や潜水艦の残骸の在り処を海中ドローンを使って確認しようという〈失われた52隻〉というアメリカの民間プロジェクトのニュースだ。深い海底を探るには潜水艇は不可欠だがコストも高額になる。無人の海中ドローンで置き換えれば、リスクもコストも大幅に低減できるというわけだ。

プロジェクトチームが目指したのは52隻中最後に残った〈グレイバック〉という名の潜水艦。グレイバックは沖縄の近海のどこかに沈んでいるはずだ。

米海軍の記録によれば、それまで日本艦隊攻撃ミッションを続け10隻以上の日本軍船を沈める実力を発揮してきたグレイバックだが、最後の第10ミッションに向けて真珠湾を出港しのは1944年1月28日だった。2月24日に日本の輸送船を攻撃した後、弾薬補充の為ミッドウエイに戻ると連絡してきたのが最後、結局、帰港することはなかった。

終戦後になって、米海軍は日本軍の記録を参考に、当初、グレイバックの沈没海域を沖縄の東南東100マイルと読んだが発見できず。

その後、海中ドローンを活用する〈失われた52隻〉の民間チームが探したアマチュア日本人研究家の調査によって「1944年2月27日に日本の攻撃機が500ポンド爆弾でグレイバックを撃沈した」という日本軍の記録を見つける。攻撃海域は当初の沖縄の東ではなく沖縄の西だった。

今年6月5日、民間チームが海中ドローンのソナーを使った海域のスキャンを行った結果、1400フィートの海底に横たわる船影を発見、遠隔カメラを使って観察をし、まごうことなき〈グレイバック〉の金属銘板をその船体に見つけたのだという。

グレイバック見事発見ということで〈失われた52隻〉のプロジェクトは終了する。海中に消えた潜水艦乗組員80人の遺族にとっても、この75年間、未完だった彼らのレガシーの最後の欠片がやっと埋まったことになる。海の墓場がどこにあるのかが解っただけで、遺族たちの心情はずいぶん落ち着いたものにかわるはずだ。

グレイバックの銘板発見というニュースを11月11日の〈帰還兵の日〉に行ったのはいったい誰の決定なのだろうか。また12月8日が来る。アメリカ人たちはやっぱり「真珠湾は忘れない」と云いたいのだろう。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿