5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

テキサスの廃材住宅

2009-11-29 22:38:31 |  ニュース
今日のNBCナイトリーニュースでは、《TRASH INTO TREASURE》というタイトルで、テキサス州のハンツビルからの短いレポートが面白かった。アメリカの住宅関連のニュースには、ここしばらく楽しいものがないのだが、これは、日本でもありそうな省エネ住宅のことについてだ。

「比較的安価な住宅の需要は全米で大きい筈だし、社会的な問題の解決にも役立つ」というハンツビル在の建築業者、ダン・フィリップスが造るのが、混ざりあったり、汚れたり、短すぎたり、曲がっていたりといったすべて規格外の建築廃材だけを使った低コスト住宅である。一定量のゴミ削減にもなって環境保護への貢献にもなれば、新しい仕事の口としても喜ばれるというわけである。

ワインコルクが床材に、絵の額縁が天井に、ガラス平板が窓にと、普通のアメリカ住宅らしからぬスタイルの廃材住宅だが、市の建築条例にも適合しており、最初のものからはすでに十数年が経過している。小さな建築面積の小規模で熱効率の良い住宅は充分にサスティナブルである為、希望する購買者層には大きなインパクトになっているという。

この住宅は、シングルマザーや自由業など、低所得の層だけをターゲットにして、通常の住宅よりも数段安値で売出し、しかも利益を出せているというのだが、これは、人手として雇われるのが若年の非熟練の労働者のみであるというのも一つの訳である。教えながら働かせることで職業トレーニングにもなって、働く若者から評判もよさそうだ。

アメリカ人のDNAには、スプロールしようとする意識、広い家に住むことが成功のシンボルといった感覚が強いようだが、小型の省エネ住宅が出来てくることは、大型車からエコカーに乗り換えるように、彼らの棲み方のスタイル変更が始まりそうだということも云える。それが証拠に、こうした新しい廃材リサイクルの仕組みを学びに、大都市からの見学もあるのだそうである。

ハンツビル市内から出る建築廃材がゴミ捨て場に直行ということは無いのだそうで、ダン・フィリップスの仕事場には一般市民や建築業者から廃材が提供される。「ゴミ処理に金がかかるのなら、タダで貰ってもらったほうが得。」というのは日本人にもありそうな心理だ。低所得者用住宅支援のNPOからのサポートもあって、彼のビジネスは絶好調。

NBCは「そのままなら無駄になるゴミだが目的を変えればアメリカンドリームの実現にもつながる」と結んでいる。

昔の叩き大工はすでに引退した日本だ。住宅建築はすべてプレハブの組み立てという、素人の日曜大工にも出来そうな具合になりつつあるようだが、それでも工事途中で廃材が出るのは昔と同じだろう。そして、たくさんの新品の廃材が大型廃棄物として人知れずどこかに埋設されたり、燃やされたりしているはずだ。

不景気対策の一つとして日本政府もハンツビルに倣ったらどうだろう。耐震の廃材省エネ住宅を政府指導で推進してみたら、環境汚染対策としても有効だし、就業支援にもなると思う。引退した大工の棟梁に建築指導者になってもらえば、年寄りの生きがい作りにもなりそうだが。


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1 コメント

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廃材〓 (ばぶ)
2012-02-28 22:43:11
現実ありえるの〓
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