5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

大いなる休暇

2007-03-10 21:26:46 |  文化・芸術

カナダ映画、「大いなる休暇」を観る。隣市の主催、カナダ領事館の後援である。どうやら姉妹都市提携が縁になっての企画らしい。



休日の為か、それとも木戸銭無料に惹かれてか、会場はほぼ満員。なぜか中年以上の女性グループが多い。在名カナダ領事の日本語挨拶は、近頃の若い外交官には珍しくたどたどしく、それがご愛嬌。映画がフランス語であることに触れて、カナダの二ヶ国語政策がうまくいっているというPRも欠かさなかった。



2003年製作のこの映画、本国での観客動員が「パイレーツオブカリビアン」よりも多かったとか。サンダンス映画祭の2004年度観客賞を受賞もしているともいう。初めてみるカナダ映画だが、どんな作られかたをしているのか興味が湧く。



舞台のサント・マリー・ドラ・モデルヌ島はその名とは逆にモダンからは遠い漁師島。125名の住人の多くが年寄りで失業保険の対象者。そこへ工場誘致の話が持ち上がるが条件として医者が常駐するということ。しからばと、偶然やってきた若い医者が島に残るように島住民全員で大芝居をうつ。そしてそのウソの結果は?というストーリーラインだ。



フランス語のタイトルはLa Grande Seductionだから「大いなる休暇」よりも「大芝居」の方が内容に沿っていそうだ。やや暗いトーンで全編が映像化されているのはケベックという土地の気候風土を表しているのだろう。高齢化、失業問題という現代の文明国のどこにでもあるユニバーサルな問題をかかえる一見のどかで平和そうな島の生活。レイモン・ブシャールが漁村のオヤジの味を出して飄逸、他の出演者も田舎の村人を好演している。フランス語が英語とは一味ちがった面白みを生み出すのに役立っているように感じた。結構でした。



お隣のアメリカ映画、特にハリウッド映画のつくりとはまるで違った作品だが、日本にもこうした独立系の佳作がもっとどんどん持ち込まれるとよいと思う。映画ばブームだとは云うものの、シネコンも近頃は過当競争らしく、週日などガラアキのところもあるのだから、配給会社の既得権は横において、マイナーな内外作品や新人監督のデビュー作などを積極的に紹介してくれるやる気のある支配人はいないものだろうか。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿